どこからともなく聞こえてくる「ピーポーピーポー・・・」という
サイレンの音
何もなくとも、聞こえてくるとドキッとしちゃいますよね!
実はこのサイレンという言葉は、
ギリシャ神話に登場する海の怪物セイレンが語源!
このセイレンたちは、海で船乗りを惑わせるという恐ろしい怪物なのです!
そんな意外と日本では知られていないセイレンについて、
簡単に解説しますので、興味ある方はぜひ読んでいってくださいね!
「サイレン」はギリシャ神話の怪物「セイレン」!!
ということで、
「サイレン」の語源のギリシャ神話に登場する怪物セイレン
をご紹介します!
この日本語で使われている「サイレン」という言葉は、救急車などの「サイレン」として知られていますが、
英語の「siren」(サイレン)が日本で定着して使われている言葉です。
そしてその英語「siren」(サイレン)の語源が、
ギリシャ神話に登場する怪物「セイレン」
なのです!
ギリシャ語では Σειρήν と書いて、
正しくは「セイレーン」ですが、この「ー」がいちいちついていると煩わしいのもあり、「セイレン」とも書かれます。
以下、この記事の中でも「ー」が増えていくのが面倒なので、「セイレン」と書いていきますね!
このギリシャ神話の「セイレン」とは、
上半身が人間の女性で、下半身は鳥の姿をしている怪物
美しい歌声で船乗りたちを惑わせて、遭難させて命を奪ってしまう、という恐ろしい怪物です。

この怪物の名前が救急車の「サイレン」に付けられているのかと思うと不思議ですが、
確かに「サイレン」が鳴り響くとみんな何事?と思って一瞬立ち止まって様子を伺ったりしますよね。
ギリシャ神話だと船乗りは命を奪われかねない「セイレン」の歌声ですから、
私たちが危険を察知して警戒するのは当然といえば当然かもしれません!
そう言われてみると、「サイレン」の音って、女性の叫び声みたいにも聞こえてきませんか?
オデュッセウスと「セイレン」の攻防!
さて、そんな
ギリシャ神話に登場する怪物「セイレン」
についてですが、
一番有名なのは英雄オデュッセウスとの攻防です。
オデュッセウスは航海の途中で「セイレン」たちに遭遇するのですが、
実は事前に魔女キルケから、「セイレン」の対抗策を聞いていたので、無事に航海を続けることができました。
というのも、「セイレン」たちの歌を聞いてしまうと、海に身を投げてしまいたくなってしまうので、
キルケはオデュッセウスに、船員たち全員の耳をロウでふさいで航行するように、とアドバイスしていたのです。
そしてオデュッセウスがどうしてもセイレンの歌を聞いてみたいなら、船の帆柱に体を縛り付けておくように、とも伝えていました。
そこでオデュッセウスは部下たちの耳をロウをふさいでセイレンの声が聞こえないようにして、
自分だけは耳が聞こえる状態で部下に命じて帆柱に体を縛り付けておきました。
そうしてオデュッセウスたちは、無事にセイレンたちのいる海を通過することができたということです。

しかし、そうまでしてもセイレンの歌を聞きたかったなんて、オデュッセウスも勇気がありますよね!
自分だったら、絶対怖いからロウで耳をふさいでおきますよ・・・
さて、こうしてセイレンたちは、この船の一行を遭難させることができなかったことに腹を立てて、
海に身を投げて死んでしまったということです。
プライドを傷つけられたの?それにしてもそこまでしなくても!
とは思いますが、ギリシャ神話の怪物たちの最後って、なんだか悲しいものが多いんですよね・・・
*このオデュッセウスとセイレンの話について詳しくは、『オデュッセイア』を読んでね!
*ギリシャ神話の魔女キルケーについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
オルフェウスと「セイレン」の攻防!
さて、このオデュッセウスと「セイレン」とのエピソード以外にも、
有名なお話としては、
伝説の楽人オルフェウスと「セイレン」の攻防
も面白いです!
英雄イアソン率いる「アルゴナウタイ」の遠征の時、
楽人オルフェウスも一緒に船に乗っていたんですが、
彼らが「セイレン」たちに遭遇した時には、
オルフェウスがセイレンたちに対抗する音楽を奏でて無事に通過!
ということです。
そうか〜、セイレンたちがどれだけ船乗りを惑わす歌を歌っても、
オルフェウスの神々さえも惑わせた音楽の力には勝てなかったのですね!
しかし、船乗りたちのうちで、たった一人ブテスという人だけは、セイレンの歌の魅力に取り憑かれて海に飛び込んでしまったのだそうですよ。
う〜ん、セイレンもオルフェウスも、どちらもすごい!
*オルフェウスについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
魂を送るセイレンたち
さて、こんなふうに、船乗りたちを惑わせて遭難させてしまう、という恐ろしいエピソードで知られる「セイレン」たちですが、実は
死者の魂をあの世に送る
という役割を考えられていたようです。
ギリシャ世界では、墓碑や埋葬品の中にセイレンの姿が刻まれているものが多いのです。
死者の魂に寄り添って、あの世まで運んで行ってくれる、という重要な役目を担っていたのですね。
このセイレン像は両足があるタイプですが、この右手を頭の上に掲げるポーズは死者を悼むポーズなのだそうです。

今も昔も、人間にとって一番辛いのは、愛するものを失う時です。
そんな時、死者の魂に寄り添ってくれるセイレンたちは、遺族の心に安らぎをもたらしてくれたのかもしれませんね。
ギリシャ神話では、そのほかにヘルメス神も死者の魂をあの世に送ると考えられていたので、
セイレンたちは決して恐ろしいだけじゃなくて、人間たちに重要な役割を果たしてくれていたのですね・・・
*ヘルメス神について詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
「サイレン」の音を聞いたらセイレンを思い出してね!
ということで、
救急車などの「ピーポーピーポー・・・」という
サイレン
この言葉は実は、
ギリシャ神話に登場する、海で船乗りを惑わせる怪物「セイレン」に由来するのです!!
というお話でした!
海で船乗りたちを惑わせたという恐ろしい怪物ですが、死者の魂に寄り添ってあの世に運んでくれるという存在でもありました。
まあでも、救急車に乗ったらあの世行き、っていうんじゃ困りますが、
セイレンの声はあの世と繋がっていたと考えられていたのは間違いないようですね。
次にどこかで「サイレン」の音を聞いたら、
その由来になったギリシャ神話の怪物たちを思い出してあげてくださいね!
そしてくれぐれもその声に惑わされてあの世に行かないように・・・ご用心!