ギリシャ神話の太陽の神様についてご存知ですか?
ギリシャ神話では、
太陽の神様はヘーリオス!
見上げればいつも空にある太陽が神様と考えられていたわけですが、
そんな太陽神ヘーリオスは、一体どんな神様だと思われていたんでしょう?
その生い立ちや有名な神話のエピソードについて、
簡単にご紹介しますので、よかったら読んでいってくださいね!
太陽神ヘーリオスは月と兄妹
さて、それでは
太陽神ヘーリオス
について、簡単にご紹介していきますね。
まずはその生まれについてですが、
父はヒュペリーオーン、母はテイアーの間の子で、
と同じ親から生まれた兄妹だとされています。
今でも「月と太陽」は対照的なものを指す意味でセットで使われることが多いですが、
やっぱり古代ギリシャでも月と太陽はセットで同じ家族と考えられていたんですね。
そして、太陽神ヘーリオスは男で、月の女神セレーネーは女。
さらに暁の女神も一緒に入っているところがギリシャ神話の特徴でしょうか。
暁は明け方の時間帯だから、月にも太陽にもどちらにも支配されていない独立したものと考えたのかもしれないですね。
ヘーリオスは毎日馬車で移動
というわけで、ギリシャ神話の
太陽神ヘーリオス
この神様は、
まさに空に浮かぶ太陽
でしたので、
毎日馬車に乗って、東から西へと移動していくのが仕事、と考えられていました。
太陽が馬車に乗って引かれていくって、よく太陽を見て想像できたな〜とも思いますね。
でも、ギリシャ神話に限らず、太陽神が馬車に乗って移動する、というのはインド=ヨーロッパ系から近東まで広く見られる観念らしいですよ!
私は太陽を見てもとても馬車に乗っているようには見えないけど、それは私が東洋人だからかな?
そして、太陽は夕方になると空の旅を終えて西に沈みますが、
朝になると東にまた出てこなくちゃいけないですよね?
そうすると、じゃあ西から東への移動はどうすんのよ?
という疑問が出てきますが、なんと毎日、西から東へ、黄金のカップ(杯)に乗ってオーケアノス(大洋)の流れで戻るそうです。
なんだそれ、一寸法師??
と思わずツッコミを入れたくなりますが、太陽神がカップに乗って大洋を流れてる姿を想像すると、結構カワイイかもしれませんね?!
お天道様は見ているぞ!
さて、今も日本では、
「お天道様に顔向けできない」
「お天道様は見ているぞ」
みたいなことを言って、
隠れて悪事をやろうとしても、空にある太陽からは隠れることはできないので、きっと見られているぞ!
という考えがあります。
実はこれ、ギリシャ神話でも同じ。
愛と美の女神・アプロディーテーは、ダンナさんのヘーパイストスに隠れて、軍神アレースと浮気をする、
というお話があるのですが、この浮気をダンナに教えたのは、
もちろん太陽神ヘーリオス!
そして、女神デーメーテールの溺愛する娘・ペルセポネーを、冥界の神ハーデースが連れ去ってしまった時にも、
ハーデースの行いをデーメーテールに告げたのは、
これももちろん太陽神ヘーリオス!
これはまさしく、
「お天道様は見ているぞ」
と同じコンセプトで、いつも太陽神ヘーリオスは馬車に乗って空から下を見下ろしているのだから、
地上で起こっていることをよく分かっている、
と考えられていたからなんですね。
やっぱり、隠れて悪事はできないもんですよね?!
まあでも現代では、高層ビルに、広い地下街もじゃんじゃん建設されていますので、
いくら太陽神ヘーリオスといえども、見えないものも多いに違いない・・・
まあ、それでも見れてたら、ホントにすごいんだけれども!
魔女の血筋とヘーリオス
そして、ヘーリオスの血筋では気になることがあります。
太陽神ヘーリオスは、ペルセーイスという奥さんをもらったことになっています。
その奥さんとの間に、キルケー、パーシパエーという女の子を二人、
そしてアイエーテースという男の子をもうけたということです。
そしてこの中で、
キルケーという娘は、ギリシャ神話の中でも名高い魔女なのです!
ホメーロスの『オデュッセイア』に詳しく書かれているのですが、
キルケーは不思議な薬を調合する魔女で、オデュッセウスの手下たちを豚に変えてしまうのです。
恐ろしや!
*キルケーについて詳しくは、こちらの記事も合わせてご覧ください。
そして、ヘーリオスの息子・アイエーテースの方は、
その娘が魔女・メーデイア!!
つまり孫も魔女!ということです。
メーデイアは強力な魔術の力を持ち、数々の人間を殺害しています。
一番有名なのは、悲劇『メーデイア』の中で、
自分を捨てて王女と結婚しようとしたイアーソーンに復讐するため、
結婚相手の王女とその父、そして、自分がイアーソーンとの間に産んだ二人の子供まで殺してしまう、というお話。
そこまでするか!
というほどに恨みが深い。そして、狙った獲物は間違いなく葬り去る、という
メーデイアはギリシャ神話の中で最も恐れられていると言っても過言ではない魔女。
*メーデイアについて詳しくは、こちらの記事も合わせてご覧ください。
というわけで、
ギリシャ神話の中でも最も恐れられている魔女が二人とも
太陽神ヘーリオスの血を引いている!
ということになっているんですね。
これは一体どうしたわけか・・・?
ヘーリオス自身が魔術を使った、という神話はないようですが、
おそらくはある程度、魔術的なものと関連づけられて考えられていたんではないですかね?
兄妹の月の女神・セレーネーも、魔術に関連する女神ヘカテーと同一視されるようになったので、こちらは魔術との関係は疑いない!
血筋で考えれば、やっぱり太陽神ヘーリオスも魔術には関わりがあったと考えられていたんでしょうね。
それにしても、太陽と月と魔術。不思議な取り合わせです。
ギリシャ以外の地域でも、太陽と月と魔術が関連している神話ってあるのかな?
あったら面白いですね!
太陽に近づくと、暑いよ?
そんなふうに、太陽神ヘーリオスが馬車に乗って移動していて、ひょっとしたら魔術にも関係があるかもしれない、
っていう背景には、やっぱり太陽そのものを古代ギリシャ人がどう思っていたのかな?
という点も見逃せないですよね。
しかし、ギリシャ神話の中では太陽ってちょっと面白くって、
近づくと熱くなる、と思われていたらしいですよ!
それがよく分かるのが、
イカロスのお父さんのダイダロスは名工で、なんでも上手に作っちゃう人。
迷宮ラビュリントスに息子のイカロスとともに幽閉されると、
空を飛べる翼を作って、二人で飛んで逃げてしまいます。
で、二人で飛んでる途中に、ダイダロスは息子のイカロスに「太陽に近づきすぎてはいけない」って忠告を与えるんですが、
イカロスは高く飛びすぎて、太陽の熱で翼を固めていた蝋が溶けてしまって、墜落して死んでしまいましたとさ、
というお話。
一度は聴いたことある人が多いんじゃないか? というくらい有名な神話です。
この神話が面白いのは、
「太陽に近づくと熱くなる」
って思われてたことですよね〜。
本当に高く飛んだら太陽の熱で熱くなるなら、空を飛んでる鳥たちはみんな、飛んでる間に焼き鳥になりますわな。
だからイカロスもそんなことで墜落して死ぬはずはないんだけどね。
まあでも、「太陽が熱の源である」ということは理解されていたわけですよね。
そりゃ、日光がさせば暖かくなるし。日が隠れると寒いし。経験的にわかってたんだと思うんです。
そういう「燃える太陽」「熱い太陽」そのものが、太陽神ヘーリオスでもあったんだということですね。
*ダイダロスとイカロスについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
ヘーリオスはそんなにメジャーでもなかった
そんな太陽神ヘーリオスですが、太陽は日中の空を支配して、いつも人々の目に入っていたにもかかわらず!
古代ギリシャ時代では、そこまでメジャーな神様でもなかったんですよね。
ヘーリオスのための祭礼行事とかも、あんまりなかったみたいです。
さみしい・・・
しかし、そんな中で唯一
ロードス島はヘーリオス信仰が盛んだった
と言われているくらいです。
ロードス島では、世界七不思議の一つ、コロッソスの巨像が建てられましたが、これはヘーリオスの姿をかたどったものらしいんですよね(現存せず)。
*ロードス島のコロッソスの巨像について詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
でも、それ以外では、古代ギリシャでは本当にそんなに人気なくて、
神話自体も少ない方だと思います。
予言と音楽の神・アポローンと混合されてたところもあるらしく、それはやっぱり、アポローンはすごくメジャーな神様だったから、そっちに取られちゃったんでしょうね。
ただ、ローマ期に入ると、ローマの太陽神ソールと同一視されて、
結構大々的な祭礼もあったみたいです。
ただ、ローマでも独自の神話があったわけでもなく、まあどちらかというと、そこまでメジャーじゃなかった部類かと。
日本神話だと、太陽の神アマテラスが最高の地位を占めてるのに比べると、なんともさみしい。
そこら辺、他の地域の神話もどうなってるのか比べてみると面白そうですね!
太陽と月はいつも私たちと一緒
というわけで、
ギリシャ神話の太陽神・ヘーリオス
について、簡単にご紹介しました!
毎日せっせと馬車で空を走って、人間たちの地上を見下ろしてる、
そしてひょっとしたら、魔術にも関係あるのかもしれない、ちょっと不思議な神様・へーリオス。
でも、古代ギリシャの時代からいつでも、私たちの暮らしに深い関わりのある神様であることは確か。
だって、太陽の光が差さないと、私たち死んじゃいますからね!
だからギリシャ神話での扱いは低くとも、これからも日々、太陽を見上げた時には、せっせと馬車を走らせている神様・ヘーリオスを思い出してあげてくださいね!