ギリシャ神話に登場する、神々の壮大な大戦争
「ティタン族との戦い」
をご存じですか?
ギリシャ神話の最高神といえばゼウスなのですが、
父親のクロノス神を倒してその後継者となった後も、
世界の支配者となるためには、強大な敵を倒して頂点に立つ必要があったのです!
そんなゼウスの前に立ちはだかった「ティタン族」との戦いは、
「ティタノマキア」と呼ばれる、激しいものでした!
ティタン族との大戦争
さて、ギリシャ神話の最高神・ゼウスが真の支配者となるべく戦った戦争、
それが、
ティタン神族との大戦争
です。
これをギリシャ語で
「ティタノマキア」(ティタン神族との戦い)
と言います。
ティタン神族というのは、ガイアとウラノスから生まれた、神々の第1世代のこと。
これに対して、ウラノスの息子クロノス神の支配する時代(第2世代)を経て生まれた
クロノスとレイアの間に生まれた神々の第3世代は、
オリュンポス山を住まいとするゼウスを中心とした
オリュンポス神族
と言います。
ゼウス神が父親のクロノスを倒した後も、
その前の世代であるティタン神族は、ゼウスたちオリュンポス神族に服従することなく、
彼らに対立して激しい戦争を繰り広げました!
この戦争は、
まるまる10年も続いた大戦争だった
ということです。
ゼウスたちも強力な神々でしたが、その前の世代であるティタン神族も、強力な力を持つ神々だったので、いくら戦っても決着がつかなかったのですね。
*ギリシャ神話では、トロイア戦争も10年続いたということですが、「10」という数字が好きなのでしょうね
ゼウスはヘカトンケイルを味方につける
そこで、早くこの戦争を終わらせたい女神ガイア(大地)は、
ゼウスたちオリュンポス神族に勝利をもたらすため、一計を案じます。
それは、
ガイアとウラノス(天)の間に生まれた恐るべき怪物、
ヘカトンケイル(百本腕)
を大地の底から連れ戻して味方につける、というものでした。
このヘカトンケイルとは、コットス、ブリアレオス、ギュゲスの3兄弟で、
それぞれ50の首を持ち、100本の腕が生えていたということです。
その姿があまりに恐ろしいことから、父のウラノスは大地の底に隠してしまったのですが、
ガイアは、そのヘカトンケイルを地の底から連れ戻し、ティタン族との戦いの強力な援軍としようとしたのです。
神様のお酒・ネクターでよみがえる
さて、そうして
久しぶりに地の底から連れ戻されたヘカトンケイルたちは、
神々の食べ物である
ネクタル(神酒)とアンブロシア(神食)
を与えられて力がみなぎり、
ゼウスたちオリュンポス神族に加勢して、ティタン神族と戦うことを約束しました。
ここでちょっと豆知識ですが・・・
日本でおなじみの飲み物「ネクター」
ご存知ですよね?多分、一度は飲んだことがある方が多いと思います。
実はこの名前、ギリシャ神話に登場する
神々のお酒「ネクタル」
から名付けられているのです!
ふふふ・・・ありがたい飲み物ですね。
この飲み物がなんと、ギリシャ神話に由来する名前を持つとは、日本では知らない人が多いのではないでしょうか。
ちなみに私は、これは甘すぎてちょっと苦手です。
はい、話が逸れました。
話を戻すと、こうして、ウラノス神も恐れたヘカトンケイルを味方につけたことで、
ゼウスたちオリュンポス神族は、一気に戦況を有利に導くことに成功するのです。
ティタン神族の敗北
さて、そうしてオリュンポス神族の味方に加わった
ヘカトンケイル
たちですが、
その100本の腕に岩をつかんで、ティタン神族に投げつけた、ということです。
こりゃたまらないですね、三人いるから、300個は次々と飛んでくるのですよ。
これに対して、ティタン神族も全力を挙げて戦い、
この神々の戦いで全世界は大混乱に陥ったそうです。
ヘシオドスの描写によると・・・
大地は 物凄く鳴りとよみ 広い天は揺すられて 呻きの声をあげ
高いオリュンポスの山は その根もとから ぐらぐらと激しく揺れた
ー『神統記』
ということです。文字どおり、
大地から天から、全世界が揺れた戦い
でした。
そしてそこで、
ゼウスもこの機を逃さず出撃し、
最大の武器である雷を、ひたすらにティタンたちの上に落とした
ということです。
さすがのティタン神族も、この雷の攻撃に対して為す術なく、
ゼウスの雷の炎に包まれてしまったということです。
このヘカトンケイルとゼウスの攻撃に対し、ティタンたちも激しく戦いましたが、
やがて戦況はゼウスたちに有利となり、
ついにティタンたちは敗北し、大地の底へと幽閉されることになりました。
![](https://irenekitakami.com/wp-content/uploads/2016/01/johannes-plenio-GmBT6GQEOs0-unsplash.jpg)
ゼウスの支配の完成!
こうして、
ティタン神族はゼウスを中心とするオリュンポス神族の前に敗北!
これをもって
ティタンたちとの戦い(ティタノマキア)は終結し、
ゼウスは神々の世界の支配者となった
ということなのです。
それにしても、ゼウスの支配が確立するまでは、
ギリシャ神話の世界は戦いに次ぐ、戦いですね!
そういった戦いを乗り越えて支配者となったゼウスですから、
神々の中でも最も強力で、地位が高いものとして認められたのでしょうね。
こんなに激しい戦争の上でゼウスが支配者となったというのも、
ギリシャの世界観を反映しているようで面白いです。
ともあれ、こうしてやっとギリシャ神話の世界に、
ゼウスを頂点をした秩序がもたらされたのでした!
この「ティタノマキア」について詳しくは、この本を読んでみてくださいね!