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ギリシャ神話

アトラスってなんで地球を支えているの?そのポーズの由来の神話とは?

皆さんは、ギリシャ神話に登場する、地球を担いでいる姿でおなじみの、

アトラス

という神様を知っていますか?

この神様、意外と日本では知名度がないように思います。

いや〜、それはもったいない。

ということで、そんな知られざる神様、

アトラス

について!

地球を支えてる姿でおなじみですが、一体なんで地球をかついでるのか、簡単にご紹介しますね!

アトラスはイアペトスの子供として誕生

さて、本日ご紹介する

アトラス

という神様について、その生まれからお話ししますと、

ティタン神族

という、ゼウスと支配権を争う大戦争(「ティタノマキア」と呼ばれます)を戦った神様たちの種族、

その一族に、アトラスは所属しています。

ではまずこのティタン神族についてご紹介しますと、

ウラノス(天)とガイア(大地)の創造の頃

に戻ります。

ウラノス(天)とガイア(大地)は多くの子供を作りましたが、その中に

イアペトス

がいました。

のちに覇権を握る、

クロノスの兄

にあたります。

*クロノスが父ウラノス(天)を倒した経緯についてはこちらの過去記事をご参照ください!

さて、このイアペトスは、同じくウラノスとガイアから生まれた兄弟・オケアノス(大洋)の娘である、

クリュメネ

を妻に迎えました。

ええ、要するに、叔父さんと姪っ子の間の結婚です。

今では避けられる近親婚ですが、ギリシャ神話の中ではよくあるんですね。

ちなみに、他の説では、イアペトスの妻は

同じくオケアノスの娘・アシア

あるいは

アソポス河神の娘・アソピスかリビュエ

だとも言われています。

要するに伝承が定まっていないんですね。

あ、ちなみに

アシア(Ἀσία)

は当然、私たちが住む

「アジア」の語源

となっております。

このアシアは、

「ヨーロッパ」の語源となった エウロぺ(Εὐρώπη)

よりも知名度が低いのが残念なんですけどね。

日本の私たちは知っておいてあげたいですよね〜

さて、話を戻しますと、

イアペトスと妻・クリュメネの間には、

  • アトラス (Ἄτλας)
  • メノイティオス (Μενοίτιος)
  • プロメテウス (Προμηθεύς)
  • エピメテウス (Ἐπιμηθεύς)

という名高い兄弟たちが生まれました。

アトラス神はこういう神様たちの兄弟として誕生したわけです。

この兄弟たちの中でも、

プロメテウスとエピメテウス

には、有名な神話がありますので、また改めて。

*プロメテウスの神話については、こちらの記事をご覧くださいね!

>>「プロメテウスの火」って一体何なの?

アトラスが天を支えているワケ

さて、このイアペトスの子たちは、皆、

ゼウスと敵対した「ティタン神族」

ということになりますから、

ゼウスは彼らを懲らしめる立場になります。

この神様のグループに属する

アトラス

については、『神統記』では、こんなふうに語られています。

また アトラスは 強い強制(アナンケ)のもとに 広い天を支えている

大地の涯(はて) 声澄める黄昏の娘(ヘスペリス)たちの面前で

疲れ知らぬ頭と腕で 立ったままの姿勢で。

この持ち分(モイラ)を 賢いゼウスが 彼に定められたからである。

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というわけで、要するにゼウスはアトラスに罰として、

天を支えるという使命

を与えたんですね。

つまり、

アトラスが支えていないと、天が落っこちてきてしまう!

というわけですね!

ですから、延々支え続けていなくちゃいけない。

しかも、当然重いですよね?!

そういう天を一人で支えるって、結構な苦行なはずですから、アトラスは大変な使命を受けてしまったわけです。

それにしても、支えないと天が落っこちてきちゃうって考えるなんて、

ギリシャ神話って、やっぱり奇想天外!

山にされちゃったアトラス?

しかし、後に、

歴史家ヘロドトスは

アトラスはアトラス山脈

だと考えています(第4巻184)。

アトラス山脈っていうのは、アフリカ北部に連なる山脈のことですね。

この大きな山脈のことを、神様として「アトラス」と考えたんですね。

でもそうやって、神様アトラスが現実にある山のことだ、と考えると、ずいぶんスケールが小さい気がしちゃいますけどね!

その他、後世のローマ時代にギリシャ神話に基づいて著作を著したオウィディウスによれば、

アトラスが、ペルセウスが持ってきたメドゥーサの首を見たせいで

大きな山に変わってしまった

というお話を伝えています。

オウィディウスの『変身物語』の第4巻によれば、

ペルセウスはメドゥーサの首を取った後、

アトラスのいるヘスペリアで一休みさせてもらおうと頼んだそうです。

しかし、以前の神託で、ユピテルの息子によって黄金の輝きを奪われると聞いていたアトラスは、ペルセウスを恐れてこの申し出をはねつけます。

これを怒ったペルセウスは、仕返しに、持っていたメドゥーサの首をアトラスに見せるのです。

カラヴァッジォの「メドゥーサ」

すると・・・

 アトラスは、その大きなからだ通りの、大きな山に変わってしまった。ひげと髪が木々となり、肩と手は尾根となる。頭だったところは、山頂になっている。骨は、石になる。それから、それが神々のみ心だったからだが、はてもなく四方へ大きくなっていって、全天空が、おびただしい星々もろともに、彼のうえに乗っかった。

というわけで、

アトラスは山として、天空を支えることになった

ということです。

この話は、このオウィディウスの著作の中でしか語られていないので、彼が手本にしたギリシャ神話がどういうものだったのか、今ではわからないのですが・・・

おそらく同様の話がギリシャでも伝えられていて、それをオウィディウスがラテン語で書き直した、と考えられています。

詳しくは、オウィディウスの『変身物語』を読んでみてくださいね!

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*英雄ペルセウスについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!

>>英雄ペルセウスってどんな人?ゴルゴン退治やアンドロメダとの恋!

現代のなぜか地球を支えるアトラス

さて、そんな

アトラス

ですが、

不思議なことに現代では、

「地球を支えている」姿で描かれる

ことが多いようです。

地球を支える姿が定番のアトラス

本当だったら、アトラスは「天」を支えていたはずなのにね?

こういうふうに地球をかつぐようになった、というのは、実は

「アトラス」は「地図帳」を指す言葉

にもなったからです!

もちろん、この「地図帳」の語源はこのティタン神族のアトラスです。

16世紀に

地理学者メルカトル

が地図帳を出版する際に、表紙にこのアトラスを描いたことから、

地図帳が「アトラス」と呼ばれるようになった

と言われています。

1569年出版 メルカトルの世界地図

不思議なところで、ギリシャの神様アトラスが地図帳と結びついていったんですね!

そんなわけで、今でも

「アトラス」という地図帳

をちょくちょく見かけることになりました。

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今後、街で「アトラス」という地図帳を見かけたら、

ギリシャ神話のティタン神族の「アトラス」も思い出してくださいね!

宇宙規模になったアトラス

その他、現在では、

アメリカの衛星打ち上げロケットが

「アトラス」

と名付けられています。

アトラスIIASロケットの打ち上げ(2000年12月6日)

アトラスも今や、宇宙規模ですね!

その他、

1980年に発見された土星の衛星は「アトラス」と命名

土星の衛星・アトラス

この写真だけ見ると、なんだかよく分かりませんけどね。

ギリシャ神話の巨人アトラスの名前を持った衛星ですが、特に天を支えてはいないところがポイントです!

今でも私たちに身近なアトラス

そんなわけで、

ギリシャ神話のティタン神族の一人

アトラス

は、今でも私たちに身近な神様となったわけです。

そういうわけで、その神話は知らなくとも、あちこちでその名前「アトラス」を耳にしたことはきっとあるはず!

次に空を見つめるときには、

「アトラスが天を支えてるんだな」

とぜひ思ってあげてくださいね!!

彼の苦行もきっと、浮かばれるかも?!

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