秋の夜空を彩る星座でおなじみの
やぎ座
この星座にまつわるギリシャ神話をご紹介しますね!
この星座の「やぎ」とは実は、
下半身が山羊で上半身は人間の姿をした牧神パン
を表しているということですが、
実はこの星座では魚の尾が付いている「海山羊」!
なんで魚の尾が付いているのかな?
良かったら詳しい神話を読んでいってくださいね!
やぎ座ってどんな星座?
それでは山羊座のギリシャ神話をご紹介するにあたって、
まずは簡単に
やぎ座ってどんな星座?
ってところからご紹介しますね!
やぎ座(山羊座 / Capricornus)
とは、9月・10月に南の夜空を彩る星座で、
子午線を通過するのは9月30日になります。
黄道十二星座の1つですが、二等星以下のささやかな輝きを持つ星座。
三角形の形をしていて、
飛び出したアルファ星が山羊の角を表しているのだそうです。
このアルファ星は実は二重星。
目のいい人なら、肉眼でも二重になっているのを確認できるそうですが、見えるかな〜?
この山羊の角の根本がβ星で、これも実は二重星!
ささやかな輝きだけど、見応えのある星座かも。
そして飛び出している魚の尾っぽが δ星。
この δ星 がやぎ座で一番明るい星で、2.9等星。
全体はこんな姿で、夜空に探すことができます!
二重星が見えるように、しっかり目を凝らして観察してみてくださいね!
「やぎ座」のギリシャ神話とは?
さて、そんな「やぎ座」にまつわるギリシャ神話とは、どんなものでしょう?
ギリシャ神話では、この「やぎ座」とは
半分やぎの牧神パン
を表していると考えられています!
しかしこの
牧神パン
とは、一体どんな神様なのでしょう?
簡単にご説明していきますね!
牧神パンの生まれと名前の由来
さて、この星座が表している
牧神パン
使者の神ヘルメスと、ドリュオプスの娘との間の子どもだと言われていますが、生まれについては諸説あるようです。
パンはどういう姿だったかというと・・・
上半身は毛深い人間、頭には角が生えていて、髭を生やし、下半身はヤギ。 足にはヒヅメが付いていた
ということで、要するに
半分ヤギで半分人間の姿をしていたと考えられていたようです。
ウォルター・クレインの描いたパン神
このパン神が生まれた時は、
母親はその姿に驚き、お父さんのヘルメス神はすぐに天界に連れて行って神々に見せたということです。
この時、全ての神が喜んだので、
「パン」(ギリシア語で「全て」という意味)と名付けられた
という説もありますが、はっきりした語源は分かりません。
実際はパン神はもともと「パン」ではなくて「パオン」で、「全て」の意味とは違うという説もあるらしいです。
パン神は山に住み、音楽を愛して笛を持っていて、松の冠をかぶっていた姿で想像されていました。
信仰の中心地はペロポネソス半島のアルカディア地方で、ここからギリシア全土に広がっていったと考えられていますよ。
パン神の恋物語
パン神の場合、恋物語っていうとちょっと違ってくるんですけど・・・
パン神は非常に好色な神
と考えられていたんですね。
山の中で、美しいニンフたちや、美少年たちを追いかけ回してたとか。
えっと〜、今なら逮捕案件ですが、まあ神話の世界ですから。
ダフニスに笛を教える牧神パン(ポンペイ出土)
パン神の恋の相手として有名なのは
ニンフのエコ(こだま)
エコ(こだま)は、森に住むニンフ。
パンの愛を受け入れなかったので、パンは羊飼いたちを狂わせて、エコを八つ裂きにさせてしまったということです。
これを哀れんだガイア(大地)がその体を隠し、声だけが「こだま」で残ったというお話。
*エコ(こだま)について詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
パンの恐慌(パニック)
そしてこれは、日本語でもすっかりおなじみの言葉
パニック
これはパン神が由来になっている言葉です。
普段は、パンは山の中で、昼間には木陰で眠っていると考えられていました。
これを邪魔されると、
怒って人を恐慌状態(パニック)に陥れる
という怖い一面があったんですね。
そう言われてみると、「パニック(panic)」って確かに「パン(pan)」の名前が入ってますね!
そしてこれは、戦争の時には助けになるとも考えられていました。
戦争時の兵士たちが恐慌状態(パニック)に陥ることがあり、それは勝利の行方も変えてしまうため、戦争時に助ける神とも考えらえていたとか。
マラトンの戦いの時には、パン神がアテナイ側に援助をしてくれたおかげで勝てた、と信じられていて、
アテナイ人たちはアクロポリスの上にパン神の祠を作ったそうです。
「パニック」って個人的なものかと思ってたら、まさか戦争にも関係するとは知らなかった〜!
やぎ座の「海山羊」
さて、そんな神話を持つギリシャ神話の
牧神パン
「やぎ座」はこの神の姿を表していると考えられていたわけですが、
やぎ座の「山羊」は、魚の尾が付いている「海山羊」
ギリシア神話の牧神パンには本来、魚の尾はありませんので、
これは起源はオリエントの神話から伝わったものと考えられているそうです。
この「海山羊」にどうしてなったのかと言いますと・・・
神々がナイル川のほとりで宴会を開いていた時、突然怪物テュポンが現れたということです。
神々は驚いて、それぞれ形を変えて逃げました。
牧神パンも山羊の姿になってナイル川に飛び込んだそうです。
その時に、水に浸った部分は魚の尾となり、それ以外の部分は山羊でした。
ゼウスは、この姿を天に上げてやぎ座にした
ということです。
なんだか、とっても奇妙な「やぎ座」のギリシャ神話!
それもこれも、もととなったオリエントの神話にギリシャ神話を当てはめたからなのでしょうね!
「やぎ座」生まれの人とは?
さて、そんなとっても奇妙な神話を持つ
やぎ座
西洋占星術では黄道十二宮の10番目である
磨羯宮(まかつきゅう)
12月22日〜1月20日に生まれた方達が、いわゆる「山羊座生まれ」。
地の星座、女性の星座です。
この星座生まれの人たちは、
勤勉で忍耐強い人たち。
やると決めたことをコツコツと続けてやり抜く力があります。
性格的には慎重で、これは恋愛でも同じこと。
冒険をするような恋は好みません。
革命的というよりは保守的。
心は優しく、人を大切にします。
・・・と、書いてくると、
ギリシャ神話のパン神と全然違う!
パン神なんて、かわいいニンフたちを追いかけ回す好色な神様ですし・・・
まあ、星座のギリシャ神話は後付けですから、こういうふうに西洋占星術の方の基本性格と全然違うこともありなのね!
そういうところも星座とギリシャ神話の面白いところです!
「山羊座」の「ヤギ」も思い出してね!
というわけで本日は、
秋の夜空を彩る星座でおなじみの
やぎ座
にまつわるギリシャ神話をご紹介しました!
この星座の「やぎ」ギリシャ神話では、
下半身が山羊で上半身は人間の姿をした牧神パン
ですが、好色だったり、「パニック」を起こしてしまうなど、ちょっと変わった神様。
しかも星座では魚の尾が付いている「海山羊」!
という、ちょっと変わったところもあるギリシャ神話でしたが、
ちょっと山羊座の方達は気を悪くしちゃったかも?!
でも、これもオリエントからきた神話にギリシャ神話を後付けしたから、ということで、読み物として楽しく読んでいただければ嬉しいです。
そして星座の「山羊座」と夜空に見上げる時には、
この笛を持った半分ヤギで半分人間の姿をした神様を思い出してあげてくださいね!