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ギリシャ喜劇

アリストパネスの『平和』今こそ読みたいギリシャ喜劇の傑作3分で早わかり!

世界ではこれだけ文明の進んだ21世紀になっても、各地で紛争や衝突が後を絶ちませんよね。

日本の平和もいつまで続くことができるのでしょう?

そんな今だからこそ読みたい、ギリシャ喜劇の傑作があります。

アリストパネス著「平和」

この紀元前421年に書かれた作品は、古代ギリシャの時代から一般市民が求めるのは「平和」なんだ!と今の私たちに訴えかけています。

そんな作品について、3分で早わかり解説しましょう!

アリストパネスの『平和』戦争に疲れた市民が、平和を求める!

いつの世でも、庶民が求めるのは、「平和」

それを実感させられるのが、この

アリストパネスが書いた喜劇「平和」

なのです。

ざっくりとあらすじを紹介すると・・・

ペロポネソス戦争当時、長引く戦乱に嫌気がさした農民・トリュガイオスは、

最高神ゼウスにもう戦争を止めるように頼もうと、でっかいコガネムシに乗って天へと出かけていきます。

でも、そこではゼウスすらも「戦争」の神が手に負えずに、引っ越してしまっている始末。

「戦争」の神が「平和」の女神を地下深く押し込めてしまっているので、

人間たちが「平和」を取り戻せないということを知ったトリュガイオスは、

農民たちと力を合わせて、「平和」の女神を地の下から救い出す

というストーリーです。

分かったかな?

え? 3分経ってない?

ではもう少し解説すると・・・

長く市民を苦しめたペロポネソス戦争

この作品『平和』が書かれた当時、作者のアリストパネスの住むアテナイ市は、

すご〜く長い戦争に巻き込まれていました。

それが歴史上有名な

「ペロポネソス戦争」!!

アテナイ市と、スパルタ市とが覇権を争い、

紀元前431年から、アテナイ市が最終的に敗れる紀元前404年まで、

なんと30年近くもダラダラと紛争が続いていたのです。

この作品が書かれた紀元前421年というのは、「ニキアスの和約」が結ばれた年ですが、

この作品が発表されたのはその条約が結ばれる少し前のようです。

そして、結局この「ニキアスの和約」も長続きはしなかったんです。

まあ、そんなわけで、この当時のアテナイは「戦争、戦争!」という状態で、

農作物を育てて生活を守りたい庶民たち、

この喜劇の主人公・トリュガイオスのような農民にとっては、はなはだ迷惑。

土地は荒れるし、男は戦争にとられる。

「もういい加減にしろ〜!」と言いたくなる、そんな気持ちが

「平和」の女神を取り戻そう! 

というこの作品の物語のベースにあるんですね!

主人公はでっかいコガネムシに乗って・・・

そんな「平和」を求めるこの作品なのですが、

アリストパネスの喜劇のすごいところは、

その豊かなイマジネーション!!

主人公・トリュガイオスは、最高神ゼウスに平和を訴えたい! 

と思い立つのですが、

なんと!!

デッカいコガネムシ

に乗って天へと登っていきます。

その姿を想像するとアホみたいだけど、上演当時は本当に機械仕掛けのコガネムシを作って、

トリュガイオスをその背に乗せて釣り上げたみたいですよ!

これは実は、英雄ベレロポンが天馬ペガサスに乗っている、という神話をパロディー化してるみたいですけど、

それにしても、よくコガネムシに乗って空を飛ぶとか考えつくな!

あ、しかもこのコガネムシ、いわゆる

「フンコロガシ」

の方ですから、結構汚いんですよ!

こんな「フンコロガシ」に乗ってやってきたトリュガイオスを見て、

神様ヘルメスもびっくり!ってシーンがあるんですが、そりゃびっくりするわな・・・

「平和」の女神をないがしろにしたのは人間たち

そんなふうに、変な虫に乗って天まで昇る、なんて、ふざけて書いているようにも見えるこの作品ですが・・・

読んでいると結構、真面目に「平和」のメッセージが伝えられていることに感動もするんですよね。

トリュガイオスは、戦乱が続くことで神様に戦争をやめさせようとするわけですが、

ヘルメス神も「平和」の女神も、

戦争へと突き進んで、「平和」の女神をないがしろにしてきたのは人間たちの方じゃないか

ということをセリフの中で言っています。

そうです、確かに人間たちが「平和」の女神を大事にしていれば、戦争は起きないはずなんです!

これはシンプルな、不動の真実ですよね。

そして「平和」の女神を取り戻すために、トリュガイオスは

農民ばかりではなく、商人、大工、職人、そして全ての国の人たちに

一緒に女神を地下から引っ張り出そう!

と呼びかけています。

そういう人たちが心を合わせて「平和」を求めれば、女神が地の底から再び戻ってきてくれる、

というお話なんです。

どうでしょう?

今読んでも、耳が痛いところはありませんか?

「平和」の女神を大切にしていないのは、人間たち・・・

今も紛争が続く映像をテレビなどで見るにつけ、この作品を思い出さずにはいられません!

私の名前も「平和」です

そして、この喜劇「平和」のギリシャ語のタイトルですが、

「エイレーネー」(εἰρήνη)

です。

意味はギリシャ語で

「平和」

です!

そう、これは私のペンネーム

「イレーネ」

の由来でもあります。

「エイレーネー」(εἰρήνη)は、現代ギリシャ語読みなら「イリニ」となり、

そしてこの名前はヨーロッパ各地にも引き継がれて「イレーネ」「イレーヌ」、

そして英語読みなら「アイリーン」となっています。

「平和」の名前を持つ女性は今もたくさんいるわけですね!

でもどうでしょう? 

現代の私たちは「平和」の女神を大事にしているでしょうか?

それは、今も「平和」の名前を引き継ぐ女性たちを目にしたら、ぜひ考えて欲しいな〜と思うところでもあります!

*ギリシャの大女優「イレーネ・パパス」も同じく「平和」という名前ですよ!

>> イレーネ・パパスはギリシャの国際派女優!

アリストパネスの『平和』ぜひ読んでみてくださいね!

というわけで、

これだけ文明の進んだ21世紀でも、各地で紛争や衝突が後を絶たない

そんな今だからこそ読みたい、ギリシャ喜劇の傑作

アリストパネス著「平和」

非常にざっくりとご紹介しました!

この紀元前421年に書かれた作品は、その時代から一般市民が求めるのは「平和」なんだ!

と今の私たちに訴えかけてくれているものでした。

そんな訴えに心が動かされた方は、ぜひ作品全文を読んでみてくださいね!

今手に入る日本語訳では・・・

現在は残念ながら絶版になってしまった、ちくま文庫の

ギリシア喜劇〈1〉アリストパネス〈上〉

に収録されていますよ。

それと、ちょっとお高いですけれど、岩波書店の「ギリシャ喜劇全集」にも収録されています。

気になった方は、ぜひ読んでみてくださいね!

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