ここ日本でもすっかり定着した英語の言葉
「スクール」
もはやいちいち日本語訳しなくても、だれもが「学校」という意味だと分かるくらいですが、
実はこの言葉
「スクール」の語源はギリシャ語
ってことは、ご存知ない方も多いかもしれません?!
ということで、「スクール」は実はギリシャ語から受け継がれた言葉なんですよ!
というお話をご紹介したいと思います!
「スクール」も語源はギリシャ語から!
ということで、
「学校」という意味の英語の
「スクール」(school)
もうすっかり、日本語としても定着したと言えるくらい、よく使われる言葉となりました!
でも、この英語
「スクール」(school)もギリシャ語からできている
っていうのは日本ではあまり知られていないですよね!
そこに焦点を当ててくれたのが、先日TBSで放送された、大人気クイズ番組
『世界ふしぎ発見!』の、「アメージングギリシャ」の回でした!
*『世界ふしぎ発見! アメージングギリシャ』の回について詳しくは、以下の記事をご覧ください!
この番組の中でクイズとして、
英語の「スクール」の語源となったギリシャ語
「スコーリー」(σχολή)
の意味は?
という問題が出されました!
正解は「暇(ひま)」ということで、なかなかの難問でしたよね?!
この意味を知ってる方は、かなりのギリシャ通!
ただちょっと、この古代ギリシャ語は「スコーリー」(σχολή)と紹介されていましたが、
古代ギリシャ語の読み方としては
正しくは「スコレー」(σχολή)
と私は習いました!
「スコーリー」(σχολή)だと現代ギリシャ語の読み方だと思いますので、
この番組でクイズを作った方は、現代ギリシャ語の方で作ったんじゃないかな?
ま、それはとにかく、この言葉が、英語の「スクール」(school)に受け継がれているわけです。
ですから、これから「スクール」という英語を聞いたら、ギリシャ語なんだな、って思い浮かべていただけると、とっても嬉しいです!
「スクール」の語源のギリシャ語の意味
さて、そういうわけで、
英語の「スクール」(school)=学校
の語源は、
古代ギリシャ語の「スコレー」(σχολή)
なんです、というお話なんですが、
このもともとの
古代ギリシャ語「スコレー」(σχολή)の意味
としては、番組でやっていたように
「暇」「余暇」「休息」
など、労働以外の時間がそれに当たります。
確かに、農作業で忙しい時には、勉強する時間なんてないから、
それが一休みできる時に、勉強できたってことですよね!
まあ、それ以外にも・・・
実は古代ギリシャ社会では、今現在の日本にはない制度があって、
それが勉強する「スコレー」(σχολή)=「暇」を生み出していたんですよね。
なんだと思います?
それが実は、
「奴隷制度」!
古代ギリシャ社会では、正式なポリス(都市国家)の市民と認められている人たちに対して、
市民権を持たない「奴隷」の人たちがいたんです。
もともと「奴隷」として生まれた以外にも、破産するなどして市民権を失ってしまった「元市民」まで、多くの奴隷たちが生活していました。
お金を積めば奴隷身分から解放してもらえるので、「元奴隷」の「解放奴隷」という市民たちもいましたよ。
そんなわけで、裕福でゆとりのある生活を送っている「市民」たちは、多くの奴隷を抱えて、
その人たちに労働してもらって生活していたんですね!
たくさんの奴隷を雇える = お金持ち
というステータスシンボルでもあったわけで、
お金持ちであればあるほど、労働なんてしなくて済むわけです。
そうすると?
そう、「スコレー」(σχολή)=「暇」がたくさんあるわけで、
そういう人たちは、勉学に励む時間がたくさん取れた、ということになるんです。
だから「スクール」(school)=学校の語源は、そういう奴隷制度の生み出した「暇」にも関係あったりするんですよ・・・
そう考えると、ちょっと複雑ですね!?
世の中、結局金?
世知辛いですね・・・
勉強で立身出世も
そういうわけで、
「スクール」(school)=学校の語源となった
「スコレー」(σχολή)=「暇」
という古代ギリシャ語の背景には、
その「暇」を生み出していた奴隷制度があった、ってことなんですが、
そうはいっても、「暇」さえあればみんな勉強できたか、頭良くなったか、
っていうと、そうはいかないのも世の常ですよね!
逆にいえば、お金がなくたって、勉強できる人たちはたくさんいたりするわけです。
それは古代ギリシャ社会だって、同じで・・・
お金がなくても勉強すれば、立身出世もできたわけです!
例えば・・・
マンガ『ヒストリエ』
この第10巻に登場してくる弁論家デモステネス!
歴史の教科書にも登場する偉人ではありますが、
実はこの方、もともとは裕福だったんですが、小さいうちにお父さんを亡くして、その遺産を親類に取られちゃったりして、お金に苦労して育ったらしいんですよ。
それでも頭が良くて勉強ができたので、やがて弁論家として成長して、その親類を訴えて遺産を取り戻した、というエピソードもあるくらい。
頭が良くてちゃんと勉強できれば、立身出世もできたわけです。
もともとは奴隷だった「解放奴隷」の人たちでも、頭が良くてその後に成功した人たちもいるらしいです。
ただ、本当の奴隷身分だと、勉強する暇もなかったのは確かなことですけどね・・・
*マンガ『ヒストリエ』第10巻について詳しくは、こちらの記事もあわせてどうぞ!デモステネスも出てきます!
「暇」を使って勉強してね!
というわけで、
英語の「スクール」(school)=学校
という言葉の語源は
古代ギリシャ語の「スコレー」(σχολή)=「暇」
なんですよ、
というお話でした。
まあ古代から勉強というのは、労働時間以外の暇ができたときにするもんだ、ということだったわけですね。
でも現代の私たちは、古代の人たちに比べて、家事の大半は機械がやってくれるし、なんでもコンビニで済ませられるから、
「スコレー」(σχολή)=「暇」が格段に増えているはずなんですけど、
古代の人たちより頭良くなったか? もっと勉強するようになったか?
と聞かれたら、それは分からない・・・
暗記している詩なんて、いくつあります?
暗算とか、何ケタまでいけます?
古代ギリシャの人たちはホメロスの長〜い詩を暗唱して、計算機も無いのに数学の複雑な計算もしていたんだからなあ・・・
そう、問題は、暇があっても勉強しない、暇があれば遊んじゃう、パソコンにできることは任せちゃう、という・・・
人間の「サボり心」の方なわけなんだ!
というわけで、逆に言うと、暇な時間に勉強してた古代ギリシャの人たちは、偉かったですね!!
自分だったら絶対しないなあ、というオチなのでした!