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[ギリシャ神話]悲劇の予言者・カッサンドラ!

更新日:

先日の記事で少し

ギリシャ神話の悲劇の予言者

カッサンドラ王女

について触れたので、

本日はもう少し詳しく、カッサンドラ王女についてお話しします。

カッサンドラは、真実の予言をみんなに信じてもらえず、

しかも自分の死に方まで予言できてしまった、

という悲しいお話しが残っているんです・・・

トロイアの美貌の王女カッサンドラ

カッサンドラは、ギリシャ神話に登場する、トロイアの王女です。

父はトロイア王プリアモス

母は王妃ヘカベ

という、王家の娘。

同じ両親の兄弟に、世嗣ぎのヘクトル、

そしてトロイア戦争の原因となった、パリスがいます。

カッサンドラは、王の多くの娘の中で一番美しかった、

と伝わっている、美しい王女でした。

滅びゆくトロイアの美貌の王女

なんて、話を聞いただけでどんな女性だったのか、想像力をかきたてられますよね!

*トロイアの遺跡に建てられているトロイの木馬のモニュメント

StoryTolley / Pixabay

アポロンに愛されて巫女に

そんな美しきトロイアの王女カッサンドラ

彼女の運命が変わるのは、

その美しさゆえに神アポロンに愛されてしまったからです。

アポロンは彼女に、予言の力を与えるから自分のものになるよう迫り、

カッサンドラも一度は受け入れて、その予言の力を手に入れるのですが、

その後心変わりをし、神アポロンを裏切って拒絶してしまいます。

拒絶されて怒ったアポロンですが、予言の力はもう与えてしまっているので、

罰としてカッサンドラの予言を誰も信じないようにしてしまいました。

そのため、のちにカッサンドラは、トロイアがギリシャ軍に敗れて、

トロイア城が落城することを予言しましたが、

誰もカッサンドラの予言を信じてはくれませんでした。

しかし、結局トロイア城は予言の通り滅びてしまったのですね。

このように、正真正銘の本物の予言者だったのに、

誰にも信じてもらえなかった、という悲劇的な予言者が、

カッサンドラだったのです。


「炎上するトロイア城とカッサンドラ」(イーヴリン・ド・モーガン/1898年)

トロイア落城後のカッサンドラ

カッサンドラの予言通り、トロイアが滅亡してしまうと、

それまで王女として何不自由なく暮らしてきたカッサンドラは、

敗軍の惨めさを知ることになります。

トロイア落城の際にカッサンドラは、

ギリシャ軍に追われてアテナ女神の像にすがって助けを求めます。

本来、神の像は神聖なものですから、

その前で血を流したり暴行することは、宗教的に禁じられているため、

追い詰められた人々はよくこうして神の像にすがって救いを求めていたのですね。

しかし、ギリシャ軍の小アイアスは、この掟を破って、カッサンドラに暴行します。


「カッサンドラを神像から引き離そうとする小アイアス」

それまで王女として下にも置かない扱いを受けてきたカッサンドラには、

耐えがたい屈辱だったに違いありません。

ちなみにこの後小アイアスは、このように宗教的に禁じられている行為に及んだため、神の怒りによって命を落としたとされています。

そしてその後、カッサンドラは、

ギリシャ軍の総大将であるアガメムノン王の女奴隷にされてしまいます。

要するに、妾にされてしまったということです。

王女だった女性が奴隷とは・・・

運命の残酷な急展開です。

こうして奴隷となったカッサンドラですが、その美しさを気に入ったアガメムノン王は、

故郷のアルゴスへ、カッサンドラを戦利品として連れて帰って行きました。

カッサンドラの死

こうして、アガメムノンの女奴隷となったのでも十分気の毒ですが、

カッサンドラの苦難はこれで終わりません。

奴隷として連れてこられたアガメムノンの館では、

アガメムノンの妻クリュタイメストラが、

愛人のアイギストスと共謀して、アガメムノンを殺そうと待ち構えていたのです。

アイスキュロスの悲劇作品『アガメムノン』では、

この館の前に連れてこられたカッサンドラが、

幻視をしてこれから起こることを予言する長いシーンがあります。

*そのシーンはこちらの文庫に収録されています。

ここで、カッサンドラはトランス状態になって、

他の人には見えない過去の出来事や、

館に取り憑いた霊を見て、周りの人々を驚かせます。

さらには、これから自分の身に何が起こるのかも、その目で見てしまいます。

それは、アガメムノンと一緒に、クリュタイメストラの刃にかかって死ぬ、

という自分の末路でした。

自分の死に方まで見えるなんて、嫌だな〜・・・

でも本物の予言者なら何でも未来はお見通しなのです。

ですから、本物の能力を持っているカッサンドラには、確かに自分の死に方も見えてしまうのですね・・・

というわけで、自分の死に方すらも正確に予言して、

カッサンドラは異国の地であえない最後を遂げることとなったのです。


ミュケーナイの獅子門

真実を言っても信じてもらえないカッサンドラ

というふうに、

真実を予言しても誰にも信じてもらえず、

哀れにも奴隷に身を落として短い生涯を終えてしまった

悲劇の王女・カッサンドラ

自分の都合のいいことだけ聞いていたい人間には、

不吉な予言を無視したいという欲求があるのかもしれません。

そういう意味ではとても教訓的なこの神話、

現代では

「カッサンドラ」は「警告者」というような意味で使われることもあるし、

心理学の方では

「カッサンドラ症候群」という用語もあります。

これはどういう症候群なのかというと、

アスペルガーの配偶者を持ち悩んでいるパートナーが、コミュニケーション上の苦痛を訴えても、

その配偶者は一見問題なさそうに見えるため人々から話を信じてもらえなくて、

結果として自分一人で苦しみ悩んでしまう、

という症状を指すそうです。

このように、現代でもいろいろな場面でこの悲劇の王女の名前が出てくるのですが、

それはやっぱりこのカサンドラの神話が、

偏見で人の言うことを無視するのは良くない

都合の悪いことを言う人が、真実を言ってる場合もある

という、人生の真実を物語っているところもあるのかな、

と思いますね。

私もカッサンドラの話を頭に入れて、

人と話すときに先に決めつけないように、気をつけたいと思います。

真実はすでに語られている、ということを後から知って後悔しないためにね!

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