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ギリシャ神話

[ギリシャ神話]アトラスってなんで地球を支えているの?

2018/02/01

さて、本日はギリシャ神話のお話です。

前回はゼウスの支配を確立した

ティタンとの戦い(ティタノマキア)についてお話しました。

[ギリシャ神話]ゼウスとティタンたちの戦い

しかし、この戦い以外で、ゼウスと浅からぬ因縁を持つティタン神族がいるのです。

本日はその、イアペトスの子供達、その中のアトラスについて。

アトラスって、地球を支えてる姿でおなじみですが、なんで地球をかついでるのかな〜?

volfdrag / Pixabay

イアペトスの子供たち

時代は少しさかのぼって、

ウラノス(天)とガイア(大地)の創造の頃に戻ります。

ウラノス(天)とガイア(大地)は多くの子供を作りましたが、その中にイアペトスがいました。

のちに覇権を握る、クロノスの兄にあたります。

*クロノスが父ウラノス(天)を倒した経緯についてはこちらの過去記事をご参照ください!

ウラノスの時代の終わり:ギリシャ神話

さて、このイアペトスは、同じくウラノスとガイアから生まれた兄弟・オケアノス(大洋)の娘、クリュメネを妻に迎えました。

ええ、要するに、叔父さんと姪っ子の間の結婚です。

今では避けられる近親婚ですが、ギリシャ神話の中ではよくあるんですね。

ちなみに、他の説では、イアペトスの妻は、

同じくオケアノスの娘・アシア、

あるいはアソポス河神の娘・アソピスかリビュエだとも言われています。

要するに伝承が定まっていないんですね。

あ、ちなみにアシア(Ἀσία)は当然、我らが「アジア」の語源となっております。

800px-asia_satellite_orthographic-288x300現在の「アジア」地域

このアシアは、「ヨーロッパ」の語源となったエウロぺ(Εὐρώπη)よりも知名度が低いのが残念なんですけどね。

日本の私たちは知っておいてあげたいですよね〜

さて、話を戻しますと、

イアペトスと妻・クリュメネの間には、名高い兄弟たち

アトラス(Ἄτλας)

メノイティオス (Μενοίτιος)

プロメテウス (Προμηθεύς)

そして

エピメテウス (Ἐπιμηθεύς)

が生まれました。

この兄弟たち、とりわけてプロメテウスとエピメテウスには、有名な神話がありますので、また改めて。

本日はこの中で、アトラスについてです。

*プロメテウスの神話については、こちらの記事をご覧くださいね!

[ギリシャ神話]「プロメテウスの火」って一体何なの?

天を支えるアトラス

さて、このイアペトスの子たちは、

皆、ゼウスと敵対した「ティタン神族」ということになりますから、

ゼウスは彼らを懲らしめる立場になります。

アトラスについて、神統記では、こんなふうに語られています。

また アトラスは 強い強制(アナンケ)のもとに 広い天を支えている

大地の涯(はて) 声澄める黄昏の娘(ヘスペリス)たちの面前で

疲れ知らぬ頭と腕で 立ったままの姿勢で。

この持ち分(モイラ)を 賢いゼウスが 彼に定められたからである。

と、いうわけで、ゼウスはアトラスに罰として、天を支えるという使命を与えました。

つまり、アトラスが支えていないと、天が落っこちてきてしまう、というわけですね!

ですから、延々支え続けていなくちゃいけない。

しかも、当然重いですよね?!

そういう天を一人で支えるって、結構な苦行なはずですから、アトラスは大変な使命を受けてしまったわけです。

それにしても、支えないと天が落っこちてきちゃうって考えるなんて、

ギリシャ神話って、やっぱり奇想天外!

Shingo_Nono / Pixabay

山にされちゃったアトラス?

しかし、後に、歴史家ヘロドトスは、

アトラスをアトラス山脈と同一視しています(第4巻184)。

アトラス山脈っていうのは、アフリカ北部に連なる山脈ですよ〜

この大きな山脈のことを、神様として「アトラス」と考えたんですね。

でもそうやって、神様アトラスが現実にある山のことだ、と考えると、ずいぶんスケールが小さい気がしちゃいますけどね!

その他、後世のローマ時代に

ギリシャ神話に基づいて著作を著したオウィディウスは、

アトラスが、ペルセウスが持ってきたメドゥーサの首を見たせいで、大きな山に変わってしまった、

というお話を伝えています。

オウィディウスの『変身物語』の第4巻によれば、ペルセウスはメドゥーサの首を取った後、

アトラスのいるヘスペリアで一休みさせてもらおうと頼んだそうです。

しかし、以前の神託で、ユピテルの息子によって黄金の輝きを奪われると聞いていたアトラスは、ペルセウスを恐れてこの申し出をはねつけます。

これを怒ったペルセウスは、仕返しに、持っていたメドゥーサの首をアトラスに見せるのです。

カラヴァッジォの「メドゥーサ」

すると・・・

 アトラスは、その大きなからだ通りの、大きな山に変わってしまった。ひげと髪が木々となり、肩と手は尾根となる。頭だったところは、山頂になっている。骨は、石になる。それから、それが神々のみ心だったからだが、はてもなく四方へ大きくなっていって、全天空が、おびただしい星々もろともに、彼のうえに乗っかった。

というわけで、アトラスは山として、天空を支えることになった、ということです。

この話は、このオウィディウスの著作の中でしか語られていないので、彼が手本にしたギリシャ神話がどういうものだったのか、今ではわからないのですが・・・

おそらく同様の話がギリシャでも伝えられていて、それをオウィディウスがラテン語で書き直した、と考えられています。

詳しくは、オウィディウスの『変身物語を読んで見てくださいね〜

なぜか地球を支えるアトラス

さて、そんなアトラスですが、

不思議なことに現代では、アトラスは「地球を支えている」姿で描かれることが多いようです。

*こんなカンジ!

titanen_atlas_nordisk_familjebok

本当だったら、アトラスは「天」を支えていたはずなのにねえ〜

こういうふうに地球をかつぐようになった、というのは、実は「アトラス」は「地図帳」を指す言葉にもなったからです。

もちろん、この「地図帳」の語源はこのティタン神族のアトラスです。

16世紀に地理学者メルカトルが地図帳を出版する際に、表紙にこのアトラスを描いたことから、地図帳が「アトラス」と呼ばれるようになった、との言われています。

800px-mercator_1569

1569年出版 メルカトルの世界地図

不思議なところで、ギリシャの神様アトラスが地図帳と結びついて行ったんですねえ〜

そんなわけで、今でも「アトラス」という地図帳をちょくちょく見かけることになりました。

今後、街で「アトラス」という地図帳を見かけたら、ギリシャ神話のティタン神族の「アトラス」も思い出してくださいね〜!

宇宙規模のアトラス

その他、現在では、

アメリカの衛星打ち上げロケットが、

「アトラス」と名付けられています。

800px-atlas_iias_launch

アトラスIIASロケットの打ち上げ(2000年12月6日)

アトラスも今や、宇宙規模ですな〜

その他、1980年に発見された土星の衛星には、「アトラス」の名がつけられています。

atlas_nasa

この写真だけ見ると、なんだかよく分かりませんけどね。

ギリシャ神話の巨人アトラスの名前を持った衛星ですが、特に天を支えてはいないところがポイントです!

身近なアトラス

そんなわけで、

ギリシャ神話のティタン神族の一人、アトラスは、

今でも私たちに身近な神様となったわけです。

その神話は知らなくとも、あちこちでその名前「アトラス」を耳にしたことはきっとあるはず!

次に空を見つめるときには、

「アトラスが天を支えてるんだな〜」

とぜひ思ってあげてくださいね!!

彼の苦行もきっと、浮かばれますよ〜?!

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