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ギリシャ神話

ギリシャ神話の伝説的な楽人・オルフェウスってどんな人?!妻を冥界まで迎えにいった結末は

ギリシャ神話に登場する、伝説的な竪琴奏者にして詩人

オルフェウス

ってどんな人かご存知ですか?

素晴らしい腕を持つ楽人で、彼の音楽を聴くものは、

人間も動物も植物も、みんなうっとりと聞き入ったと伝えられています。

そんなオルフェウスについて一番有名なのは、愛する妻の死後に冥界まで迎えにいったという神話。

オルフェウスの運命は、一体どうなったのでしょう?

簡単にご紹介しますので、興味ある方はぜひ読んでいってくださいね!

ギリシャ神話のオルフェウスの音楽とは?

さて、ギリシャ神話の伝説的音楽家

オルフェウス

この名前については、正しくは「オルペウス」って古代は発音していたらしいんですが、

日本では今「オルフェウス」の方が一般的に知られていますので、ここではこの名前でご紹介していきますね。

まずはその生まれから。

オルフェウスは、

父はオイアグロス

そして母は学芸の女神ムーサたちの一人だったカリオぺ

と言われていますが、お父さんがアポロン神だっていう説もあるらしいですよ!

そして生まれたのは

ギリシャ北部のトラキア地方だそうです!

北部のトラキア地方に行くと、気候も南に比べて寒かったりして、ギリシャの中でもちょっとまた特徴がある地域です。

そして、オルフェウスが有名なのは何と言っても

竪琴を奏でる音楽!!

この竪琴は、アポロン神から授けられたのだそうです。

この竪琴は、「リュラ」と呼ばれてるもので、もともとはヘルメス神が亀の甲羅に弦を渡して作ったもので、

アポロン神が気に入って譲り受けたんだそうです。

古代の壺絵(紀元前5世紀頃)を見ると、確かに亀の甲羅っぽいものを使ってるように見えるかも?!

リュラを持つアポロン(デルフィ考古学博物館蔵) By:Fingalo

さて、このアポロン神から授かった竪琴を奏でながら、歌も歌っていたのが、オルペウス。

その腕前は素晴らしいもので、人間だけじゃなくて、動物も、植物も全てがオルフェウスの歌にうっとりと聞き入ったそうです!

一体どんな歌だったんでしょうね〜

今では想像するしかないですが、今でも音楽家の方達の演奏を聞いていると、うっとりと聞いているうちに夢見心地になってしまうことってありますよね?!

オルフェウスはそんなふうに、聞いている人たちをどこか異世界に連れて行ってしまうような音楽家だったことは間違いありません!

オルフェウスの愛する妻の死

さて、この類まれな音楽家であった

オルフェウス

彼には、ある悲しい神話が伝わっています。

オルフェウスには、エウリュディケという愛する妻がいました。

しかしある時、エウリュディケは蛇に噛まれて、亡くなってしまいます。

妻の死をあきらめきれないオルフェウスは、妻を取り戻すために

死者の国に行くことを決意!

でも、当然ですが、生きている人間は地下にある死者の国にそう簡単に行くことはできません。

地獄の番犬ケルベロスが門を守っているし、

日本の三途の川みたいな冥界の川があって、渡し守のカロンに船に乗せてもらえないと行けないんです。

しかし、オルフェウスの奏でる音楽の力を使って、死者の国へと足を踏み入れると、その住民たちもみんなうっとりと聞き入って、

死者の国の神ハデス、そして妻のペルセポネも動かして、

エウリュディケを地上に連れ戻すことを許してくれました。

でも、たった一つだけ条件があったのです。

それは・・・

妻を地上に連れ帰る途中で、絶対に振りかえってはいけない

ということ。

オルフェウスはもちろんこの条件を受け入れて、喜んで妻を連れて、地上に向けて出発しました。

しかし、もうちょっとで地上に着く・・・

というところで、気がゆるんだのか、ついつい、妻を振りかえってしまったのです・・・

するとあっという間にエウリュディケは死者の国に連れ戻されてしまって、

オルフェウスはもう一度連れ帰ろうとしましたが、もう二度と死者の国にはたどり着くことはできなかったのです・・・

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー「冥府のオルペウス」(1861年)

残念ですね〜、もうちょっとで妻を連れ帰ることができたのに・・・

そんな悲しい神話のあるオルフェウス、

でもちょっと待って、この神話、どっかで聞いたことがあるような?

それもそのはず、実は我が日本の神話には、これとそっくりな神話があるのです。

日本神話のイザナギは、

妹であり妻であるイザナミに先立たれて、

どうしてもあきらめきれずに黄泉の国へ連れ戻しにいきます。

でもイザナギはその時に、愛する妻のイザナミの姿を決して見てはいけない、と言われていたのですが、

我慢できずについつい見てしまうと、妻はすでに腐敗してウジのわいた恐ろしい姿になっていて、

驚いたイザナギは逃げ出します。

逃げ出した夫をイザナミは追いかけますが、イザナギは地上と黄泉の国の境目である黄泉比良坂(よもつひらさか)まで逃げて行って、

そこを大きな岩で塞いでしまいました。

・・・って、あれ? そんな身もふたもない最後?

って違いはあるものの、死んだ妻が忘れられずに死者の国にまで降りていくお話はそっくり。

これは、生きているものが死者の国へ迎えにいく「冥界降り」の神話といって、世界中の神話で似たような話が残されているのだそうですよ!

死んでしまった愛する人を忘れられない気持ちは世界共通なんでしょうね・・・

オルフェウスの死

さて、そうして愛する妻と別れることになったオルフェウスですが、

その後はどうなったかというと・・・

妻の死を悲しむオルフェウスは他の女性を近寄せなかったので、

ディオニュソス神の祭りで女性たちにバラバラに引き裂かれて死んでしまったということです。

・・・・・

えー!!

残酷!!

と、ちょっと引いてしまう死に様なのですが、ギリシャ神話って時々こういう身もふたもない残酷な話があるんですよね〜

こうしてバラバラにされて殺されたオルフェウスの体と竪琴は、川に投げ込まれて、どんぶらこどんぶらこと流れて・・・いったかどうかは知らないけど

レスボス島に首と竪琴はたどり着いて、そこで埋葬されたそうです。

一説には、オルフェウスは首だけになっても美しい歌を歌い続けたとか。

う〜ん、想像すると、その様子は、すっごい怖い!! 夢に見そう!

ギュスターヴ・モローの描いた、流れ着いたオルフェウスの首と竪琴(1865年)

オルフェウスは天のこと座へ

さて、こうして伝説的な音楽家で詩人のオルフェウスは、

哀れな最後を遂げることになったのですが・・・

この死を神々は哀れんで、

オルフェウスの竪琴を天に上げて

こと座

にした、ということです。

この星座は、名前を聞いてもピンとくる人は少ないかもしれませんが、

実は七夕の星のベガがアルファ星!!

北の空を明るく彩ってくれているのです。

日本だと七夕の方が断然有名なのですが、

実はオルフェウスの竪琴の一部でもあるんだな、と思い出してあげていただけると嬉しいです!

それにしても、オルフェウスの神話も七夕の話も、どちらもちょっと悲しい愛のお話なんですねえ〜・・・

*こと座について詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!

>>こと座はオルフェウスの竪琴!

オルフェウスの宗教とは?

さて、そんな不思議な神話の残るオルフェウスなんですが、

実は意外な一面もあったようです。

実は、入信者以外には明かされない

秘教であるオルフェウス教の創設者

とも言われているんですよ!

え? 音楽家のオルフェウスが宗教って、どんなだったの??

と多くの方が疑問に思うと思うんですが、それは秘密だったので分からないんです。

入信者以外には秘密の「秘教」ですから。

でも、一応

エウリュディケを地下の死者の国まで迎えにいった神話があるように、

死とよみがえりについての宗教だったんじゃないか

って考えられているみたいです。

要するに「輪廻転生」ですよね!

私たち日本人にはある意味おなじみの考え方ですが、

実はこれ、ギリシャの伝統的な宗教観ではタブーだったようなんです。

死んだ者は死者の国に行って、帰ってこない、っていうのが一般的だったはずなんですよね。

でも、デメテル女神の「エレウシスの秘儀」も、死者のよみがえりに関連しているんじゃないか、って説もありますし、実は結構浸透してたんじゃないか?

って疑問もあります。

デメテル女神が死者の国まで娘のペルセポネを迎えに行った神話もありますし。

そんなことからか、オルフェウスはデメテルの「エレウシスの秘儀」とも関連しているんじゃないかとも言われています。

でも結局、秘密の宗教だっただけに、今でもはっきりしたことは分からないようですよ。

どこかで秘密を記した文書が奇跡的に発掘されました!

なんてドラマティックな展開があると嬉しいんですけどね!

でも、今のところは、謎は謎のまま・・・

う〜ん、考えれば考えるほど、ミステリアスなオルフェウス・・・

*デメテル女神とエレウシスの秘儀については、こちらの記事も合わせてどうぞ!

>>ギリシャ神話のデメテルは母なる女神!現代の家族像にも似ているところが?

映画になったオルフェウス

さて、そんなミステリアスなオルフェウスの神話

実は今でも芸術家たちにインスピレーションを与え続けていて、

この神話を題材にした有名な映画もあります。

それはフランスを代表する詩人にして映画監督としても活躍した大芸術家

ジャン・コクトー

が1950年に監督した代表作

『オルフェ』

「オルフェ」っていうのはフランス語でオルフェウスのことで、

この映画はオルフェウスの神話を当時のフランスに舞台を移してアレンジしたもの。

コクトーの愛したジャン・マレーが、主役の詩人オルフェを演じています。

愛する妻ユリティス(エウリュディケのこと)を迎えに死者の国に行くのですが、

当時としては画期的な特撮も使って、死者の世界の入り口を撮影していたりして、見ていて面白いですよ!

しかも、死者の国に行くときの手袋が、どう見てもただのゴム手! 

お母さんが食器洗いで使うゴム手だ!

などなど、今見ると微笑ましいツッコミどころも。

ギリシャ神話の天才的音楽家にして詩人のお話を、

フランスの詩人にして映画監督などマルチな才能を発揮した天才芸術家コクトーが、どんなふうにアレンジしているか、

ぜひ一度この映画も見てみてくださいね!

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オルフェウスの音楽のゆくえ

ということで、

ギリシャ神話に登場する、伝説的な竪琴奏者にして歌人

オルフェウス

について、簡単にご紹介しました!

不思議な音楽の力を持ち、この世とあの世を行き来したという、オルフェウス。

その謎めいた神話は、今でも私たちを引きつけているのは間違い無いですね。

数々の芸術家にインスピレーションを与えてきたオルフェウスは、これからも永遠に生き続けるのでしょう。

みなさんもこれから、不思議な力を持った音楽を奏でる音楽家の人たちに出会ったら、オルフェウスの神話を思い出してあげてくださいね!

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