ギリシャ神話に登場する神様の中でも、「戦いの神」として語られる
戦いの神アレス
この神様は割と日本ではイマイチ知名度が無い気がしますが、
一体どんな神様かご存知ですか?
「戦いの神」だけに腕力が強くて暴れ者でほかの神様たちも手を焼いていて、
でも鍛え上げられた肉体美の美しい神様とも考えられていたみたいですよ!
そんなアレス神について、簡単にご紹介していきますので、
興味ある方はぜひ読んでいってくださいね!
戦いの神アレス
さて、それではそんなギリシャ神話の中に登場する
戦いの神アレス
なのですが、
生まれはちゃんとしていて
ということになっています。
だから生まれとしては、神様としての地位は高いんじゃないか、と思われますが、
ギリシャ神話の中では、
「暴れん坊」で「凶暴」な戦いの神
として考えられていたようです。
なんと言っても、アレスが連れているお付きは
「デイモス」(恐怖)と「ポボス」(敗走)
という名前ですからね。
これでも、だいたいどんな神様か想像つきますよね?
ですので、ギリシャ神話の中で、一目置かれるようなポジションでは無かったようなのです。
父親である最高神ゼウスも、凶暴な性質のアレス神をちょっと疎ましく思っていたところがある。
同じ自分の子でも、知恵と戦いの女神アテナをかわいがっていたのとはエライ違いです。
というのも、軍神アレスって、腕っぷしは強くても、知性はちょっと・・・ってタイプだったようなのです。
女神アテナが知恵で戦いを勝ち抜く女神なら、
軍神アレスは腕力だけで勝ち抜こうとするタイプ!
まさに
「戦場の暴れん坊」
なのです!
ん〜、知性も持ち合わせていないのはなんか残念!
でもアレスは、
美しい筋肉質の肉体を持つ美青年
って考えられていたようです。
確かに戦場で激しく戦うためには日々肉体を鍛錬しなくてはいけませんから、
鍛え上げられた美しい体を持っていたと考えるのは自然なことですね。
そういうわけで、現在伝わっているアレス像って大抵、キレイな男性美を表しています。
でも、それに対して知性が足りない、ってやっぱりなんだか残念なんだな〜・・・
凶暴でも最強ではないアレス
というわけで、
戦いの神アレス
この神様は、実は
腕っぷしは強いんですけど、知性においてはそうでもない
というか、ちょっと足りない・・・
って思われていた、ちょっと残念な神様なんですが・・・
ということは、つまり、負けることも多いってことですよ。
頭使わないで戦ったって、負けるに決まってますから!!
トホホ。
ですので、
凶暴な戦いの神なのに、決して最強じゃないんです!
たとえば『イリアス』では、女神アテナが手助けしてる英雄ディオメデスに襲いかかるんですが、
女神アテナに逆襲にあって、傷を負ってしまう、というシーンがあったりします。
アテナは賢いから、アレスに一泡吹かせてやることができるんですね!
なんだ〜、アレスって、暴れん坊なわりに、女神アテナより弱いじゃん、
とがっかりされるかもしれません。
しかも、その傷を受けた時に、兵士1万人分にも相当する叫び声をあげた、ってことですよ。
コラ〜! 戦いの神なら、多少痛くてもガマンしなさい!
ギリシャ神話ではどうせ、神様は死なないんだかならねえ〜
と、思わずツッコミたくなりますが、
さらに残念なことに、それをお父さんの最高神ゼウスのところに言いつけに行っちゃったそうですよ。
情けない!!
女神アテナに負けた上に泣き言ですよ!!
って、なんだか、アレスって残念なエピソードが多いです・・・
アレスは女神アプロディテの浮気相手・・・
と、こんな残念なカンジのただよう軍神アレスではありますが、
ギリシャ神話の中では肉体派イケメン神様
でもあります!
(頭の中身はさておいて・・・)
ですので、実はギリシャ神話中でも指折りの美女アプロディテと、甘〜い恋の神話(?)もあるんです。
・・・とは言っても、実はその時、アプロディテ女神は鍛治の神様ヘパイストスと結婚していたので、
軍神アレスは不倫相手だったのです!
伝統的な日本語で言えば、軍神アレスは「間男」です!
夫のヘパイストスが留守の間にしのびこんで、美の女神アプロディテと愛を楽しんでいました。
これに気がついたヘパイストス神は、ある日出かけたふりをしておいて、
ベッドの周りに目に見えない網を仕掛けて、隠れて二人の様子をうかがっていました。
それを知らずに、夫が出かけたと思ったアプロディテは、さっそくアレス神とベッドになだれ込み・・・
と思ったら、たちまち目に見えない網にとらえられて、二人は動けなくなってしまいました!!
するとそこへ、出かけていたと思った夫ヘパイストスが現れて、妻の浮気に大激怒!!
腹いせに、神様たちをこの部屋へと呼んできて、恥ずかしい姿をさらしものにしてしまったということです!!
うわ〜、情けない!!
というわけで、肉体派イケメン軍神アレスは、こ〜んなふうに、不倫現場を押さえられた神様として有名なんです。
や〜ね!
ちなみに、このティントレットの名画は、その神話の場面を描いているものです。
ベッドに艶かしく横たわる美の女神アプロディテ(ヴィーナス)の体を調べる鍛治の神ヘパイストス(ウルカヌス)と、
物陰に隠れて頭だけが見える戦いの神アレス(マルス)!
この神話のエピソードを知ってると、結構笑えますよ!
浮気現場を抑えられたアレス神、焦って隠れてるんだな〜
*女神アフロディテについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
ローマではアレスは軍神マルスへ!
と、こんなわけで、
ギリシャ神話の中での
戦いの神アレス
なんともちょっと情けない、肉体派イケメンなんだけどなんだかちょっと残念なキャラクター
で、当然ながらあんまり人気もなかったんですよね〜
そうなんです、古代ギリシャでは、頭がよくて戦いに勝つ、女神アテナのような神様のほうがありがたがられたからなんです。
確かに、頭脳が冴えてて、相手を出し抜いて勝つ、できれば戦わずに勝つ、っていう方が、戦争としては優れている気がしますよね。
そんなわけで、女神アテナはアテナイ市(現在のアテネ)の守護神として、とっても大切にされていたんですが、
その点アレスはねえ・・・
しかし!
その後、ローマにギリシャ神話が受け入れられて、
ローマの軍神マルス
と同一視されるようになったら、その状況は一変しました!!
軍事大国ローマでは、軍神の地位はギリシャでは考えられないくらい高いものになったんです!
そのため、ローマでは、
ユピテル(=ゼウス)、クイリヌスとともに、
主神の一角に出世!!
よかったねえ〜アレス・・・いや、ローマではマルス!
ここらへん、ギリシャとローマの文化の違いがよく現れていますよねえ。
そして、ローマの暦では、
3月は「マルスの月」(Martius) とされていて、これは
現在の英語の「マーチ」March の語源
でもあります。
こうして、
ギリシャでは冴えなかった軍神アレスは、ローマに行って一躍人気者に!!
軍神マルスは人々の尊敬を集める存在となることができたということです。
ローマに行って、本当に良かったね! アレス!
火星の名前はアレス=マルスから
こうして、ローマのマルス神へと引き継がれた、
戦いの神アレス
ローマのマルス神はその性質もかなり変わってくるようになったわけですが、
このマルス神の名前を継いだのが、
私たちもよく知る「火星」!
そう、英語では
「マーズ」(Mars)
と呼ばれる星です!
だから
マルス神の名前をそのまま
つけてもらってるんですね。
ギリシャ神話の「アレス」のままだと、なんとなく情けないようなイメージですが、
ローマの「マルス」となると国家でも重宝された軍神ですから、そのありがたみも増すというもんです。
火星といえば、太陽系の中でも我らが地球に近い星ですが、
その環境はとても人類の生存には向かない厳しい星です。
その点では軍神アレス=マルスの名前にふさわしい?!
人類は次には火星有人探査を目指しているわけですが、果たして私たちの生きているうちに火星に人類が降り立つ日が来るのかな??
楽しみです!
NASAのアレス計画!
さて、そんなギリシャ神話の神アレスですが、
アメリカのNASA (アメリカ航空宇宙局) には、
この神アレスの名前を持つロケット開発計画
があるのです!
宇宙船を打ち上げるための大型ロケット計画で、
月面探査、そして火星探査を目指していました。
「アレスV」
まで計画が勧められましたが、現在は打ち切り状態とのこと。
残念!
でもきっと、人類が火星探査に着手するのは、そう遠い将来のことでもないはずです!
火星探査がテーマの映画『オデッセイ』
火星探査といえばですね、
マット・デイモン主演の映画『オデッセイ』
この映画は、火星探査で一人火星に取り残されてしまった男性のお話でした。
これを見ると、火星探査も怖いよ〜! と思うかも?!
ちなみに、タイトルの『オデッセイ』は、
ギリシャの『オデュッセイア』から付けられたタイトルで、これもギリシャ神話とは切り離して考えられませんね!!
*この映画『オデッセイ』のタイトルについて詳しくは、こちらの記事もあわせてどうぞ!
*ギリシャ神話の英雄オデュッセウスの物語はこちら!
映画『ワンダーウーマン』のアレス
そしてこのギリシャ神話の
戦いの神アレス
意外なところで現在再び有名になる機会があったのですが、
それが、世界中で大ヒットした映画
『ワンダーウーマン』
ご覧になった方にはすっかりおなじみになったかと思いますが、
この映画の中で主人公ダイアナの天敵となるのが
戦いの神アレスなのです!
映画の中では、すべての戦いの原因はこのアレス神で、この神さえ倒せば戦いは終わる!
と言われています。
そ〜なんだ〜
と思った方も多いんじゃないかと思いますが・・・
ギリシャ神話の方では特にそういうことはありません。
どっちかっていうと、戦いの前線に登場してかき回すイメージで、
戦いそのものをどうこうする権限まではないカンジですかね。
戦いを起こす、というより、戦いがあると喜んで暴れまわるタイプ。
しかも、凶暴で残虐なタイプ。
だから実際のギリシャ神話を知っていると、
映画「ワンダーウーマン」の中では、いい役もらったね!!
ってイメージですわ。ホント!
*この映画「ワンダーウーマン」はすごく面白いので、オススメですよ!ぜひ一度ご覧ください!
ギリシャ神話のアレスも意外と身近に!
というわけで、
ギリシャ神話の戦いの神アレス
について、簡単にご紹介しました!
凶暴で暴れん坊だけど知性はちょっと、って残念なところもある気がしますが、
実は現在の私たちにも映画や星の名前などいろんなところでおなじみなのですね。
あまり日本では知名度のない印象の神様ですが、
どうぞこれからは、いろんなところでアレス神のことも思い出してあげてくださいね!