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ギリシャ神話

「ミトラ教」は実在した古代宗教!いったいどんな宗教だったの?

リドリー・スコットのSF大作ドラマ

『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』

この中で登場してくる宗教

ミトラ教

これってあまり耳慣れない方がほとんどだと思いますが、

一体どんな宗教なのかご存知ですか?

古代ギリシャ・ローマで隆盛をみた宗教でしたが、その後衰退していきました。

そんな「ミトラ教」について、簡単にご紹介します!

ミトラ教は失われた古代宗教!

ということで、気になって調べてみた

ミトラ教!!

日本ではご存知の方の方が少ないかもしれませんね。

かくいう自分イレーネも、ぼんやりしたことしか知りません!

遺跡とか博物館に行くと、ミトラ教のものも展示されていたり、本の中で登場したりするので「こんなのがあったんだな」くらいの。

それが、がぜん注目されるようになったのは、

リドリー・スコット監督製作総指揮の注目のドラマ

『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』

このなかで、

滅亡寸前の地球から「箱舟」という宇宙船に乗って脱出する「ミトラ教徒たち」が登場したことから!

今から130年後の未来の世界を描いたSFなので、

「宗教 vs 科学」の構図を作品の中で作り出すときに

「ミトラ教」という、聞き慣れない宗教を登場させたのだと思われます。

未来が舞台のSFなので、この「ミトラ教」も架空の宗教でしょ?

と思われる方も多いと思いますが、

実はこれは古代に実際にあった宗教

ヘレニズム〜ローマ期にかけて隆盛を見ましたが、

ローマでキリスト教が勢力を増して、国教に制定された時点で、「異教」として衰退していってしまった、という失われた宗教です。

そんな古代の宗教が、まさか現代のSFドラマの中で復活するなんて、リドリー・スコットもなかなかカッコイイことしてくれるじゃないですか!

*リドリー・スコットの『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』について詳しくは、こちらの記事もご参照ください!

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ミトラ教はどんな宗教だったの?!

さて、そんなヘレニズム〜ローマにかけて隆盛を見た、

ミトラ教!!

名前は聞いたことがあっても、詳しくは・・・??

という自分みたいな人のために、これから簡単にご説明していきますね!

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ミトラ教の起源

ミトラ教は元々は

インド・イラン地域で信仰されていたミスラ神を崇拝する宗教

それが、ヘレニズム期に東西の交流が活発化したことで、

地中海世界にも進出してきて「ミトラ教」として知られるようになりました。

ですので、もともと古代ギリシャの宗教というわけではない、異なるものなのですね。

「ミトラ教徒」についての一番古い記録は、紀元1〜2世紀に活躍したギリシャ人著述家・プルタルコスの記述。

それによると、現在のトルコ南部の、キプロス島の対岸地域一体あたりが「キリキア」と呼ばれた地域なのですが、

その「キリキア」の海賊たちがこの「ミトラ教」の信者だった、ということです。

*現在のトルコの地図で、位置を確認してみてください!

その後、紀元2世紀には、ローマ帝国内で勢力を伸ばし始め、

なんと、ローマ皇帝たちもミトラ教の儀式に参加するほどの一大宗教勢力になったのだとか。

しかしその後、ローマ帝国は313年にはキリスト教を公認し、388年には国教化。

そのため、「異教」となったミトラ教は衰退していってしまいました。

こうしてみると、「ミトラ教」はその起源と興隆をみても、あまりギリシャ本土とは関わりのない宗教だったように思いますが、

ローマ帝政下の時代のギリシャでは、それなりに浸透していったのだろうなと想像がつきますね!

ミトラ教の神様

さて、そんな歴史の中に消えていってしまったミトラ教ですが、

一体どんな神様を信仰していたのでしょう??

ミトラ教で信仰されていたのは、

ミトラス神

という神様。

この神様は

太陽の神

です。

ギリシャ神話では太陽神はヘリオス、ローマではソルですが、これがミトラ教だとミトラスなのですね。

しかし、ミトラスという名前の本来の意味は

「契約」

という意味なのだそうです。

インド・イラン地域で広く信仰されていて、

インドでは「ミトラ」

イランでは「ミスラ」

ゾロアスター教では「ミスラ」

という名前で呼ばれていて、

これがギリシャ・ローマ世界に入ってきて、「ミトラス」(Μίθρας)として信仰されるようになった、ということです。

ギリシャ・ローマ世界にやってきたミトラス神も、インド・イラン地域が発祥だけあって、描かれるときにはペルシア風の衣装をまとっています。

この帽子の形が独特ですね!

牡牛を屠るミトラス神(2世紀頃/大英博物館所蔵)

ミトラス神はこのように、牡牛を殺している場面で描かれますが、

これはミトラ教では牛は生命力の象徴で、この牛を殺して犠牲として供えることで豊穣祈願を行っていたようです。

そのほか、ミトラ教では、こんなライオンの頭を持つミステリアスな神様も崇拝されていたみたい。なんかカッコイー!

獅子頭神像(バチカン美術館所蔵)

By:Vassil

ミトラ教は密儀宗教

さて、こうした神様たちを信仰していたミトラ教ですが、

その儀礼の内容などを信者以外には明かさない

密儀宗教

だったので、詳しいことは今でも謎が多いようです。

こういうふうに、信者以外には内容を教えないという「密儀宗教」は古代地中海地域ではよく見られたもので、

ギリシャでも女神デメテルに捧げる「エレウシスの密儀」が有名ですよ。

確かに、入信者以外には内容を秘密にしておくと、信者同士の結束も高まるし、

古代世界ではこの宗教の形態は割とポピュラーで、あちこちでこういう「密儀宗教」が信仰されていたみたいです。

ミトラ教の信者たち

さて、そんなミステリアスなミトラ教。

でも、その信者組織については記録が残っているようで、

信者たちは男性、主に下層階級の人たちが中心だったそうです。

しかし、ローマで一番勢力があったときには、時の皇帝たちも入信したそうですので、ローマではかなり浸透した宗教だったんですよね。

神官職としては

  • アンティステス
  • サケルドス

という二つの神官職があって、

その下に信者たちが7つの位階に分けられて属していたそうです。

  • 父(パテル)・・・守護神は土星(サートゥルヌス)。シンボルは錫杖、指輪。7位階のうち最上位。
  • 太陽の使者(ヘリオドロモス)・・・守護神は太陽(ソール)。シンボルは 光背、ムチ。
  • ペルシア人(ペルセス)・・・守護神は水星(メルクリウス)。シンボルは月、鋏、鎌。
  • 獅子(レオ)・・・守護神は木星(ユーピテル)。シンボルは燃料用受け皿、シストルム(ガラガラ)、雷。
  • 兵士(ミリス)・・・守護神は火星(マールス)。シンボルは背嚢、槍、兜。下位の召使い役を演じる3位階の最上位。
  • 花嫁(ニュンフス)・・・守護神は金星(ウェヌス)。シンボルは松明、輝く冠、ランプ。
  • 大烏(コラクス)・・・守護神は月(ルーナ)。シンボルは酒杯。

という、かなりしっかりした信者組織があったようですが、

どうやってこの位階を決めていたかなど、詳しいことは秘密にされたため分からないそうです。

う〜ん、隠されると余計に知りたくなってしまう・・・いつの日か詳しい資料などが発見されて、ミトラ教の実態がわかってくることを期待しちゃいますね!!

ミトラ教はキリスト教に影響を与えた?!

そんな、今なおミステリアスな古代の宗教

ミトラ教

実態の詳しいところはわかっていませんが、

キリスト教と同時期にローマ帝国で活動し、

キリスト教と似ている部分もあることから、

キリスト教のライバル

あるいは

キリスト教に影響を与えた

って考える説もあったらしい。

でも、ミトラ教自体が密儀宗教で詳しいことが分からない上に、ちゃんと資料も残ってないから、

ここら辺は永遠に「グレーゾーン」になりそうですね!

でも、ミトラ教でも、12月25日はソル・インウィクトゥス(不敗の太陽神)という神様の誕生祭として祝っていたそうで、

これはクリスマスの起源?!

とも考えられているみたいです。確かに気になる類似ですよね。

でも、クリスマスの起源については諸説あって、

ローマのサトゥルナリア祭が起源だ!

という説もありますので、そこら辺ははっきりしたことは分かりませんね〜。

*ローマのサトゥルナリア祭とクリスマスについては、詳しくはこちらの記事も合わせてどうぞ!

ミトラ教を知ると、ドラマ『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』もより楽しめるかも?!

ということで本日は、

リドリー・スコットのSF大作ドラマ

『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』

この中で登場してくる宗教

ミトラ教

について、一体どんな宗教だったのか、ご紹介しました!

信者以外には詳細を明かさない密儀宗教だったため、今でも詳しいことは分かりませんが、

古代ローマではかなりの勢力をもった宗教勢力だったのですね!

その失われた宗教が、最新のSFドラマで復活して登場してくるなんて、さすがはリドリー・スコット、粋な計らいですよね!

まあ確かに今から130年後の未来だから、古代宗教が復活しててもおかしくはないわけで。

そしてドラマの中に出てくるミトラ教徒たちが、

太陽のシンボルのついた服を着ていて、ローマの太陽神ソルを信仰していたり、

役職の名前が「ヘリオドロモス」だったりするので、

一応、ちゃんと史実に基づいて作られている、っていうのも分かりました!

そこらへんの歴史に対するこだわりも、このドラマの深さを感じさせてくれますよね!

このドラマ『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』を見るときには、ぜひこの実在した古代宗教「ミトラ教」についても、ぜひ思い出してあげてくださいね!

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