冬の空を彩る星座
うお座
この星座にまつわるギリシャ神話をご存知ですか?
実は「うお座」の表す魚は一匹だけじゃなくて二匹!
それはギリシャ神話の美の女神アフロディテと、お供のエロスを表しているのだそうです。
一体どうして二人は魚になったのか?
その由来となる神話をご紹介します!
「うお座」ってどんな星座?
それではまず初めに、今回ご紹介する
「うお座」ってどんな星座?
ってところからお話ししたいと思います!
「うお座」(魚座 / Pisces)は、11月・12月に南の夜空を彩る星座。
黄道十二星座の一つですが、あまり明るい星がないので、うっかりすると見逃してしまいそうな星座です。
その形は、二匹の魚が紐で繋がれている様子を描いているのだとか。
紐の端に、それぞれ「北の魚」、「西の魚」が結ばれているのが見られます。
α星は 「アルレシャ」 (Alrescha 「ひも」という意味)
二匹の魚をつなぐ紐の結び目に当たります。
地球からの距離は八四光年。4等星と5等星の連星ですので、ささやかな光の星ですね。
β星は 「フム・アル・サマカー」 (Fumalsamakah)
これも4等星で、「西の魚」の方の口先のところにあります。
そんなふうに、光はそれほど強くはない星座ですが、月のない夜なら肉眼でも見ることができるそうですので、この時期には南の空でぜひ探してみてください!
「うお座」のギリシャ神話!
それでは、そんな二匹の魚の姿を表している
うお座にまつわるギリシャ神話
一体どんなものなのか、ご紹介しましょう!
この神話に登場するのは、
ギリシャ神話の愛と美の女神・アフロディテ
そして、そのお供として付き添っていた
愛の神エロス
(*正式にはアプロディーテーとエロースですが、日本でおなじみの書き方にしておきますね!)
なのですが、異なるバージョンが伝わっていますので、二つともご紹介します!
その1:アフロディテとエロスの変身した姿!
まず一つ目は、
アフロディテとエロスがユーフラテス川沿いを歩いていたところ、
怪物のテュポン
が突然現れて、二人を驚かしたということです。
「テュポン」というのは、女神ガイア(大地)がタルタロス(地の底)との間にもうけたという怪物のこと。
その姿は巨大で、頭は天に届くほど、肩から百の竜の頭が生え出ていたということです。
太腿までは人間の姿をしていて、足は大蛇の姿。
羽が生えていて、目からは火を吹いた化け物。
この「テュポン」は、ネメアのライオンや、ヒュドラ(水蛇)などの恐ろしい怪物の父親だということです。
『テュポン』(紀元前540年〜530年頃)
そんな怪物が突然現れたので、
驚いたアフロディテとエロスは、魚に姿を変えて逃げていった
ということです。
いや、川のそばにいたからと言って、なぜ魚に姿を変えたのかはよく分からんですが、
ともかく
これを記念して、二匹の魚が天に上げられて「うお座」となった
ということなんですね。
よく分からない不思議なお話しですが、ともかく
美しいアフロディテとエロスの変身した姿
ってことですので、ただの魚よりはありがたいじゃないですか。
その2:卵を助けた魚たち
そしてもう一つ、後の時代になって語られている話によると、
ユーフラテス河に天から巨大な卵が落ちてきたということです。
それを魚たちが岸まで転がしていきました。
その卵の上に鳩たちが座って、卵を温めると、その中からアフロディテが誕生しました!
という、またまた不思議なお話し。
な、なんで鳩が卵を温めるとアフロディテが?!
と思うはずですが、鳩はアプロディテの聖獣とされていて、神域には鳩が飼われていたそうですよ。
そしてこの卵から生まれた女神はのちには、シュリア・デア(シリアの女神)と呼ばれたとか。
アフロディテがゼウスにお願いして、この魚たちを星座に加えて「うお座」になったということです。
このためシリア人は、鳩と魚を神だと思って、食べないのだそうです。
ギリシャ神話なのになぜオリエント?
ところで、この「うお座」の神話では、どちらでもユーフラテス河が出てきたり、
アフロディテが「シリア」の女神って呼ばれたりするの?
って不思議に思われる方もいるかもしれませんが、
実はもともとは、アフロディテはオリエントのアシュタルテ女神、イシュタル女神と同じ起源を持つと考えられているのです。
その女神がギリシャ神話に取り込まれて、「アフロディテ」になったのだろうと。
ですので、この「うお座」の神話も、
もともとはオリエントの神話
で、女神アシュタルテとその子供の話だったのが、
ギリシアに伝わってアプロディテとエロスの話になった
と考えられています。
アフロディテは最初に降り立ったのがキプロス島と言われていますが、
このキプロス島もシリアに近いので、確かにオリエントの影響はありそうですね!
エロスとアフロディテって親子?
そして、この神話では、
エロスとアフロディテがユーフラテス河沿いを歩いていた
ってことなんですが、
エロスとアフロディテって親子?
ってところも実は疑問です。
実はエロスの誕生についてはいろんなお話があって
エロスの母親については
・お産の女神エイレイテュイア
・虹の女神イリス
だという説もあります。
母親がアプロディテ、という場合でも、
・父親はヘルメス神
・父親は軍神アレス
という説もあるのですね。
だからちょっと、神話が色々語られすぎててよく分からない部分があるのですが、
ともかくエロスはアフロディテに付き従うお付きの神、っていうのは間違いないです。
*アフロディテについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
うお座の星占い
さて、そんな神話を持つ
うお座 (魚座)
ですが、
西洋占星術では黄道十二宮の12番目である
双魚宮(そうぎょきゅう)
2月20日〜3月20日に生まれた方達が、いわゆる「魚座生まれ」。
水の星座、女性の星座、そして柔軟な星座です。
この星座生まれの人たちは、
とっても感情豊かで、愛情深い人。
どちらかというとお人好し。
でも自分の考えをしっかり持っていて、スケールの大きな生き方をすることができる人たちのようです。
芸術を理解する力もあるのだとか。
なんだかそんなところも、さすがは愛と美の女神アフロディテが変身した魚の星なんだな、と納得しちゃいますね。
アフロディテも愛情豊かで、数々の恋愛神話を持つ女神。
そして実はオリエント起源でギリシャに渡ってきて、ってスケールの大きさも感じられるような。
もしご自身が、あるいは身近な人が「うお座」だという方達は、
ぜひこのうお座にまつわるギリシャ神話も思い出してあげてほしいです!
「うお座生まれ」に対する理解が深まるかも?!
「うお座」をみたら思い出してね!
というわけで本日は、
冬の空を彩る星座
うお座
この星座にまつわるギリシャ神話をご紹介しました!
実は「うお座」の表す魚は一匹だけじゃなくて二匹いて、
ギリシャ神話の美の女神アフロディテと、お供のエロスを表しているのでした。
なんとも不思議なお話が語られている「うお座」。
「うお座生まれ」の方達だけじゃなくて、身近な人が「うお座」だという方達も、
次に「うお座」を目にしたら、ぜひこの不思議なギリシャ神話を思い出してあげてくださいね!
*この記事の中の占星術に関する部分については、次の本を参照させていただきました。とっても読みやすくてオススメです!
*この記事が気になった方は、こちらの記事も合わせてどうぞ!