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ギリシャ喜劇「平和」今こそ読みたい傑作3分で早わかり!

2017/08/15

今世界では紛争が長引きテロ事件が後を絶ちませんよね。

日本もこれからどうなるのでしょう?

そんな今だからこそ読みたい、

ギリシャ喜劇の傑作があります。

アリストパネス著「平和」

古代ギリシャの時代から、一般市民が求めるのは「平和」!

この紀元前421年に書かれた作品を、3分で早わかり解説しましょう!

戦争に疲れた市民が、平和を求める!

いつの世でも、庶民が求めるのは、「平和」

それを実感させられるのが、このアリストパネスが書いた喜劇「平和」です。

ざっくりとあらすじを紹介すると・・・

ペロポネソス戦争当時、長引く戦乱に嫌気がさした農民・トリュガイオスは、

ゼウスにもう戦争を止めるように頼もうと、でっかいコガネムシに乗って天へと出かけていきます。

でも、ゼウスも「戦争」の神が手に負えずに、引っ越してしまっている始末。

「戦争」の神が「平和」の女神を地下深く押し込めてしまっているので、

人間たちが「平和」を取り戻せないということを知ったトリュガイオスは、

農民たちと力を合わせて、「平和」の女神を地の下から救い出す、

というストーリーです。

分かったかな?

え? 3分経ってない?

ではもう少し解説すると・・・

長かったペロポネソス戦争

この作品が書かれた当時、作者のアリストパネスの住むアテナイ市は、

すご〜く長い戦争に巻き込まれていました。

それが歴史上有名な「ペロポネソス戦争」!!

アテナイ市と、スパルタ市とが覇権を争い、

紀元前431年から、アテナイ市が最終的に敗れる紀元前404年まで、

なんと30年近くもダラダラと紛争が続いていたのです。

この作品が書かれた紀元前421年というのは、「ニキアスの和約」が結ばれた年ですが、

この作品が発表されたのはその条約が結ばれる少し前のようです。

そして、この「ニキアスの和約」も長続きはしなかったんですけどね〜

まあ、そんなわけで、この当時のアテナイは「戦争、戦争!」という状態で、

農作物を育てて生活を守りたい庶民たち、

この喜劇の主人公・トリュガイオスのような農民にとっては、はなはだ迷惑。

土地は荒れるし、男は戦争にとられる。

「もういい加減にしろ〜!」と言いたくなる、そんな気持ちが

「平和」の女神を取り戻そう! というこの作品のベースにあるんですね〜

stuarthampton / Pixabay

でっかいコガネムシに乗って・・・

そんな「平和」を求めるこの作品なのですが、

アリストパネスの喜劇のすごいところは、その豊かなイマジネーション!!

主人公・トリュガイオスは、ゼウスに平和を訴えたい! と思って

なんとデッカいコガネムシに乗って天へと登っていきます。

その姿を想像するとアホみたいだけど、上演当時は本当に機械仕掛けのコガネムシを作って、

トリュガイオスをその背に乗せて釣り上げたみたいですよ!

これは実は、英雄ベレロポンが天馬ペガサスに乗っている、という神話をパロディー化してるみたいですけど、

それにしても、よくコガネムシに乗って空を飛ぶとか考えつくな〜

あ、しかもこのコガネムシ、いわゆる「フンコロガシ」の方ですから、結構汚いんですよ〜

Topi_Pigula / Pixabay

こんな「フンコロガシ」に乗ってやってきたトリュガイオスを見て、

神様ヘルメスもびっくり!ってシーンがあるんですが、そりゃびっくりするわな・・・

「平和」の女神をないがしろにしたのは人間たち

そんなふうに、変な虫に乗って天まで昇る、なんて、ふざけて書いているようにも見えるこの作品ですが・・・

読んでいると結構、真面目に「平和」のメッセージが伝えられていることに感動もするんですよね。

トリュガイオスは、戦乱が続くことで神様に戦争をやめさせようとするわけですが、

ヘルメスも「平和」の女神も、戦争へと突き進んで、「平和」の女神をないがしろにしてきたのは、

人間たちの方じゃないか、ということを言っています。

そうです、確かに「平和」の女神を大事にしていれば、戦争は起きないはずなんです。

そして、「平和」の女神を取り戻すために、トリュガイオスは

農民ばかりではなく、商人、大工、職人、そして全ての国の人たちに呼びかけて、

一緒に女神を地下から引っ張り出そう!と呼びかけています。

そういう人たちが心を合わせて「平和」を求めれば、女神が地の底から再び戻ってきてくれる、

というお話なんです。

どうでしょう?

今読んでも、耳が痛いところはありませんか?

「平和」の女神を大切にしていないのは、人間たち・・・

今も紛争が続く映像をテレビなどで見るにつけ、この作品を思い出さずにはいられません!

WikiImages / Pixabay

私の名前も「平和」です

そして、この喜劇「平和」のギリシャ語のタイトルですが、

「エイレーネー」(εἰρήνη)

です。ギリシャ語で「平和」です。

そう、これは私のペンネーム「イレーネ」の由来でもあります。

現代ギリシャ語読みなら「イリニ」、

そしてこの名前はヨーロッパ各地にも引き継がれて「イレーネ」「イレーヌ」、

そして英語読みなら「アイリーン」となっています。

「平和」の名前を持つ女性は今もたくさんいるわけですね!

でもどうでしょう? 人々は「平和」の女神を大事にしているでしょうか?

それは、今も「平和」の名前を引き継ぐ女性たちを目にしたら、ぜひ考えて欲しいな〜と思うところでもあります!

全文を読みたくなったら・・・

というわけで、非常にざっくりとギリシャ喜劇「平和」をご紹介しましたが、

気に入ってくださった方はぜひ作品全文を読んでみてくださいね!

今手に入る日本語訳では・・・

現在は残念ながら絶版になってしまった、ちくま文庫の

ギリシア喜劇〈1〉アリストパネス〈上〉

に収録されていますよ。

それと、ちょっとお高いですけれど、岩波書店の「ギリシャ喜劇全集」にも収録されていますよ。

ただ、どちらも今は手に入りにくい状況になってしまっているので、

図書館などでも借りられると思うので、気になった方は、ちょっと大きな図書館などに出かけて、ぜひ全文を読んでみてくださいね〜

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