日本でも多くの方がご存知の
ギリシャ神話の英雄ペルセウス
でも名前だけは知っていても、どんな物語がある人なのか、イマイチぴんとこない方も多いかと思います。
実は髪が蛇の怪物ゴルゴン退治や、美女アンドロメダとの恋など、有名な冒険の主人公!
ペルセウスについての有名な神話から意外なことまで、
ここで簡単にアレコレご紹介しますので、よかったら読んでいってくださいね!
ペルセウスは神ゼウスとダナエとの子!
さて、それでは日本でも名前は聞いたことがある方も多いのでは?という
英雄ペルセウス!
このペルセウス、多くの方は名前はご存知でも、一体どんな人か、については正直「??」って思っていませんか?
ということで、まずは、その生まれた時からご説明しましょう!
ペルセウスのお父さんは、そう、あのギリシャ神話で一番有名な
そしてお母さんは、
人間の女性・ダナエ
でした。
そう、つまりペルセウスの血は、半分は神様なんです。
この両親のうち片方は神様である人のことをギリシャ神話では
阪神
じゃなくて、
半身
でもなくて
半神 (ヘミテオス)
って言います!
さて、気を取り直して、この「阪神」じゃなくて「半神」の方々は、普通の人間よりも優れた能力を持っていると考えられていましたよ!
そういった特別な能力をもつ「半神」の皆さんは、英雄として活躍する神話を持っている場合が多くて、ペルセウスのほかには、
英雄ヘラクレス
英雄アキレウス
などが「半神」のチームに入ります!
さて、そんなふうに、半分神様で、半分は人間の英雄ペルセウス
一体どうして人間のお母さん・ダナエから生まれたのでしょうか?
その神話によりますと、
ペルセウスのお母さんであるダナエはアルゴスの王アクリシオスと、その妻エウリュディケとの間に生まれた娘だそうです。
しかし、この父王アクリシオスが神託で、
娘ダナエの子供に殺される
と告げられてしまったので、それを恐れてダナエを部屋に閉じ込めてしまいました。
すると、ダナエに恋した神ゼウスが、黄金の雨となって屋根からダナエに降り注いだのだそうです。
そうして、ダナエは神ゼウスとの間に息子のペルセウスを産みました。
・・・え?
そうなんですよ、ゼウス神は、「雨」に姿を変えてダナエの元に行ったんだそうです。
はい?ちょっと何言ってるか分かんないんですけど?
と思った方も多いと思いますが、そういう神話だから仕方ない!
雨になったゼウスとダナエの間にできた子がペルセウス!
シュールですね・・・
こういう破天荒なところが、ギリシャ神話の面白いところです!
え、面白くない?
いやいや大丈夫!慣れてくるとだんだんと面白くなってきますよ!
*ゼウス神については、人間の女性との恋の神話が色々残っています!詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
ペルセウス、箱に乗って流される?!
さて、そうして父ゼウスと母ダナエとの間に生まれたのが
英雄ペルセウス!
しかし、部屋に閉じ込められていたはずなのに、なぜ子供ができたの?
と誰しもが思うわけですが、
当然ながらダナエの父王アクリシオスはこれがゼウスとの子とは信じてくれなかったそうです。
ていうか、当たり前ですけどね!ゼウスが雨になって来ました、って言われても「はい?」ってリアクションがフツーだと思います。
しかも、父アクリシオスは神託を聞いて、この娘の子供に殺されてしまう!と思っていたので、なんと
自分の娘と生まれた子供を箱に閉じ込めて海に流してしまいました
って、ひ、ひどい・・・
そうまでして生き残りたいか?!
と現代の私たちは思ってしまいますが、もうギリシャ神話ってこういうところ、身もふたもないです、ええ。
そこで当然、二人は海で死んでしまうだろうと思いますよね?
しかし! ご心配なく!
なんと!二人は生き延びて、セリポス島に流れ着いた、ということです。
え〜、箱に入れられて流されて、無事なの?と思う方もいるかもしれませんが、ええ、ギリシャ神話ってそういうものですのでご心配なく!
ってことで、話を進めます!
二人が流れ着いたセリポス島(セリフォス島)は、エーゲ海に実在する島なので、興味ある方は次の旅行で訪れてみるのも楽しいかも!
あ、でもくれぐれも、箱に乗って海で流れて行こうとはしないでね!死んじゃいますよ!
ペルセウス、セリポス島で目の上のたんこぶになる?!
さて、そうして、一体どうやったか分からないが、なぜだか無事にセリポス島に流れ着いた
英雄ペルセウスと母ダナエ
そこで、漁師のディクテュスという人に助けられて、親子で平穏に暮らすことができました・・・
と思ったら!
この漁師のディクテュスの兄でセリポスの王様でもある
ポリュデクテス王
という人が、母のダナエを好きになってしまって、しつこくアプローチ!
でも、神ゼウスの血を引く息子のペルセウスはすくすくと成長して、母のダナエを守ったので、ポリュデクテス王はダナエに近づくことができません。
人並み外れた力を持つペルセウスは、王にとってはすっかり目の上のたんこぶ状態!
あいつさえいなければ・・・
と、うっとうしがられる存在になってしまったんですね〜
思わぬところで敵ができたペルセウス!
この後どうなる?
ペルセウスのゴルゴン退治!
そうして、セリポス王にうとんじられてしまった
英雄ペルセウス
母のダナエに恋する王は、ペルセウスをどうにか遠くに行かせたい、と悪だくみをして、
ペルセウスに怪物ゴルゴンの首をとってくるように命じました!
これが有名な
ペルセウスのゴルゴン退治!
このゴルゴンというのは、ステンノ、エウリュアレ、そしてメデュサという3姉妹で、彼女たちは髪の毛が蛇になっていて、
見た者を石に変える
という恐ろしい怪物でした!
この怪物を倒してくるなんて、普通の人間にはミッション・インポッシブル!
普通の人間なら・・・ね。
でもペルセウスには父である神ゼウスの血が流れています!
このゴルゴンを退治する冒険に出たペルセウスには、アテナ女神とヘルメス神が手助けにきてくれたそうですので、スタートラインからして、早くも有利!
まずはゴルゴン退治のための道具を手に入れることになりました!
その道具は精霊であるニンフたちが持っているということですが、その居場所がわかりません。
そこで、ニンフたちの居場所を
ゴルゴンの姉妹であるグライアイ
に聞きに行くことにします。
このグライアイというのは、「老婆」という意味で、生まれた時から白髪だったそうですよ。
グライアイは、エニュオ、パンプレド、デイノという3姉妹で、3人で一つの眼と一つの歯をシェアして使っていたそうです。
3人で目と歯が一つずつなんて、生活するのに不便だよね〜
ていうか、歯が一本だと何も食べられないよね?!
と、いろいろ突っ込みたくなりますが、まあ神話ではそう伝わっていますよ!
さて、ペルセウスはグライアイのもとへ行って、彼女たちのたった一つの目と1本の歯を取り上げてしまって、ニンフたちの居場所を聞き出したそうです。ちょっとイジワル!
まあ、それはさておき、こうして無事にニンフたちの場所にたどり着いたペルセウスは、ゴルゴン退治に必要な
翼の生えたサンダル (これを履くと空が飛べる)
キビシス(「小袋」という意味)
ハデスの隠れ帽 (かぶると姿が見えなくなる帽子)
というグッズを手に入れました!
さらには、ヘルメス神から金剛性の鎌ももらったとのことです。
こうして、ペルセウスは必要な準備を整えて、ゴルゴン退治に出かけました!
ゴルゴンたち3姉妹は、実はメデュサだけが不死では無かったので、退治することができます。
しかし、目を見ると石にされてしまうため、うかつに近づくことができません。
そこでペルセウスは、ゴルゴンたちが眠っているときに、青銅製の盾を鏡にして、直接目を見ないように工夫して近づくことことに成功!
見事にメデュサの首を切り取って、退治することに成功しました!!
英雄ペルセウスの像って、このメデュサの首を切った瞬間を描いていることが多いので、きっと目にしたことがある方も多いかもしれません!
そうしてペルセウスは、持っていたキビシス(小袋)にその首を入れて、
ハデスの隠れ帽をかぶって姿を見えなくして、
姉妹を殺されて怒って追ってくるゴルゴンたちから、無事に逃げおおせることができました!
追記:メデュサの死と天馬ペガソスの誕生
さて、こうしてペルセウスに殺されてしまった怪物メデュサですが・・・
実はその死の瞬間、彼女の切り取られた首から
翼を持った天馬・ペガソスとクリュサオルが生まれた
と伝えられています。
え? メデュサって死んじゃったんでしょ? しかも首から生まれるってどういうこと??
と多くの方が不思議に思われるはずですが、そういう不思議な神話なのですね。
このペガソスとクリュサオルの父親は、ポセイドン神だということです。
う〜ん、ギリシャ神話って、本当に不思議!
そして、この天馬ペガソスですが、のちには英雄ベレロポンの愛馬になりました。
そして同時に生まれたクリュサオルの方は人間で、「黄金の剣を持つ者」という意味の名前で、生まれた時から黄金の剣を持っていたそうですよ。
う〜ん、ギリシャ神話って、ますます不思議!
*ゴルゴンとメデュサについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
ペルセウスとアンドロメダとの恋!
さて、こうしてゴルゴン退治に成功し、翼のついたサンダルで空を飛んで故郷に帰ろうとしていたペルセウスですが・・・
その途中でエチオピアに立ち寄り、
海の怪物に生贄にされそうになっていた
美しい王女アンドロメダ
を発見!!
王女の美しさに恋してしまったペルセウスは、妻にすることを条件に海の怪物を退治して助けてやりました!
こうして、美女アンドロメダはペルセウスの妻になったのですが、
そう、アンドロメダと言えば星の名前でおなじみですね!
この星座は、このアンドロメダが天にあげられた姿だということです。
この「アンドロメダ座」には、
「アンドロメダ銀河」
があることで有名ですよ!
今度もし夜空のアンドロメダ座を見上げるときがあったら、ペルセウスが愛したエチオピア王女のお話を思い出してみてください!
*アンドロメダ座について詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
ペルセウスは故郷で母を救う!
さて、こうして、ゴルゴン退治も成功し、その上美女アンドロメダとも結婚し、
ペルセウスは母ダナエの待つセリポス島に戻ります。
しかし、そこではポリュデクテス王が母ダナエに結婚を迫って追い詰めていました。
そこで・・・
ペルセウスは王にメデュサの首を見せて、石に変えてしまいます!
う〜ん、このメデュサの首、無敵じゃないですか!
というか、メデュサの首を持ったペルセウス、無敵じゃないですか!
そういうわけで、ポリュデクテス王を倒したペルセウスは、自分たちを助けてくれた、王の弟であるディクテュスの方を新しく王様としてやった、ということです。
メデュサの首のその後・・・
さて、こうしてゴルゴン退治を終えた英雄ペルセウス
この時切り取られたメデュサの首は、どうなったかというと・・・
アテナ女神に献上されて、女神の鎧の飾りになったそうです
だから、アテナ女神像をよく見ると、胸の真ん中のところにメデュサの首が付いていることが多いです。
こんなふうに、武器とか、建物の一部にメデュサの首の図を描くのは、
メデュサの首は「魔除け」の意味もあった
ということらしいですよ!
目を見たら石になってしまう、という強力な力を持つメデュサの首ですから、戦士や建物を守ってくれると考えられていたのですね!
今でも、ギリシャの遺跡を見て歩くと、ゴルゴンの首の図を見てギョッとする時があります!
*こんなヤツ。日本でいう「鬼瓦」みたいなもんでしょうか。「ゴルゴネイオン」と呼ばれてます。
ペルセウスの予言の成就
さて、そうして、セリポス島で王を倒した後は、
ペルセウスはお母さんと奥さんと一緒に、本当の出身地であるアルゴスに戻ることにします。
しかし、アルゴスには、祖父に当たるアクリシオスがいますが・・・
そう、「娘の子供に殺される」という予言を信じて、娘と子供を箱に入れて流してしまった、あの人ですね!
このアクリシオス王は、ペルセウスが来ると予言通り殺されてしまう!とまだ信じていて、アルゴスから逃げ出して行きます。
しかし、ペルセウスがラリッサで開かれていた競技会にペルセウスが参加して、円盤投げ競技で円盤を投げたところ・・・
たまたま競技会を見学に来ていたアクリシオス王の足に当たって死んでしまった!
という・・・
そう、こうして予言は成就したということです。
なんというか、そんな偶然あるわけないだろ?と言いたくなる気持ちもありますが、それくらい、ギリシャ神話では予言って絶対当たると思われていたということですよね!
さて、こうして、アクリシオス王も倒したペルセウスは、当然アルゴスの王様となる権利があったわけなんですが・・・
おじいさんを殺して国を引き継ぐことはよくない、と思い、いとこに当たる、ティリュンス王メガペンテスと領土を交換したということです。
こうして、ペルセウスはティリュンス王になった
と伝えられていますよ!
このティリュンスはアルゴスからも近くて、遺跡でも有名な場所ですので、気になった方は一度ペルセウスの足跡を訪ねてみるのも楽しいと思います!
今も愛される英雄ペルセウス
さて、この英雄ペルセウスですが、
今も映画などでおなじみで、ギリシャ神話でも人気が衰えない英雄です!
最近の映画では、
『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』
この中にも、「ゴルゴン退治」が出てきますよ!
そして、サム・ワーシントン主演の
『タイタンの戦い』
これもペルセウスが主人公のお話です!
ま、ちょっとオリジナルのお話とは違いますけどね!ファンタジー映画として楽しめますよ!
というふうに、今でもペルセウスはギリシャ神話の中でも大人気の英雄です!
もし気になったら、いろんな「ペルセウスの物語」を見比べてみてくださいね!
これからも英雄ペルセウス人気は不動です!
ということで、
ギリシャ神話の中でも人気を誇る
英雄ペルセウス
のお話をざっとご紹介してみました!
その神話は有名なものばかりで、
ゴルゴン退治
そして星座で有名な
アンドロメダとの恋
など、知らないうちにその神話に接していたことに気づかれた方も多いと思います!
今でも映画などに大人気のペルセウスですので、その人気はこれからもそう簡単に衰えることはないでしょう。
なんと言っても、古代ギリシャ以来数千年続いた人気ですから、フツーの人気とは次元が違います。
これからも映画などでその活躍を目にする機会も多いと思いますが、元ネタを知るとまた見方も変わってくると思うので、ぜひオリジナルのギリシャ神話と合わせて、その活躍を楽しんでくださいね!