ギリシャ神話に登場する、
体が半分ヤギの神様・パン神
をご存知ですか?
いつも笛を持っている牧歌的な雰囲気の神様ですが、
実は怒らせるととってもコワい。
そして実は「パニック」の語源にもなっている、私たちにも身近な神様。
星座の「やぎ座」はこの神様を表しているということですよ。
そんなパン神について簡単にご紹介しますので、興味ある方はぜひ読んでいってくださいね!
パン神ってどんな神様?
それではギリシャ神話に登場するユニークな神様
体が半分ヤギの神様・パン神
をご紹介しましょう!
パン神は牧人の神様、そして家畜の神様で、
どういう姿だったかというと・・・
上半身は毛深い人間、頭には角が生えていて、髭を生やし、下半身はヤギ。足にはヒヅメが付いていた
と考えられていました。
つまり主に上半身は人間で、下半身はヤギという、半分のヤギの姿をしていたと考えられていたようです。
この神様は野山に住んでいて、
シュリンクスの笛を持ち歩いて吹いていたそうです。
パン神の名前の由来
さて、そんな変わった姿の
牧歌的な神様・パン神
その名前の由来もユニークです。
パン神の両親は、使者の神ヘルメスと、ドリュオプスの娘と言われていますが、生まれについては諸説あるようです。
このパン神が生まれた時に、
母親はその変わった姿に驚いて、父親のヘルメス神はすぐに天界に連れて行って神々に見せたということです。
この時、天の神様の全てが喜んだので、
「パン」(ギリシア語で「全て」という意味)と名付けられた
ということなんです。
しかし!これもあくまでも一説で、実のところははっきりした語源は分かりません。
実際はパン神はもともと「パン」ではなくて「パオン」で、「全て」の意味とは違うという説もあるらしいです。
まあ、ちょっとダジャレ的な由来のお話ってところでしょうか?
ちょっとエッチなパン神の神話
さて、そんなパン神ですが、
山に住んでいて半分ヤギで・・・
ってどこかのんびりしたイメージの神様に思われるかもしれませんが、
実はちょっと、というかだいぶエロかったらしいです。
パン神は山でニンフたちや美少年を追いかけ回したという
好色な神様
と考えられていました。
ですので、神話でもパン神の被害者(?)についてのエピソードが残されていますよ
ニンフのシュリンクス
まず有名なのが、
ニンフのシュリンクス
このニンフもパン神は気に入って追いかけ回したらしいのですが、
捕まえられそうになった時に
葦に変身した
ということです。
この葦からパン神は「シュリンクス笛」を作って、いつも持ち歩いて吹いていたそうな。
でもシュリンクスにしてみたら、迷惑な話かもしれません??
ニンフのエコ
そして、「エコー」(こだま)の語源になった
ニンフのエコ
このエコもパン神は気に入って追いかけたのですが、その愛を受け入れなかったので、
パン神は羊飼いたちを狂わせて、エコを八つ裂きにさせてしまったということです。
ちょっとコワいお話ですが、パン神は怒らせると怖い神様なのです。
しかしエコを哀れに思ったガイア(大地)女神がその体を隠して、
声だけが「こだま」で残った
ということです。
*エコ(こだま)について詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
「パニック」の語源の神様
さて、そんなちょっと、というかかなりエロめな
半分ヤギのパン神
実は今私たちが日常的に使っている言葉
パニック
の語源ともなった神様です。
パン神は山の中に住んでいて、昼間には木陰で眠っていると考えられていました。
しかし、この昼寝を邪魔されると、
怒って人を恐慌状態(パニック)に陥れる
という怖い一面があったんですね。
そう言われれば、確かに「パニック(panic)」って「パン(pan)」の名前が入ってます!
もともとパン神が原因で起きた精神的な恐慌状態を指していたというわけです。
そしてこの「パニック」は、戦争の時には味方の助けになるものでした。
マラトンの戦いの時には、パン神がアテナイ側に援助をしてくれたおかげで勝てた、と信じられていて、
アテナイ人たちはアクロポリスの上にパン神の祠を作ったそうです。
確かに、戦争の時に兵士たちが恐慌状態(パニック)に陥ると、バラバラに逃げ出したりして、勝てる戦争も負けてしまいます。
ですので、敵が「パニック」を起こして総崩れになったら、それはパン神が味方してくれたということなのですね。
「パニック」って戦争の勝ち負けにも影響するものとは、意外ですよね!
*「パニック」の語源について詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
パン神と「やぎ座」
さて、そんなパン神ですが、実は
星座の「やぎ座」はパン神の姿を表している
のだそうです。
しかし星座ではしっぽが魚になっている
「海山羊」
の姿になっています。
それはなぜかというと、
神々がナイル川のほとりで宴会を開いていた時、突然怪物テュポンが現れたということです。
驚いた神々は、それぞれ姿を変えて逃げていきました。
牧神パンも山羊の姿になってナイル川に飛び込んだそうです。
その時に、
水に浸った部分は魚の尾となり、それ以外の部分は山羊
という姿だったので、
ゼウスは、この姿を天に上げてやぎ座にした、ということです。
う〜ん、パン神、半分ヤギなだけでも不思議なのに、魚の尾っぽまで生えているとは!
とっても不思議な「やぎ座」のギリシャ神話ですね!
これは、この神話はもともとオリエントのお話で、それがギリシャにやってきてギリシャ神話に受け入れられたから、ということのようですよ。
天文学はオリエントのほうが先に花ひらいたので、ギリシャはそれを輸入してきて受け入れた、という経緯があるからなのですね!
*星座の「やぎ座」について詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
夜空を見上げたらパン神も思い出してね!
ということで本日は、ギリシャ神話に登場する
体が半分ヤギの神様・パン神
をご紹介しました!
実は「パニック」の語源だったり、「やぎ座」の神様だったりと、
現代の日本の私たちにも身近な存在なのですが、
意外とこの神様の知名度はイマイチ低いのですよね。
次に「パニック」という言葉を使ったり、「やぎ座」を夜空に見つけた時には、
ぜひこの一風変わった神様のことも思い出してあげてくださいね!
そうしないとパン神が怒ってあなたを「パニック」状態にしてしまうかも・・・?!