当ブログは広告を掲載しています

ギリシャ神話

ギリシャ神話の使者の神ヘルメスって水星なの?!意外と身近な素顔をご紹介!

ギリシャ神話の中に登場する

ヘルメス神

をご存知ですか?

使者の神・商業の神・旅人の神など、様々な面を合わせ持つ神様で、

実は現代の私たちにもいろんなところで馴染み深い神様でもあります。

そんなヘルメス神について、簡単にご紹介したいと思いますので、

興味ある方はぜひ読んでいってくださいね!

ヘルメス神ってどんな神様?

さてそれでは

ギリシャ神話の神々の中から、

ヘルメス神

についてご紹介していきますね!

ヘルメス神の生まれは?

それではまず、この神様の生まれについてですが、

実はこのヘルメス神は、

最高神ゼウスの一番末の息子!

母親は、巨人アトラスとプレイオネの娘であるマイアです。

この二人の間にはマイアを含めて7人の娘がいて、まとめて

プレイアデス

と呼ばれていますよ。

プレイアデスって聞いたことある?

そう、

「プレイアデス星団」

のプレイアデス!

このプレイアデスの娘たちは、狩人の

オリオン

に出会ったところ、彼に5年もの間追いかけられて逃げ続けたということなんですよ。

現代でいうところのストーカー?!

そして、追いかけられ続けてついに、鳩となってしまったそうです。

ゼウス神はそんなプレイアデスを憐れみ、天に上げて星にしたということで、これがみなさんご存知の

「プレイアデス星団」になった! ということなんです。

エリュー・ヴェッダー『プレイアデス』(1885年)

まあ、このプレイアデスとオリオンの神話については、

単に夜空で東と西の近い位置にあって、オリオンが東のプレイアデス星団をずっと追いかけているように見える、

というだけの話だと思うんですけどね!

そして、この「プレイアデス星団」は、日本では、

「すばる」

と呼ばれています。

だから、「すばる」と言った方が、すぐピンとくるかな?

さて、ヘルメス神に話を戻すと、

この神様は、そんな「プレイアデス」の一員であるマイアが母、

そして最高神ゼウスが父として誕生した、と伝わっていますよ!

この「プレイアデス星団」は、おうし座の星です!

*おうし座について詳しくは、こちらの記事もご参照ください!

>>おうし座はヨーロッパの牛?!

兄アポロン神との知恵比べ!賢いのはどっちだ?!

さて、そうして、マイアとゼウスの間に生まれた

ヘルメス神

彼は、なんと生まれたその日から、とんでもない赤ん坊だったらしいです!!

彼が生まれたのは、アルカディア地方のキュレネ山と伝わっています。

ここで夜明けに生まれたヘルメス神は、

生まれてすぐに揺りかごから抜け出して、

同じくゼウス神の息子・つまり兄である

アポロン神

の牛を探しに出かけて行ったということです。

え?

フツー生まれたばかりの赤ちゃんって、自分で揺りかごから抜け出すことなんてできないよね?

と思うかもしれませんが、そこはこのヘルメス神の並外れたところ!

しかも、揺りかごから抜け出して、家を出たところで、亀を発見!

その甲羅を使って、竪琴も作ってしまったそうなんです!

そうして、竪琴の音色に合わせて、歌も歌ったんだそうですよ。

だから、

ヘルメス神は音楽の神様

でもあるのです。

ちょっと亀はかわいそうだけど・・・

そうしてから、

神々が牛を飼っているピエリアの山へと出かけて行ったそうです。

夜になってから山に着き、まんまと

アポロンの牛50頭を盗み出すことに成功しました!

えっとー、生まれたばかりの赤ん坊が、一体どうやってそんな盗みを働いたの?!

って、もちろん思われると思うんですが、やっぱりそこはヘルメス神だから!

だから

ヘルメス神は泥棒の神様

でもあるんですよ!

泥棒の神様なんて、日本の私たちからしたら変に感じるかもしれませんが、ヘルメス神はそういうイタズラ的な要素もたくさんある神様なのです!

さて、その牛を盗んだときに、ヘルメス神は並外れた頭の良さも表しました!

なんと、自分の盗みがばれないように、牛たちの足跡が逆向きになるように、後ろ向きに歩かせたんだそうです!

なるほど、やるなヘルメス!

って悪いことしてるのに感心してる場合じゃない!

さて、そうして逃げているその途中で、

ヘルメス神は老人バットスに見つかってしまいます。

でも、口止めをしてそのまま牛を連れて行ってしまったそうです。

さすが、現場を見られても平気な図太さ!

そして、途中では小枝を使って、編み上げて軽いサンダルを作って身につけた、ってことです。

ですから、翼のついたサンダルを履いているのが、ヘルメスの特徴です!

さて、こうして無事に牛を盗み出して、

明け方になってから、ヘルメス神は、生まれたアルカディアの、アルペイオス川のほとりまで帰ってきたということです。

そして、アポロン神から盗み出した50頭のうち、

二頭の牛を神々に犠牲に捧げた後、食べてしまいました!

いや〜、この図太さ、すごいです!

そして、残った牛たちは洞穴に隠して、

ヘルメス神はまた揺りかごに戻って、何にも知らない赤ん坊みたいに寝たふりしてたそうです!

この時点でまだヘルメス神は、生まれたばかりの赤ん坊だから、それがフツーなんですけどね!

でも、そうやって何も知らないフリをしてるヘルメス神を見て、

母親のマイアは、揺りかごを抜け出ていたのはお見通しだったみたいですよ!

だから自分が産んだ子供が、他の子達とは全然違う!と驚いたそうです。

うん、ヘルメス神は、さすが最高神ゼウスの子供なんです!

そうして、ヘルメス神がゆりかごで寝ていたら、

そこへ・・・

アポロン神が、自分の牛を探してやってきました!

アポロン神も、盗みの現場を目撃した老人バットスに出会って、

自分の牛を盗み出したのがヘルメス神だったことを知ったのです。

ヘルメス神ピンチ!

しかしヘルメスは、アポロンが怒ってやってきたのを見て、

揺りかごの中でとぼけて、何もできない赤ん坊のふりをしたそうです。

この変わり身の早さ、さすがヘルメス!

しかし!

もう盗みの事実を知っているアポロンは、そんなそらっとぼけに騙されません!

兄でもあるアポロンは、ヘルメス神に厳しく問い詰めますが、

ヘルメス神も、大したもの!

生まれたばかりの自分は何もできない、と平気で反論しちゃいます。

アポロン神は、そんなふうにヘルメスがすらすらと嘘をつくのに呆れはて!

じゃあもう仕方ない、お父さんのゼウスに頼むしかない!

と、神々が住むオリュンポス山へとヘルメスを連れて行くことにしました。

アポロンは、ヘルメスが自分の牛を盗んで、嘘をついていることを

父ゼウスに訴えます。が、

ヘルメス神は、生まれたばかりの自分が牛を盗めるわけがない!

と、逆にゼウスに無実を訴えます。

ゼウスの方はどうしたかというと、

生まれたばかりの赤ん坊のヘルメスが、兄に歯向かって堂々と反論するのに笑い出してしまったそうです。

だって、確かにそんな赤ん坊は他にいないですよね!

そして、結局ゼウスがどうしたかというと、

兄弟二人で力を合わせて、牛を探してくるように

と命じることにしました。

さすが!

お父さんはどっちかの肩を持つことはしなかったんですね!

それ大事!そうしないと兄弟喧嘩のモト!

そして結局ヘルメスは、牛を隠していた洞穴にアポロンを案内することになり、

アポロンの怒りを収めようとして、自分が亀で作った竪琴を弾いてみせました!

そうすると・・・

その美しい音色に魅せられたアポロンは、その竪琴をもらい受けました。

だから、アポロンはいつも竪琴を持ってる姿で描かれることが多いし、

アポロンも音楽の神様でもあるのです!

アポロン像 By: Jean-Pierre Dalbéra

そうしてヘルメスはまた、

シュリンクス笛(羊飼いが持つ笛)

も作り、アポロンのものは今後盗むことはしないと誓いました!

そうして、アポロンの方も、ヘルメスを受け入れることを誓い、

黄金の杖(ケリュケイオン)

を与えた、ということです。

これも、ヘルメス神はいつも持っている姿で描かれていますよ。

こうして、アポロンとヘルメスはこれ以後、とっても親しい神同士となったということですよ。

ケンカして、お父さんの仲裁で、仲良くなった、って、結局いい話だったかもね!

*アポロンについて詳しくは、こちらの記事もご参照ください!

>>ギリシャ神話のアポロン神って、いったいどんな神様?神界のマルチタレント?

ヘルメス神の役割は?神界のトリックスター!

さて、ではこの

ヘルメス神

どんな神様ですか?

と聞かれると、とっても返答に困るのです。

なぜかというと、「〜の神」と一言で言うには、その役割は色々ありすぎて、難しいのです。

まずは、ヘルメスといえば

使者の神

ゼウスなどの神々の頼みを聞いてあちこちに遣わされる使者です。

例えば、ゼウスがイオと恋をしていたときには、牛の姿になったイオを見張るように、ヘラがアルゴスという巨人をそばにつけていたのですが、

この時、ゼウスの使いで派遣されたヘルメスは、アルゴスを眠らせた上に殺して、

「アルゴス殺し」の神

とも呼ばれるようになったんですね。

この使者の役割を象徴として、ヘルメス神を絵や彫像で描くときには、

古代ギリシャの旅のファッションをして表されるんですよ。

まず、手に持っているのは、

使者の杖(ケリュケイオン)

そして、頭には、

旅の帽子(ペタソス)

をかぶり、足元は、

翼の生えたサンダル

これが、代表的な、

「ザ・ヘルメス・ファッション」!!

「ヘルメス像」(ギリシア彫刻オリジナル(紀元前5世紀)のローマ期(紀元前2世紀)コピー)

その他、ヘルメス神の役割としては、ざっとあげると

商売

盗み

賭け事

競技(スポーツなど)

音楽

天文学

数学

度量衡

旅人の神

道祖神

などなど、ズラーリ。

また、冥界の神様でもあり、

死者の魂を冥界に導く「プシュコポンポス」

として、冥界の案内人でもあったんです。

古代ギリシャの壺に描かれる壺絵で、死者の副葬品としてお墓に埋められたものには、

死者の手を引いて連れていくヘルメスの姿がよく描かれていたんです。

有名な壺絵では、英雄サルペドンが亡くなった時に、その遺体に付きそうヘルメス神の姿が見られます。

*中央の帽子を被って杖を持っている男性がヘルメス神です。

サルペドンを導くヘルメス(中央)、ヒュプノス(左)とタナトス(右)(紀元前515年頃)

こういうふうに、

いろんなジャンルの物事に関わって、実態がつかみどころがなく、

嘘やだましも駆使して、人間も神々も翻弄してしまうヘルメス神のような神様は、

いわゆる

「トリックスター」

という存在で、物事の常識を一瞬でひっくり返してしまうような存在と考えられています。

こういう「トリックスター」は各地の神話で見られ、そのギリシャ神話版が、ヘルメス神なのです!

ヘルメス神にかかれば、不可能は可能となり、常識は非常識となり、嘘は本当になる!

でも、普段私たちがしがみついてるそんな常識は、本当に価値がある?!

と自分たちの根本から揺るがしてしまうような神様

それが、ギリシャ神話のヘルメス神なのです!!

ヘルメス神の起源は?

さて、そんな

「トリックスター」

としてギリシャ神話で活躍する

ヘルメス神

オリュンポス12神の一人と数えられて、神々の中でも重要だったことは確かです!

しかし!

ヘルメス神は、実はもともとはギリシャ起源の神ではなかったみたいなんです。

もともとは、アルカディア地方だけで信じられていた牧畜の神・豊穣の神だったようで、

アルカディア地方では、ギリシャの他の地方では見られない変わった神々の信仰が見られます。

だから、元々の民族の系統が違うんじゃないのか、という説もあるみたいなんです。

古代ギリシャの先住民族と言われる「ペラスゴイ人」のものだったんじゃないか、ということですね。

それというのも・・・

ヘルメスの像としては、四角い角柱に、顔と、男性の大事な部分だけを刻んだ

「ヘルメス柱像」(ヘルマ)

っていうのがあるんですよね。

こんなやつ・・・

「ヘルメス柱像」(アッティカ赤像式レキュトス / 紀元前475–450年)

これを家の戸口や、道の辻などに置いて、境界にしていたんだそうです。

こういう「ヘルメス柱像」を立てる習慣が、

ペラスゴイ人のものだったんじゃないか、ってことですね!

でも、これについては、ギリシャの先住民族についてははっきりとした遺跡や文献が残っているわけじゃないので、確定するのが難しいんです。

まあ、あくまでも、「こういう説もある」って感じで受け止めておくしかなさそうですね!

ヘルメスの傑作彫刻は本物かニセモノか?!

そして、この

ヘルメス神

彼を描いた彫刻作品の中でもっとも有名なものは、

オリンピアで発掘された

『幼いディオニューソスを抱くヘルメス』

とても美しい彫刻でしょ?

この彫刻が1877年に発掘された当時は、

古代ギリシャで最も有名な彫刻家

プラクシテレス

の作品ではないか?

と話題になりました。

このプラクシテレスは紀元前4世紀に活躍した彫刻家ですが、現存作品がなくて、みんな模刻しか残っていないんですよね。

だからこのヘルメス像が発見された時には、

ついにプラクシテレスのオリジナル作品が見つかった?

と話題になったんですが・・・

その後では、これがオリジナルだという意見には疑問がつけられて、

ローマ期、あるいはそれ以降の模刻じゃないか、って議論もあるんですけど、

決定的な説にはなっていないみたいです。

でも、さしあたっては、これが紀元前4世紀に作られたプラクシテレスのオリジナルだという意見は否定されているみたいです。

しかし、古代の年代を確定するのは結構大変で、また新しい発見などもあれば変わってくるかもしれません。

現在はこの彫刻はオリンピア遺跡に併設されている博物館に収められています。

とっても美しい彫刻ですので、ぜひ一度見に行ってみてくださいね!

私も実物を初めて見た時には、その精巧さに「生きている人間が立ってる?」って錯覚を覚えたほどですよ!

ぜひご自分の目で、「これはプラクシテレス作の本物か、ニセモノか?」確かめてみてくださいね!

ローマに渡ったヘルメス神

さて、このギリシャ神話の

ヘルメス神

他の神々と同様に、のちにローマに受け継がれて行きます。

ローマに渡ると、ヘルメス神は、

ローマの神メルクリウス(Mercurius)

と同一視されることになりました。

メルクリウスはローマの商売の神であり、その神話は全てギリシャ神話のヘルメスのものを受け継ぐことになりました。

この

メルクリウス(Mercurius)

を、英語読みすると、

「マーキュリー」(Mercury)

になるわけですが、こっちの名前の方がおなじみという方も多いかもしれませんね!

水星はヘルメスの星!

さて、そういうわけで、

ギリシャ神話の

ヘルメス神

は、ローマ神話の

メルクリウス(Mercurius)

に受け継がれたのですが、

これにちなんで、

英語では、惑星の

「水星」

「マーキュリー」(Mercury)

と呼びます。

これは、古代ギリシャの時代から、

水星はヘルメスの星

と呼ばれていたことにちなむそうです。

ですので、次に夜空で水星を見るときは、ギリシャ神話のヘルメス神のことを思い出してくださいね!

現代のいろんな「ヘルメス」

そして、この

「ヘルメス」

「メルクリウス」

「マーキュリー」

は、現在でもいろんなところで見かける、おなじみのものとなっています!

一番よく聞かれるのは、

「ブランドのエルメスって、ヘルメス神のことですか?」

というやつ!

確かに、ブランドのロゴは

「Hermès」

フランス語だと「H」を発音しないので、「エルメス」と読みますが、綴りは「ヘルメス」です。

これは私も気になって調べてみましたが、

実はブランドの「エルメス」は、創業者が

ティエリー・エルメス(Thierry Hermès)

という人だったそうで、なんと個人名でした!!

でもね・・・

この名字の「エルメス」さんが誕生したのだって、絶対「ヘルメス神」と無関係とは言えないですよね!

何と言っても、ヨーロッパの大昔から、「ヘルメス神」はおなじみだったわけですからね!

そして、

「マーキュリー」(Mercury)

は、

「水銀」

と習った方も多いかもしれません。

おなじみの、学校で習わされる基本的な元素。

そして一定の世代以上になると、

「フレディ・マーキュリー」

の方がおなじみでしょうね!

そう、

伝説のロック・バンド「クイーン」のボーカル!!

もちろん、これは芸名で、彼の本名は「ファルーク・バルサラ」

でも、彼のおかげで「マーキュリー」も伝説の名前となりました!!

この「マーキュリー」という名前から、

ギリシャ神話のヘルメス神まで連想する方は、日本では少ないかもしれませんが、

ヘルメス神は音楽の神でもあるし、

それまでのロックの常識をぶち壊して伝説となった「フレディ・マーキュリー」には、ぴったりの名前だったと言えますね!!

「フレディ・マーキュリー」

の名前は、ヘルメス神と共に、永遠です!!

*映画『ボヘミアン・ラプソディー』も大ヒットしましたね!

ヘルメス神は夜空の水星とともに!

というわけで、ギリシャ神話のトリックスター

ヘルメス神

について、簡単にご紹介しました!

こうして見ると、意外と現代の私たちにも身近な神様だった!って気づいていただけると思います!

これからも、いろんな形の「ヘルメス」を見かけたら、

ギリシャ神話のヘルメス神を思い出してあげてくださいね!

でも、持ち物を取られないようにご用心?! 

なんと言ってもトリックスターで、イタズラ好きですからね・・・

-ギリシャ神話
-, ,