ギリシャが生んだ世界が注目する鬼才
ヨルゴス・ランティモス監督
『女王陛下のお気に入り』
ランティモス監督初の時代もの!
しかし人間の奥深くの暗い部分をえぐり出すような心理描写はやっぱりこの監督ならでは!!
あなたも自分の痛いところをえぐられて、無傷では映画の世界から帰れないかも?!
その唯一無二の世界をご紹介します!
ギリシャの鬼才ランティモス監督の『女王陛下のお気に入り』
というわけで、
映画界の主だった賞を次々と受賞し、世界が注目するギリシャの新進気鋭の映画監督
ヨルゴス・ランティモス監督
その初の時代劇となる
『女王陛下のお気に入り』
18世紀イングランドのアン女王と、
彼女を取り巻く宮廷の女性たちの愛憎劇です!
ランティモス監督がアテネからイギリスに拠点を移して以来の、
3作目の英語版の作品です。
ランティモス監督の評価はその間うなぎ上りで、
今作品では、今やハリウッドで引っ張りだこの人気女優
エマ・ストーン
も出演!!
そして実力派女優
オリヴィア・コールマン
レイチェル・ワイズ
という超豪華キャストで作られたのがこの作品!!
3人の女性の複雑に絡み合った愛憎の世界で、次の展開も全く読めないままハラハラしているうちに二時間があっという間に過ぎていきますよ!
『女王陛下のお気に入り』あらすじ
というわけで、
ヨルゴス・ランティモス監督作
『女王陛下のお気に入り』
豪華女優陣を迎えた時代劇
という、ランティモス監督としては初のスケールの作品!
今作の舞台は、18世紀のイングランドです!
ストーリーは、歴史的事実に基づいて作られています。
時は、アン女王 の治世の頃(1702〜1714年在位)
イングランドは、スペイン継承戦争(1701年 - 1714年)のまっただ中!
アン女王は、フランスと戦争を続けるか、和平を結ぶか、難しい選択を強いられていました。
アン女王の親友で、宮廷で絶大な力を持っていた
マールバラ公夫人サラ
このサラは戦争推進派で、アン女王に戦争を続けさせるように議会との間を奔走していました。
しかし、アン女王はのちに
サラの従妹で、寝室係女官の
アビゲイル・メイシャム (旧姓ヒル)
の方を寵愛するようになり、
和平派のトーリー党の指導者ハーレーも、アビゲイルに近づいてアン女王を操ろうとし、
サラとアン女王の間には軋轢が・・・
というのが、実際の歴史で起こったこと。
これを、ランティモス監督が独自に色付けし、
見たこともないような宮廷の愛憎劇に仕立て上げています!!
『女王陛下のお気に入り』の見どころ!
というわけで、
ランティモス監督は初の時代もの、
しかも歴史的事実に沿った宮廷ドラマ
という初めてのジャンルに挑んだ作品が、
『女王陛下のお気に入り』なのです!
この作品を見るまでは、
キャストから見てもかなりハリウッド寄り?
さすがにこういう時代ものでは、ランティモス監督独自の作風に仕上げるのは難しいのかな?
案外、キャッチーで分かりやすい作品になってたりして?
なんて、色々考えていたのですが、
それを見事に!もちろん、いい意味で、裏切ってくれました。
この作品も、系統としては、
最初にランティモス監督の名前を世界に知らしめた長編
『籠の中の乙女』
と、基本的には変わっていない、と思いましたよ!
さすが、ブレない監督!
強烈な社会批判と風刺は全く変わらず!
どう変わっていないかというと・・・
一言でいうならば、
胸クソ悪くなる映画でした!!
おっと、言葉が悪くなっちゃいましたけど、
この作品を言い表すのに、この言葉以上にぴったりなものってない!
そう、見てると胸クソ悪くなるんです!
本当に、嫌悪感すら覚えます!
なんでかって?
だって・・・
人間の嫌な面を、これでもかと、あぶり出して見せつけられるからです!
人間の嫌な面・・・
嫉妬、妬み、そねみ、二枚舌の嘘、権力に媚びへつらい、立場が下の者をさげすみ、他人をおとし入れ、人を操り、金に貪欲で、自分のことばかり考えてる!
そんな人間嫌だ!
と目を背けたくなりますが、
この映画の登場人物は、そんな人ばかり!!
あ〜、胸くそ悪い・・・
多くの人たちがそう思うと思います。
でも、あなたの身の回りにも、そんなこと、起きていませんか?
学校や会社で、そういう人たちいませんか?
ひょっとしてあなたもそういうこと、してませんか?
たぶん、多くの人たちは、嫉妬や妬み、お金への羨望があったとしても、自分でそこを必死に抑えて、自分を戒めて過ごしてますよね?
たとえ、本当は心の中に、嫉妬やさげすみ、他人を蹴落としたい、っていう、どうしようもない思いがあったとしても・・・
それをいかにコントロールして、自分をより良いものにするか、が人間としての器だったりしますよね?
でも、この映画に出てくる人たちは、
みんなそんな自制心が外れちゃってます!
滑稽なほどに、貪欲で、人を妬み、さげすみ、媚びへつらい、おとし入れ、我欲の権化!!
だから、そんな人たちを見てると、どう〜しても嫌悪感が湧き上がってくる!
胸くそ悪くなっちゃうんです。
でも、一番胸くそ悪いのは、そんな嫌な人たちと、共通する思いが自分にもあるところ!
自分だって、他人の地位やお金でうまいこと暮らしたいよ!
成功してる人はうらやましいよ!
自分だって・・・って思うときだってあるよ!
でもしないけど。ちゃんと抑えてるけど。
でも、そんなこと全然全くないです!自分は天使です!
・・・なんて、誰もが絶対に言えないよね?!
しかも最悪なのは、そういう自分が自制していることを、平気な顔しておおっぴらにしている人たちがいること!
そういう人間と社会の葛藤と滑稽さを、この映画はむき出しにえぐり出してきます!
だから、この映画を見ると、胸くそ悪くなるんです!
そう、だから、
この映画の1番の見どころは、あなたの一番嫌な面に出会うこと!
そういう人間社会の滑稽さといやらしさを、痛烈に批判、というか、
コミカルに風刺しているのが、この作品なのです!
勇気のある者のみ、自分の最悪の面に向きあえる?!
あなたは、その勇気はありますか?!
勇気をふりしぼって見つめてみたら、あまりのひどさに笑っちゃうかもよ?!
みにくくて、滑稽で、哀れ・・・って、
これがほんとのピエロ、ってことかもしれないね・・・
ランティモス監督、そこまで悲しい思いをさせないでよ・・・
『女王陛下のお気に入り』キャストの迫真の演技!
というわけで、
人間の暗部をあぶり出すような痛烈な作風で世界を席巻している
ヨルゴス・ランティモス監督最新作
『女王陛下のお気に入り』
この新作でも、鋭い人間観察に基づく滅多斬りぶりは冴えわたっています!
その手腕に対する評価はものすごく高くって、
毎回予算規模はそれほど大きくない作品ばかりなのに、
コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、レイチェル・ワイズなどなど、ハリウッドで活躍する大スターたちがこぞって出演してきました!
売れっ子たちが、よくぞ揃ってこんな胸くそ悪くなる映画に・・・
とは思うんですが、
これって、やっぱりランティモス監督の才能を見込んでのことだと思うんですよね。
特に、人間心理が毎回大きなテーマとなっているだけに、俳優さんの演技は作品のカギとなっているわけですが、
この作品にも、すごい演技派がそろって出演し、凄まじく嫌らしい人間ドラマを作り上げてくれています!
アン女王を演じたオリヴィア・コールマンは圧巻!
とにかくこの作品で必見なのは、
精神面でも肉体面でも病んでいる
哀れな権力者・アン女王を演じた
オリヴィア・コールマン!
すごいすごいと前評判は伝わっていましたし、予測はしてたんですが、
もう、予想の斜め上をいく凄まじい演技!
狂気と混乱、孤独、恐怖、悲しさ、全てが画面からあふれ出してきましたよ!
コワ!
もうすでに多くの映画賞を獲得した演技ですが、これは、総ナメする勢いだと思いますよ!
*オリヴィア・コールマンはすでにゴールデングローブ主演女優賞受賞!
レディ・サラのレイチェル・ワイズは安定の演技力!
そして、
精神的にも肉体的にも不安定なアン女王の弱みに付け込んで操ろうとする
美しくも計算高い貴婦人レディ・サラを演じたのが
レイチェル・ワイズ!
ランティモス監督作品には二度目の登板です。
もう改めていうまでもなくすごい女優さんですが、
この作品でも改めてその力を見せつけてくれました!
最初の自信満々で傲岸不遜な様子が、次第に崩壊していく様が、
物悲しく、こっけいで、哀れ・・・
彼女の無言のアップだけで、見ているこちらがたくさんの感情の嵐に見舞われますよ!
大嵐に注意?!
アビゲイルを演じたエマ・ストーン、新境地?!
そして、今作で新境地?!
を見せたのが、サラの従姉妹で宮廷でのし上がっていくアビゲイルを演じた
エマ・ストーン!
可愛らしい容姿で、性格も見るからに良さそうでハリウッドで大人気の彼女が、
えっ?! そんな?!
ってショックを受けるくらい、
みにく〜い姿をさらしてしまって、大丈夫?!
そんな悪い顔して・・・
って心配になるくらい、宮廷で崩壊していくアビゲイルを熱演です!!
この演技しちゃ、もうカワイイ役来ないよ?!
ってちょっと思うのですが、そんなこと気にするエマ・ストーンじゃないのですよね!
演技派としてさらに前進した姿を見せてくれて、ありがとう!
カッコいいよ!
と拍手を送りたくなるその演技、ぜひご覧ください!
『女王陛下のお気に入り』好き嫌いは分かれるかも・・・?
というわけで、俳優陣の熱演も凄まじい
宮廷の醜くて物悲しい愛憎劇が
ヨルゴス・ランティモス監督作
『女王陛下のお気に入り』
この作品は、さっきも書いた通り、一言で言えば
胸くそ悪くなる映画
なので・・・
たぶん、見る人の好き嫌いは分かれると思う・・・
自分はランティモス監督作品はずっと追いかけて見ているので、
今度も見事にやってくれましたよ!
という感想しかないのですが、
嫌なもの見た・・・
と思う人も正直多いかもしれない・・・
正直に言えば、万人にはオススメできない映画かも
でも、いつもランティモス監督作品を見ると思うのですが、
見終わった後に、こんなに長い間
「あれはどういうことだったんだろう?」
「あの登場人物は、どうしたああなったのかな?」
「あのあとは一体どうなったのかな?」
「監督はどういうつもりであのシーンを入れたのかな?」
などなど、考え続けることができる映画って、そうそうないですよ!
それで、よくよく考えてみると、
あ、これって、自分のこと?!
って思っちゃうような、どんな人にも心のどっかにあるような暗い真実をのぞくことになります!
だって・・・
とても人には言えないような暗くて醜い部分って、誰しもが心の隅に抱えていたりしませんか?
それくらい、
人間の本質をつくような作品
なんだと思いますし、
そういう普遍的なテーマの作品なんだと思うんですよね。
だから、この新作でも当然テーマはそこなので、
きっと映画を見ると、もう一度自分の存在について考えることになると思いますので、
毛嫌いせずに一度、合わせ鏡だと思って、のぞいて見てもらえたら!
そしてやっぱり嫌だった!
って思って思わなくても、心のどこかにきっと残り続ける作品だと思いますよ〜!
怖いもの見たさでもいいので、ぜひ一度、ランティモス監督の世界を体験してみてくださいね!
アカデミー最多ノミネート!授賞式はもうすぐ!
そして、この作品
『女王陛下のお気に入り』
ランティモス監督作品としては初の!
の作品としても話題です!
1.作品賞
2.監督賞
3.主演女優賞(オリヴィア・コールマン)
4.&5. 助演女優賞(エマ・ストーン&レイチェル・ワイズ)
6.脚本賞
7.撮影賞
8.美術賞
9.編集賞
10.衣装デザイン賞
の10部門にノミネートされています!
アカデミー賞授賞式はもうすぐ!
ランティモス監督に栄冠は来るのか?!
ぜひご注目ください!
最初にランティモス監督の映画を見たときは、なんというか
「カルト的な監督」
って印象だったんですけど、
あっという間に映画界で確固とした高い評価を手に入れて
撮る映画撮る映画、主要な映画祭で賞をとりまくっています。
今年、その栄光に「アカデミー賞」も加わるのかな?
ぜひご注目ください!
追記:アカデミー主演女優賞
その後、アカデミー賞授賞式が行われ、
この映画
『女王陛下のお気に入り』
で主演のアン王女を演じた
オリヴィア・コールマンさんがアカデミー主演女優賞を受賞しました!
圧巻の演技でしたので、納得の受賞です。
ランティモス監督自身は監督賞、映画自体は作品賞にもノミネートされていたのですが、
それは残念ながら受賞ならず!
でもこの作品の高い評価は今回のアカデミー賞でも証明され、
ギリシャにランティモス監督あり!と世界にその名を轟かせる結果となりました!
おめでとうございました!
*オリヴィア・コールマンさんのアカデミー賞受賞について詳しくは、こちらの記事もあわせてどうぞ!
『女王陛下のお気に入り』ぜひ見てね!
というわけで、
ギリシャが生んだ新進気鋭の映画監督
ヨルゴス・ランティモス監督
初の時代劇となる
『女王陛下のお気に入り』
について簡単にご紹介しました!
今回の作品でも、人間社会を痛烈に風刺・批判する監督の切れ味は冴えわたっています!
これまでランティモス監督作品に触れたことがない方も、ぜひこの機会に一度見てみてくださいね!
登場人物たちの姿を見て、
はっ!これは・・・自分か?!
と気づいた人は正直者?!
でも認めない人は・・・?
まずは勇気を出して、ランティモス監督の差し出す鏡をのぞいてみてくださいね!
追記:『女王陛下のお気に入り』DVD&ブルーレイ、各種動画配信で見ることができます!
このギリシャの天才ヨルゴス・ランティモン監督の問題作
『女王陛下のお気に入り』
すでにDVD&ブルーレイ販売スタート!
そして各種動画配信サービスでも手軽に見ることができますよ!
ぜひ一度、この唯一無二の世界をのぞいてみてくださいね!