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ギリシャにまつわる映画

『インモータルズ』はギリシャ神話が題材の映画!

インド出身の名匠ターセム・シン監督のファンタジー大作映画

『インモータルズ』

この映画は、実はギリシャ神話が題材になっている映画なのです。

ギリシャ神話を題材にした映画はハリウッドでも定期的に作られていて、

メインじゃなくとも、脇役でギリシャ神話関連の人・怪物が出てくることもよくあるんですよね。

そんなわけで、この映画も実はギリシャ神話がベースになって作られているのですが、

いろいろと大胆なアレンジも加えられていて斬新でした!

『インモータルズ』とは「不死なる神々」という意味!

というわけで、映画

『インモータルズ』

についてご紹介していきたいと思います!

ええ、先に言っときますが、「陰毛」じゃないですよ。

「インモータルズ」(Immortals)

というのは、英語で、

「不死なる者たち」

という意味です。

これはギリシャ神話で、神々のことを指す言葉。

ギリシャ語では、神様たちのことを

「不死なる者たち」=

「アタナトイ」(ἀθάνατοι) 

とも呼ぶのです。

神々というのは死にませんからね、基本的に。

そういうわけで、

この映画の副題は「神々の戦い」となっています。

というわけで、タイトルを見ても「ギリシャ神話が題材の映画なんだな」と分かります。

そういうことで、この映画はギリシャ神話に基づいて作られているのですが、

実際見てみたところ、

色々突っ込みどころ満載の映画でした

以下、もとのギリシャ神話から言うと、この映画のおかしいところをいくつか突っ込んでみたいと思います。

トンデモポイント1: キャストにインド人

いや、私は別に差別主義というわけではないですが・・・

ギリシャ神話のお話に、キャストにインド人が入ってるのは、ある意味「斬新!」

この映画では主人公テーセウスの妻になるパイドラー役が、

インド出身で、「スラムドック$ミリオネア」で一躍名を馳せた、

フリーダ・ピントーさん

いえね、美しい素敵な女優さんですけど、

ギリシャ神話にインド人が入るというこの違和感!

まあ、いいや・・・映画ですからね!

『スラムドック$ミリオネア』は面白かったですよね!

まあそれを言ったら、

主人公の英雄テーセウス

を演じたのだって、

イギリス人のヘンリー・カヴィル

ですからね!

*ヘンリー・カヴィルは「スーパーマン」役で世界的に有名ですよね!

『マン・オブ・スティール』

話を戻すと、

そういうわけで、キャストは国際色豊か!もはや国籍は問わない!

ギリシャ神話だって、グローバル・スタンダードですよ!

Immortals - Official Trailer
*『インモータルズ』予告編

トンデモポイント2:パイドラーは巫女じゃない

そのフリーダさんが演じたパイドラーですが、この映画の中では

予言を下す巫女

ということになってますがね。

しかしですね、

ギリシャ神話の中のパイドラーは巫女じゃありません!

クレータの王ミーノースと、パシパエーの間の娘です。

テーセウスは、先にアマゾーンの女王ヒッポリュテーの間に子供がいたのですが、

いわば

パイドラーは後妻さんとしてテーセウスと結婚した

というわけです。

だからそもそもこの映画のように、

若きテーセウスが巫女パイドラーに出会って恋に落ちる、

というストーリーはありえないんですよね。

そしてさらに、

パイドラーには実は、有名な恋愛物語があります・・・

それは、

エウリーピデース作の悲劇『ヒッポリュトス』

という作品に詳しいのですが、

テーセウスの妻になったパイドラーは、

義理の息子(先妻ヒッポリュテーとの間の子)である美青年、ヒッポリュトスに恋してしまいます!

不倫というか、なんというか、とにかく

道ならぬ恋!

パイドラはこの恋に苦しみ、自ら命を絶とうとしますが、

パイドラーを世話してきた乳母の助言により、乳母を通じてヒッポリュトスに恋を打ち明けることになります。

しかし・・・

潔癖な青年だったヒッポリュトスは、この道ならぬ恋の申し出に大激怒!!

父テーセウスに訴えるぞ!と脅して、パイドラーの心を引き裂いてしまいます。

これに絶望したパイドラーは、自ら命を絶ってしまいますが、

ヒッポリュトスの方が自分に恋して、自分に乱暴したので、死にます、

と死ぬ前に夫テーセウスに、書置きを残していたのです。

まあ、最後に、命がけの仕返しですよね・・・

転んでもただでは起きない女、パイドラー!

これを読んだ夫テーセウスはヒッポリュトスに激怒!

実の息子なのに、死の呪いをヒッポリュトスにかけてしまいます。

この呪いのために、ヒッポリュトスは馬に引きずられて死んでしまいました・・・

というお話・・・

そう、

超ドロドロなお話

です!!

だから、まあ、映画のパイドラーは、ギリシャ神話のパイドラーと、相当違う、というわけですね。

かなり映画のオリジナルのキャラクターなんだと思ってください!

*パイドラのお話について詳しくは、エウリピデス作の悲劇「ヒッポリュトス」を読んでみてくださいね!

*パイドラのお話については、こちらの記事もご参照ください!

トンデモポイント3:そもそも、神様は死なない

そして、この映画の一番トンデモないところは、

ティターン(タイタン)たちとの戦いで、神々がバタバタ殺されていく!

というところでしょう。

これって、

タイトルの「インモータルズ」(不死なる者たち)にも矛盾するよね?

いいのか?

死んでるじゃん!?

そう、本来ならば、

ギリシャ神話では、神々は死なないのです!

でも、この映画では、どんどん死んじゃう!

この戦いのシーンは、

ヘーシオドスの『神統記』

に出てくる

ティターン神族(タイタン)と、ゼウスを中心とするオリュンポス神族の戦い(ティターノマキアー)

を題材にしているようです。

この『神統記』によれば、ゼウスたちはティターン神族と、丸10年もの間戦いをくりかえしたのだそうです。

そこで、ゼウスは三人の

ヘカトンケイル(百手巨人)

を味方につけて、勝利を手にしようとします。

ゼウスとヘカトンケイルに対して、ティターンたちも激しく戦いましたが、ついにゼウスたちオリュンポス神族が勝利を得て、ティターンたちを地下へ幽閉しました。

敗れたティターンたちは、大地の底深くのタルタロスに、ポセイドーンが作った青銅の門の下にと閉じ込められたそうです。

しかしこの映画では、このタルタロスの幽閉が破られて、

ティターンたちが再びゼウスたちと戦う

ということなんだと思うんですけど・・・

神話で語られる、10年も続いた争いでも、神々が死んだとは書かれていないので、

やっぱり神々は本当は死なないのですよ!

だから、この映画で神々がどんどん死に出した時には、心の底から

「え〜〜!!!!!」

でしたよね・・・

死んでいいんかい・・・・・

・・・・・

*ティタン神族との戦いについて詳しくは、こちらの記事もご参照ください!

>> ティタンたちとの戦い:ティタノマキアって一体何?ゼウスが世界の支配者となるまで

一度見て欲しいトンデモギリシャ神話!

というわけで、この映画

『インモータルズ』

を見てみたら、一応ギリシャ神話に基づいて作られているのにびっくりした点を三つ書いてみましたが、そのほかにも

ギリシャ神話的には突っ込みどころ満載

な映画だったので、興味を持った方はぜひ本編をご覧になってくださいね!

映画自体のクオリティとしては、

かの有名なターセム・シン監督の作品だけあって、

斬新な(けど時々残酷な)映像美にあふれていて、幻想的な作品になっていますよ!

天才監督がギリシャ神話を解釈すると、こうなるんだ!って驚きにあふれていますが・・・

ギリシャ神話的には、なかなか思い切ったトンデモ映画、ぜひお楽しみあれ!

*この映画『インモータルズ』は、DVD&ブルーレイ、そして各種動画配信サービスで見ることができます!ぜひ一度、この斬新なギリシャ神話の世界を楽しんでみてくださいね!

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