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ギリシャ神話が題材の映画

ギリシャ神話が題材の映画「インモータルズ」

本日は、ギリシャ神話が題材の映画をご紹介してみようと思います。

ギリシャ神話を題材にした映画は、ハリウッドでも定期的に作られていて、

メインじゃなくとも、脇役でギリシャ神話関連の人・怪物が出てくることもよくありますね。

ギリシャ神話がわかってると、そういう映画を見ても楽しくなります!

本日はまず、インド出身の名監督ターセム・シンの

「インモータルズ」

をご紹介してみたいと思います。

ええ、先に言っときます。

「陰毛」

じゃないですよ。

「インモータルズ」(Immortals) です。

英語で、「不死なる者たち」、という意味です。

つまり神々を指しています。ギリシャ神話で神々は死にませんからね、基本的に。

そういうわけで、副題は「神々の戦い」となっています。

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というわけで、タイトルを見ても「ギリシャ神話が題材の映画なんだな〜」というのがよくわかりますが、

見てみると、これが色々突っ込みどころ満載の映画でした

以下、もとのギリシャ神話から言うと、この映画のおかしいところをいくつか突っ込んでみたいと思います。

1. キャストにインド人

いや、私は別に差別主義というわけではないですが・・・

ギリシャ神話のお話に、キャストにインド人が入ってるのは、ある意味「斬新!」

主人公テーセウスの妻になるパイドラー役が、

インド出身で、「スラムドック$ミリオネア」で一躍名を馳せた、

フリーダ・ピントーさん

190px-Freida_Pinto_Cannes_2012

いえね、美しい素敵な女優さんですけど、

ギリシャ神話にインド人が入るというこの違和感!

まあ、いいや・・・映画ですからね!

まあそれを言ったら、主人公の英雄テーセウスを演じたのだって、

イギリス人のヘンリー・カヴィル

250px-Henry_Cavill_2013

ですからね!

ギリシャ神話だって、グローバル・スタンダードですよ!

いえい!!

 

2.  パイドラーは巫女じゃない

そのフリーダさんが演じたパイドラーですが、

映画の中では予言を下す巫女、ということになってますがね。

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ギリシャ神話の中のパイドラーは、別に巫女じゃありませんよ。

クレータの王ミーノースと、パシパエーの間の娘です。

テーセウスは、先にアマゾーンの女王ヒッポリュテーの間に子供がいたのですが、

いわばパイドラーは後妻さんとしてテーセウスと結婚したというわけです。

だからそもそもこの映画のように、若きテーセウスが巫女パイドラーに出会って恋に落ちる、というストーリーはありえないんですよね。

そしてさらに、このパイドラーには有名な恋愛物語があります・・・

それは、エウリーピデースの『ヒッポリュトス』という作品に詳しいのですが、

テーセウスの妻になったパイドラーは、義理の息子(先妻ヒッポリュテーとの間の子)である美青年、ヒッポリュトスに恋してしまいます。

はじめは、この道ならぬ恋に苦しみ、自ら命を絶とうとしますが、パイドラーを世話してきた乳母の助言により、乳母を通じてヒッポリュトスに恋を打ち明けることになります。

しかし、潔癖な青年だったヒッポリュトスは、この道ならぬ恋の申し出に大激怒!!

父テーセウスに訴えるぞ!と脅して、パイドラーの心を引き裂いてしまいます。

これに絶望したパイドラーは、自ら命を絶ってしまいますが、

死ぬ前に夫テーセウスに、ヒッポリュトスの方が自分に恋して、自分に乱暴したので、死にます、と書置きを残していたのです。

まあ、最後に、命がけの仕返しですよね・・・

転んでもただでは起きない女、パイドラー!!

これを読んだ夫テーセウスはヒッポリュトスに激怒!

実の息子なのに、死の呪いをヒッポリュトスにかけてしまいます。

この呪いのために、ヒッポリュトスは馬に引きずられて死んでしまいました・・・

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ローレンス・アルマ=タデマ「ヒッポリュトスの死」(1860年)

というお話・・・

そう、超ドロドロです!!

だから、まあ、映画のパイドラーは、ギリシャ神話のパイドラーと、相当違う、というわけですね。

3. そもそも、神様は死なない

そして、この映画の一番トンデモないところは、

ティターン(タイタン)たちとの戦いで、神々がバタバタ殺されていくところでしょう。

これって、

タイトルの「インモータルズ」(不死なる者たち)にも矛盾するんだけど、いいのか?

そう、ギリシャ神話では、神々は死なないのです。

ギリシャ語で「アタナトイ」(ἀθάνατοι) とは「不死なる者たち」つまり神々を指しています。

でも、この映画では、どんどん死んじゃう!

この戦いのシーンは、ヘーシオドスの『神統記』に出てくる

ティターン神族(タイタン)と、ゼウスを中心とするオリュンポス神族の戦い(ティターノマキアー)

からきているようです。

神統記 (岩波文庫 赤 107-1)

『神統記』によれば、ゼウスたちはティターン神族と、丸10年もの間戦いをくりかえしたのだそうです。

そこで、ゼウスは三人のヘカトンケイル(百手巨人)を味方につけて、勝利を手にしようとします。

ゼウスとヘカトンケイルに対して、ティターンたちも激しく戦いましたが、ついにゼウスたちオリュンポス神族が勝利を得て、ティターンたちを地下へ幽閉しました。

敗れたティターンたちは、大地の底深くのタルタロスに、ポセイドーンが作った青銅の門の下にと閉じ込められたそうです。

で、この映画では、このタルタロスの幽閉が破られて、ティターンたちが再びゼウスたちと戦う、ということなんだと思うんですけど・・・

神話で語られる、10年も続いた争いでも、神々が死んだとは書かれていないので、

やっぱり神々は本当は死なないのですよ。

だから、この映画で神々がどんどん死に出した時には、

心の底から「え〜〜!!!!!」

でしたよね・・・

死んでいいんかい・・・・・

・・・・・

というわけで、この映画のびっくりな点を三つ書いてみましたが、そのほかにも突っ込みどころ満載だったので、興味を持った方はぜひ本編をご覧になってくださいね!

ギリシャ神話的には、なかなか思い切ったトンデモ映画、ぜひお楽しみあれ!

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