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[ギリシャ神話]「プロメテウスの火」って一体何なの?

更新日:

こんにちは、イレーネです。

ギリシャ神話は日本でもかなり浸透してきているとはいえ、

まだまだ知られていない部分も多いんですよね。

例えば、ギリシャ神話で有名な

「プロメテウスの火」

ですが、聞いたことはあってもなんのことか正直ピンとこない、

という人も多いかと思います!

そこで本日は、神様プロメテウスと「プロメテウスの火」について、分かりやすく解説しますよ〜

賢い神・プロメテウス

さて、日本でもみなさん、一度は

「プロメテウスの火」

って言葉を聞いたことがあると思います。

まずは、その

「プロメテウス」

がなんなのか、から、ご説明しましょう!

「プロメテウス」は、ギリシャ神話に登場する神様です。

イアペトス(*ガイア(大地)とウラノス(天)の間に生まれた神)

クリュメネ(*オケアノス(大洋)の娘)

との間に生まれた神様で、

天を支えるアトラスは兄弟です。

アトラスについては、こちらの過去記事をご参照ください!

[ギリシャ神話]アトラスってなんで地球を支えているの?

というわけで、「プロメテウス」は、

ギリシャ神話の主神ゼウスとは対立する、「ティタン神族」の一員ということになります。

しかし、それだけではなく、

プロメテウスは、主神ゼウスと因縁のある神様だったんですね〜

というのも、ゼウスと張り合うくらいの知恵を持つ、賢い神様だと考えられていたからなんです。

プロメテウスとゼウスの因縁の始まりは、

結構レベルが低いんですが、

食べ物をめぐる争いです!!

え〜、神様たちがそんなことでモメるの?

と思われるかもしれませんが、そこはギリシャ神話。

モメます。

で、どういう経緯でモメたのかと言いますと、

それは、神々と人間たちの間に争いが起こったときだとされています。

プロメテウスは、大きな牡牛をつぶしました。

(*ギリシャでは、神々に捧げる生贄として動物を殺して捧げていたのです)

その牡牛を解体して、二つの山に分けました。

1) 肉と臓物を、皮の上に置いて、それを牛の胃袋で包んだもの

2) 骨を脂肪で包んだもの

で、この二つのうち、好きな方を取ってください、とゼウスに勧めたわけです。

1)は見た目は内臓だけに見えるから、美味しくなさそうだけど、実は中身に美味しいお肉が入っています。

2)だと、見た目は霜降りで脂肪がたくさんあるみたいに見えるけど、実は骨だから、ハズレですよ。

すると、ゼウスは見た目で判断して、胃袋よりは、脂肪たっぷりのほうがいい、と思って、

2) の骨を脂肪で包んだだけのものを取っちゃったわけです。

当然、実はその中身には、肉や臓物など、食べて美味しい部分は入ってないんですよね。

だから、ゼウスはだまされた!!

と怒ってしまった、ということです。

まあでも、このプロメテウスの配慮により、人間たちは、

1)の肉や臓物などの方の割り当てをもらえることになって、ありがたいことなんです。

そう、プロメテウスは、「人間たちの味方の神様」なんです!

そして、ゼウスが骨を選んだので、神様たちは骨をいただく、

つまり、神様に捧げる祭壇では、骨を焼いてあげれば良い、という

なんとも人間にとって都合のいいことになったというわけです。

ゼウスより賢いの?

というわけで、

プロメテウス神は、主神ゼウスをまんまとだまして、

人間たちに美味しいお肉をくれたというわけなんですけど。

それだと、ちょっと都合が悪くなるのが、主神ゼウスの立場。

一応、ギリシャ神話だと、ゼウスが一番偉くて、力も強くて、

他の神様たちはゼウスに逆らえない、ってことになってるんですよね。

しかも、「全知全能」ということで、本当はゼウスは、

プロメテウスの企みを先に知っていて、だまされたりするはずがないんです。

でもね〜、この神話では、まんまとゼウスはだまされちゃってるわけなんです(笑)

その点について、『神統記』を書いたヘシオドスによれば・・・

ゼウスは本当は、プロメテウスの企みを知っていた、

でも、後で人間たちに罰を与えてやるために、わざと骨を選んだんだ、

って書き方になっています。

え〜、回りくど〜いい・・・

だまされたんなら「だまされた」って言いましょうよ!

という気もしますが、まあ主神ゼウスだとそうもいかないんですよね〜

まあでも、解釈はどうあれ、「ゼウスがハズレをつかまされた」って事は変わらないですね!

*ここら辺の詳しい話は、ヘシオドスの『神統記』で読んでみてくださいね!

人間に「火」を渡さない!

さて、そんなわけで、

プロメテウスはゼウスを出し抜いて、

人間たちに味方をして、美味しいお肉を食べれるようにしてやったのです

ですが、これは当然、主神ゼウスの怒りを招いたんですね。

怒ったゼウスは、人間たちに「火」を与えることを拒んだわけです。

というか、もともと、人間たちに「火」を渡さないために、

プロメテウスにだまされてやった、という考え方もあります。

それくらい、「火」というのは、人間が文化的生活を送る上で、とても重要なものだったわけですよね。

「火」さえあれば、食事も煮炊できますし、

夜にも明かりを手にすることができるし、

寒い時には暖かくしてくれる。

野生動物を追い払う役割もしてくれる。

まさに、人間の生活を根本から変えるものだったんです。

だって、せっかく肉をもらっても、「火」がないと美味しく調理できませんからね〜。

そんな、すごい力を持つ「火」を人間たちに渡さない、ということは、

人間の力を削ぐことでもあったわけです。

Pexels / Pixabay

「プロメテウスの火」

さあ、そんなふうにして、

「火」がなくて困っていた人間たちのところへ、

再び登場するのが、プロメテウスです!!

プロメテウスは、またしてもゼウスをだまして、

「火」を「オオウイキョウ」の茎の中に入れて、こっそり盗み出したんです!!

「ウイキョウ」って知ってます?

セリ科の植物で、英語名の「フェンネル」の方が今の日本では馴染みがあるかもしれません。


(フェンネル)

この植物は、茎の中が空洞になっているんですが、

プロメテウスはそこに種火を仕込んで、持ち出して、

人間たちに与えてあげた、ということです。

プロメテウス、いいヤツ!!

でも、火が夜に燃えていれば、遠くからでもすぐに見つかりますので、

プロメテウスが人間たちに火をやったのはすぐにゼウスにバレてしまうことになります。

プロメテウスへの罰

こうして、プロメテウス神は、暖をとったり便利に使える火を、

ゼウスの目を盗んで密かに持ち出して、人間たちに与えてくれたんですよね。

でも、そんな人間の味方・プロメテウスに対して、

主神ゼウスは怒って残酷な罰を与えたというのは有名な話

ゼウスはプロメテウスをカウカソス山(*コーカサス山脈)に鎖で縛り付けてしまいました。

しかも、

エキドナとテュポンの子であるオオワシをけしかけて、

その内臓を毎日ついばむようにさせた、ということです。

しかし、プロメテウスは不死の神だったので、

ワシに内臓を食べられても夜の間に再生して、また翌日にはワシについばまれる、

という延々と続く苦痛に責めさいなまれたのです。


(ニコラス・セバスチャン・アダム「プロメーテウス像」 1762年/ルーブル美術館蔵)

ひどいな〜・・・

考えつく拷問の最たるものですよね!?

ゼウスって残酷!

*ちなみに、オオワシの両親のテュポンとは、ガイア(大地)とタルタロスの子で、足は蛇、首も100の蛇の頭を持ち、翼が生え、目から日を吹いたという化け物


(テュポン像)

その妻のエキドナとは、これも上半身は女で下半身は蛇の「蛇女」と言われています。

というか、この両親からどうやってオオワシが生まれるのか謎ですが、まあそこらへんはギリシャ神話なので、要するに怪物が生まれた、と理解しましょう〜!

*ギリシャ神話を楽しむためのポイント

1)矛盾を突っ込まない

2)論理的整合性を求めない

なぜこの罰を与えられたのか?

それじゃ〜、ここで疑問が浮かんでくると思うんですが、

どうしてゼウスはこんなにも残酷な罰をプロメテウスに与えたのか?

それは当然、プロメテウスがゼウスの火を盗んで、人間たちに与えてしまったから!

と思ってる方も多いと思いますが・・・

これについては、実はヘシオドスの『神統記』では、はっきりと書かれていないんです。

え〜!

じゃあ何のために、プロメテウスはこんなに苦しんだの?!

と思われるでしょうが、

要するに、プロメテウスは、ゼウスを怒らせるようなことをいろいろしてるわけですね。

ゼウスに肉じゃなくて骨をやったり、

人間にやっちゃダメと言ってた火を盗んで人間に与えたり。

ですので、どっちかの理由でワシの罰が下されたはずなんですが、

前後関係とか、パンドラの神話との前後関係とかは、実ははっきりしません。

*パンドラについての詳しい話はこちらの過去記事をご覧ください。

[ギリシャ神話]「パンドラの箱」って一体な〜に?

まあでも、プロメテウスが知恵のある神だったために、

ゼウスはいろいろとムカついた、というのは確かですね!

それに、考えられるゼウスを怒らせた一番大きな要因としては、

やっぱりゼウスの火を盗んでしまった、というのが大きいんじゃないかな、とも思われます。

『縛られたプロメテウス』

そういうわけで、人間に火をくれた恩人(神)プロメテウスは、

ゼウスに散々な罰を与えられてしまうのですが、

そんなプロメテウスの苦難を描いたギリシャ悲劇が

アイスキュロス作の『縛られたプロメテウス』です

*こちらの文庫版ギリシャ悲劇全集に収録されています
ギリシア悲劇〈1〉アイスキュロス (ちくま文庫)

この悲劇の冒頭のシーンでは、

ゼウスに命じられたクラトス(支配)の神とビアー(暴力)の女神とが、

鍛冶の神ヘパイストスとともに、決して解けない鎖でプロメテウスを岩山に縛り付けているところから始まります。

プロメテウスの苦しみに同情して、

オケアノス(大洋)の神とその娘たちも訪れますが、プロメテウスはゼウスとの仲立ちを頼むことは拒否します。

実はプロメテウスは、ゼウスの支配権に関する秘密を知っているので、

いずれゼウスは自分を解放するだろう、と信じているのです。

ヘルメス神がやってきて、ゼウスはどんな結婚で生まれた子供が自分の支配権を奪うのか、

と聞きますが、プロメテウスはこれを教えることを拒否。

怒ったゼウスは彼を奈落の底に突き落とします。


(ギュスターヴ・モロー「プロメテウス」1868年)

『解放されたプロメテウス』

というわけで、

アイスキュロスの『縛られたプロメテウス』では、

プロメテウスはずっと岩山に縛り付けられているのですが、

実はこの作品は、プロメテウスが解放されるという続編があったはずなのです。

ギリシャ悲劇は本来三部作で上演されていたので、

『縛られたプロメテウス』にも、もう2本、続きの悲劇があったはずなのですよね。

そんなわけで、実は、プロメテウスが、岩山に縛り付けられている鎖から解放される、

『解放されたプロメテウス』

があったのです!

しかし、残念ながら、現代にまで伝わっているのは、

最初の『縛られたプロメテウス』だけになってしまいました。

残念!!!

続きがどうなっていたのか、読んでみたかったなあ〜

神話上では、プロメテウスを解放したのは、ヘラクレスだということです。

プロメテウスの内臓を食べていたワシをヘラクレスが弓矢で退治して、

そして、ゼウスがプロメテウスの鎖を解いてやったそうです。

でもなんでゼウスがプロメテウスの鎖を解くに気になったのか?!

については、

ヘラクレスが活躍した証拠として、

とか

プロメテウスがゼウスの知りたがっていた秘密を教えてあげたため、

とか、いろいろ言われています。

でも、プロメテウスが、ず〜〜っとワシに襲われ続けていたわけではないので、

無事に解放されて良かったですね!!

Sassero / Pixabay

「プロメテウスの火」の比喩

そういうわけで、

プロメテウスが人間たちに「火」をもたらしてくれて、

そのせいでプロメテウスは散々な目にあったりもするわけですが、

そういう苦労をしながらも、人間たちに火を与えてくれたという神話から、

現在でも

「プロメテウスの火」

っていう言い方をするようになったわけです。

これはつまり、一番最初の火をプロメテウスがくれたからですね。

tpsdave / Pixabay

ただ、この

「プロメテウスの火」

は、

科学技術の方だとちょっと違った意味合いも持つようになりました。

もともとは、ゼウスが「人間にはやってはいけない」と禁じていたのを、

プロメテウスが盗み出して与えたものですから、

「人間の手にあまる、時にはリスクにもなる技術」

に対して使われるような場合があり、

「プロメテウスの火」

というと、「原子力の火」を指して使われたりしています。

確かに今私たちは、原子力発電所の廃炉の方法も分からずにアタフタしていますからね。

ノーベル賞受賞者の朝永振一郎博士も、

こんなタイトルで原子力についての本を出されています。

プロメテウスの火 (始まりの本)

まあもちろん、古代ギリシャでプロメテウスの神話が語られていた時には、

そんなことまで考えていなかったんですけどね、もちろん。

でも、「火」が人類の生活を一変させたのは確かで、

それは「原子力」の時代に入った時にまた違うステージには入ったことになると思うんですよ。

そんな時、人類がまた思い返すのが、ギリシャ神話の世界だというのも面白いですよね!

プロメテウスは人類をどこへ導くの?

というわけで、本日は、

ギリシャ神話のプロメテウスという神様、

その神様がくれた火=「プロメテウスの火」

についてご紹介しました!

私たちが毎日何気なく使っている火、

これが無かったら・・・

と想像すると、どれだけ火がありがたいものか、よ〜く分かりますよね!

次にガス台の火やストーブの火をつけるとき、

人間に火をくれた神様がいたんだな、

って「プロメテウスの火」を思い出してもらえると嬉しいです!

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