アメリカに暮らすギリシャ家族を描く
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』
というコメディー映画をご存じですか?
この家族の娘がギリシャ人ではない人と結婚することになるのですが、
ギリシャ家族が超!ギリシャ人ぶりを発揮して大騒動になる!
という笑って泣けるコメディー映画です!
これを見ると、ギリシャの家族っていうのがどんなものか、よく分かりますよ!
ギリシャとアメリカの文化の違いを一緒に笑っちゃおう!
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』ギリシャ家族の結婚式で大騒ぎ!
さて、この映画
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』
2002年に作られたアメリカとカナダの合作映画です。
日本で公開された時は、このタイトルだったのですが、
本当のタイトルは
「マイ・ビッグ・ファット・グリーク・ウェディング」
(英語原題: My Big Fat Greek Wedding)
と言います。
日本語訳すると、
「ビッグ・ファット」(big fat)
というのは、「大げさな」「とんでもない」「とほうもない」という意味ですので、
もともとのタイトルの意味は、
「私の、大げさな、ギリシャ式の、結婚式」
という意味になります。
そう、日本公開時には、この肝心の
「ギリシャ式」(Greek)
が抜けちゃっていたので、
日本で見た人はなんでこんなに両家の結婚式の考え方が違うのか、よく分からなかったのでは?
単なる太った女の子の結婚式の話だと思ってない?
違うよ〜!
花嫁の方がギリシャ人だったから、普通のアメリカ人家庭の旦那さんの家族と
文化や習慣がまるきり違ってて、大騒動になる、
っていうのが一番、笑えるところなんですよね〜
だからこれを見ると、ギリシャ人の家族観、宗教・結婚に対する考え方がよく分かって、
異文化理解、っていう意味でも、とっても面白い映画なのです!!
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』のストーリー
それでは、この映画
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』
そのストーリーをご紹介しますね!
ギリシャ人のアメリカ移民の家庭に育った主人公の女性
トゥーラ・ポルトカロス(ニア・ヴァルダロス)
30歳になっても結婚せず、両親の経営するギリシャ・レストラン「ダンシング・ゾルバ」で手伝いをしています。
ギリシャ系の家庭では、娘はギリシャ人と結婚し、ギリシャの子供を産み、一生両親の面倒を見るのが義務。
当然両親もトゥーラにはその役目を期待しているのだけど、
トゥーラはある日、店に来てくれたハンサムな青年イアン(ジョン・コーベット)に一目惚れ!
ギリシャ人ではない男性を好きになっちゃったんですね。
自分の家族中心の小さな世界に息苦しさを覚えていたいたトゥーラは
一念発起してパソコンを習いに大学に通い、おしゃれもするようになって、
おばさんの経営する旅行代理店で働き始めます。
そんなある日、あのイアン(ジョン・コーベット)に偶然再会し、
あっという間に恋人関係に! お互い結婚を意識するようになります!
しかし、ギリシャ人家庭に育ったトゥーラと、
普通のアメリカ人家庭に育ったイアンは、宗教も文化も全く違います。
ギリシャのトゥーラの宗教はギリシャ正教、イアンはプロテスタント。
キリスト教ではありますが、教会のあり方など全く違います。
そしてトゥーラはギリシャ式大家族でものすごい数の親戚に囲まれているのに、
イアンの従兄弟はたった二人!
食べ物も話し方も全然違う家族を持つ二人は、無事に結婚できるのか?!
という、ギリシャ人家族をめぐるドタバタ・コメディーです!!
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』は実体験に基づく?!
この映画
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』
に出てくる「ギリシャ式」の、ドタバタな結婚式は、
脚本・主演を務めたニア・ヴァルダロスさんの実体験に基づいているのだそうです。
ニア・ヴァルダロスさんも、ギリシャ系カナダ人の家庭に生まれ育ち、
ギリシャ系ではない旦那さまと結婚したそうで、
その時の自分の結婚式に基づいてこの脚本を書き上げたそうです。
ということは、やっぱりギリシャ系の家庭では、
ギリシャ人と結婚して、ギリシャの子供を産むことが期待されているのか!
そういう文化的背景が、日本人には分かりにくいのですが、
日本でも国際結婚となると反対されるご両親も多かったりして?
そう思うと、異文化同士のカップルの結婚って、
どんな場合でもカルチャー・ショックがあるはずですから、
そう思って見ると、この映画の主人公の気持ちもわかるかも!?
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』は自主映画として異例のヒット!!
この映画は、もともと脚本・主演を務めたニア・ヴァルダロスさんが、
一人芝居用に脚本を書いて舞台で演じていたそうです。
これがギリシャのコミュニティで評判となり、
同じくギリシャ系の女優
の目に止まります。
リタ・ウィルソンは旦那様であるトム・ハンクスにもこのお芝居を見せたんだそうです。
これを気に入ったトム・ハンクスが、自身の会社で映画化を進めることに!
という、変わった経緯で映画化に至ったということなんです。
しかし、もともとこの映画の製作費は、500万ドル(約5億円)という
自主制作映画扱い!
の低予算映画だったのですが、
フタを開けてみれば、口コミで評判が広がり大ヒット!
全世界で興行収入約3億6800万ドル(約368億円)
を最終的には稼ぎ出し、
投資に対してものすご〜く収益の高い映画となったのでした!
特に、ギリシャ移民の多いアメリカとカナダで約2億4100万ドル(約241億)を売り上げたということですので、
ギリシャ系の人たちと、それに普段から接している人たちの力が大きかったのかもしれませんね。
ということで、この映画は、異例づくしの大ヒット恋愛映画でもありますので、
まだ見てない方、一見の価値はありますよ〜!
ぜひ見てくださいね!
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』7つのギリシャ過ぎて笑えるポイント!
さて、こんな大爆笑のギリシャ家族の映画
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』
ただ、日本だとアメリカとカナダのように、ギリシャ系の人たちが多いわけではないので、
パッと映画を見ても、どこがそんなにアメリカとギリシャの文化の違いがあるのか、
どこが笑えるポイントなのか、ちょっとわかりにくいですよね?!
そこで、以下、その「ギリシャ的」笑えるポイントをご紹介していきますね!
ポイント1:ギリシャの子を産め!
この映画の冒頭で、お父さんが主人公である娘のトゥーラに言っているのですが、
「早く結婚しろ」
と。
トゥーラはもう30歳にもなるのに、彼氏もいないでお父さんの経営するギリシャ・レストランで
ウェイトレスとして化粧っ気もない生活を送っているのです。
・・・と、ここまでは日本でもよくある話、
に思いますが、
このお父さんが言っている意味は
「早く(ギリシャ人と)結婚して(ギリシャ人の)子供を産め」
ということ!
そう、主人公トゥーラも映画の中で言っているのですが、
ギリシャ娘は家族から、
「ギリシャ人の男と結婚して、ギリシャ人の子供を産み、死ぬまで家族を養う」
ということを期待されているのです!
え〜、ギリシャ人としか結婚しちゃダメなの?!
しかも、この家族はギリシャじゃなくてアメリカに移民して暮らしているのに?!
と、びっくりするんですが、
そうやって、ギリシャ家族はどこでもギリシャ人としての生活を変えずに、
ギリシャ人らしく暮らしていくことを当然と考えているんですね!
しかも、トゥーラの親戚全員、これまでギリシャ人以外とは結婚したことなかったって!
え〜、そこまで徹底しているの?!
でも、ギリシャ人はどこに暮らしていてもあくまでもギリシャ人!
そしてギリシャ人以外は「クセノス(ξένος)」=「外人」なんです!
今の現代社会で、そんなの無理なんでは?
だから主人公のトゥーラもギリシャ人じゃないイアンと結婚したいのですが、
お父さんはそれが嫌だ〜!俺の娘が「クセノス」と結婚するなんて〜!
とパニックを起こしちゃう。
笑っちゃいけないんだけど、ちょっとそのパニックぶりが笑っちゃう!
ポイント2:ギリシャ愛がハンパない!
そして、この主人公トゥーラの家族のすごいところは、
とにかくギリシャ愛がハンパない!
アメリカに住んでいるのに、家は完全に
「ギリシャ式」!!
パルテノン神殿みたいに真ん中がふくらんだギリシャ式の柱が並んで、
庭にはギリシャの神々の彫像が並び、
そして車庫の扉には、バーン!!とギリシャ国旗!!
そ・・・そこまでやるか?!
やりすぎじゃないのか?!
とツッコミたくなりますが、とにかくお父さんの誇りは「ギリシャ人であること」!
アメリカで育った子供たちには、小さい時からギリシャ語学校に通わせて、
ちゃんとギリシャ語もできるようにしています。
だからトゥーラも、子供の時からギリシャ語学校に通い、
「将来ギリシャ人と結婚した時に、義理のお母さんにギリシャ語で手紙を書くために」
ちゃんと準備をしているんですよ!
もう〜、そこまでやってるなんて、もはや感心するというか、やっぱり笑っちゃう!
でも、ギリシャの人たちはこのトゥーラの家族に限らず、
自分たちがギリシャ人であることに大変な誇りを持っているんです!
だから、うっかりギリシャについて失礼なことを言わないように気をつけましょうね!
ポイント3:語源は全部ギリシャ語!
そして、お父さんの得意技は、
英語の語源が全部ギリシャ語だということを証明すること!
例えば英語の「アラクノフォビア(arachnophobia)」(クモ恐怖症)は、
「アラクノ(arachno-)」はギリシャ語の「クモ」(αράχνη)
「フォビア(phobia)」はギリシャ語の「恐怖」(φοβία)
が語源なんだ!
というわけですね!
これは確かに正解!
英語の中でも、20~30%の言葉はギリシャ語語源と言われています。
だから、英語を輸入して日本で使ってる場合、割とギリシャ語語源の言葉が多いんです。
というわけで、確かにギリシャ語起源の言葉は多い。
でもね〜、全部が全部ギリシャ語語源じゃないんだから!!
映画の中では、なんと日本語の「着物」(キモノ)まで、ギリシャ語語源なんだ!
とお父さんが言ってて、
こら〜! 適当なことを言うんじゃない!
そこまでなんでもギリシャにしたいか〜!
っていうのが笑えるんですよ!
ポイント4:みんな大声!!
そして映画の中で言っているのは、
ギリシャの家族は全員大声!!
これは、本当に、そうなんですよ〜!!
一度でもギリシャに行ったことがある人なら、
ギリシャ人がそこらじゅうで大声でべ〜らべ〜ら、べ〜らべ〜らしゃべっているのが聞こえてきます。
たとえ、古代遺跡を見に行って、静かに古代へ思いを馳せているとしても・・・
そこへギリシャ家族がやってくると、全員で「わ〜わ〜わ〜わ〜」しゃべり出して、いきなり現実に引き戻されます。
ゆっくり古代のロマンに浸ってる場合じゃないんだな〜
映画の中でも、主人公のトゥーラの家族に親戚一同が集まると、
わーわーわーわー大騒ぎ!
一瞬も黙っていませんよ!
日本の人たちのギリシャのイメージは、パルテノン神殿に、
美しいギリシャ彫刻の彫像たちでしょうけど、
ギリシャの人はみんなギリシャ彫刻みたいにじっとしてるわけじゃないですよ!
だから「ミロのヴィーナス」だって、もししゃべりだしたら、大声でノンストップに違いない?!
ポイント5:みんな大食い!!
そして、映画の中でも出てくるんですが、
ギリシャ家族はとにかく、食べることが大好き!!
家族が集まるとなったら、お母さんはテーブルの上に山のような食料を用意して、
全員にどんどん振る舞う!!
落ち込んでいる子供には、とにかく何か食べさせようとする!
ただ、食べろ!という。
食べることで問題が解決するのか?!
そんなわけないんだけど、とにかく食べろ!と。
お客さんが来ても何か食べさせようとする!
そして相手がお腹は空いていない、って言っても、
お母さんは何か作る、と言って無視する。
そんなふうに食べることが大好きだから、何かというとお肉を焼いて食べる。
人数が集まると、子羊の丸焼きもする!
そんな大食い家族だから、
娘のトゥーラが結婚する相手のイアンが菜食主義者(ベジタリアン)と聞いたら、
おばさんは「肉を食べないってどういうこと?!」ってパニックを起こしちゃう!
そして、親戚全員「肉を食べないなんて信じられない!」とドン引き!!
ここまで食べることが大事なんて、信じられない!
ってついつい、笑っちゃう!
ポイント6:お母さんが最強!!
そして、この映画の中で最強の登場人物は・・・
そう、お母さん!!
映画の中のお母さんは、ものすごいど迫力!
ギリシャの大家族主義では、お父さんが一応、一家の主。
でも、実はお父さんには決定権なんて無いんです。
お母さんの名言は、
「男は一家の頭(ヘッド)。女は首(ネック)よ。首は頭をどんな方向にも変えられる」
ハハハ!
誰がこのお母さんに逆らえる?!
そして娘の結婚式での名言は、
「ギリシャの娘はキッチンでは子羊、ベッドルームでは虎になれ」
ハハハ〜って、そんなこと娘に言うか〜?!
でも、これがギリシャで最強の生き物、「お母さん」!!
誰もお母さんに逆らっては、生きていけませんよ!!
ポイント7:大家族で大騒ぎ!!
そしてこの映画で何度も出てくるのが、
大家族たちがとにかく大勢集まって、飲んだり、食ったり、踊ったり!
その人数がとにかくすごい!
画面の中に50人以上はわーわー集まってる!
大声で大食いのギリシャ家族が集まったら、そりゃー大騒ぎなんですよ
婚約者のイアンが家に来るとなったら、またまた集まって、
普通のアメリカ家庭のイアンのご両親を驚愕させちゃう!
こんなばか騒ぎをしょっちゅう繰り返してる家族って、何なの〜??
って大爆笑ですよ!
でもね、こんな笑える家族たちですけど、家族愛は何よりも強いんです。
弟のニックは、姉さんのトゥーラが結婚する前に、恋人のイアンに
「姉さんを泣かせたら事故に見せかけて殺すぞ」
って。
こ、これも家族愛?!
ハハハ〜、なんでもやりすぎだよ!
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』には12年ぶりの続編も作られたよ!
そんな、異例づくしの大ヒット作が、
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』
なんですが、昨年2016年、なんと14年ぶりに続編が公開されたのです!
それが
「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング2」
(日本未公開)
この続編でもオリジナル・キャスト総出演!!
ドタバタで結婚したトゥーラとイアン、
今は一人娘のパリスも17歳のお年頃。
今度はこの娘のパリスが、どうにもギリシャが過剰な大家族に悩まされる番に!
遠くの大学に行きたい!とギリシャ家族と離れたがります。
それでなくとも家族と離れて独り立ちしたい時期だけに、
このギリシャ家族は一体どうやってこの危機を乗り越えるのか?!
そして、トゥーラの両親がなんとちゃんと結婚していなかった、ということも分かり
またまたドタバタの結婚式?!
というストーリーの模様・・・
模様・・・というのは、この続編は日本で公開されなかったのですよ。
やっぱり日本にはギリシャ系の人たちが少ないので、
公開してもヒットしないと思われちゃったのかな?
ですので、気になる方はぜひ、DVDでご鑑賞ください!
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』でギリシャの家族がどんなか見てみよう!!
というわけで、
日本でもヒットした映画
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』
本当のタイトルは
「マイ・ビッグ・ファット・グリーク・ウェディング」
(My Big Fat Greek Wedding)
と言って、ギリシャ家族の結婚式の大騒動を描いた作品なんです、
ということをご紹介しました!
この映画を見ると、ギリシャの人たちの、
家族観や結婚観がよくわかるので、
ギリシャに興味を持っている方たちには、ぜひ一度見て欲しい映画です。
そして、たくさん笑って、ちょっと変わっているけど
なぜか憎めないギリシャの家族を大好きになって欲しいですね!
あ、でもこれが自分の家族だったら?!
やっぱりトゥーラみたいに大変かも!!!
それでも好きにならずにはいられませんよ!