ぜひ一度は読んでほしいオススメのマンガです!
ローマの博物学者プリニウスを主人公にした歴史大作マンガ
この作品は、『テルマエ・ロマエ』で有名な
ヤマザキマリさん
もはや国民的漫画家であるヤマザキさんが
とり・みきさん
とタッグを組んで、共作で作り上げた大作歴史マンガ!!
はっきり言って
この作品、面白すぎる!傑作です!
一人でも多くの方に読んでほしいと思い、ご紹介させていただきますね!
『プリニウス』このマンガは凄すぎる!
最近わりと、古代ギリシャ・ローマを取り上げているマンガが増えてきたように思いますが、
そんな中で大注目なのが、この
ヤマザキマリさん、とり・みきさん共作の
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このマンガの作者であるヤマザキマリさんは、
古代ローマを舞台にした、ご存知
『テルマエ・ロマエ』
で大成功を収め、映画化もされて、日本で古代ローマが注目されるきっかけとなりました。
顔の濃い阿部寛さんがローマ人の設定で主役を務めているのもあっと驚かされる映画でしたね。
その大人気作の作者であるヤマザキマリさんが、
大好きな古代ローマの博物学者・プリニウスを主人公にしてスタートしたのが、このマンガ
なのです!
『プリニウス』のすごいとこ1)絵がすごい!
さて、それではこのマンガ
のすごいところについて、これからポイントごとにご紹介していきたいと思います。
この作品の何がすごいって、まず、その絵!!
ヤマザキマリさんが主に人物
とり・みきさんが背景の建物・風景・動物たちを主に描く
という共作の形を取っていますが、これが大正解!!
とり・みきさんの細密画の様なローマの風景と、リアルな動物たち、
そしてプリニウスの伝える不可思議な化け物たちまで、絵を見ているだけで全く飽きません!
この描き込み、ものすごい時間がかかってると思うけど、毎回惜しみなく凄まじい精密な絵を披露してくれるんですよ!
一コマ一コマ、背景まで全部見逃せません!
かたやヤマザキマリさんの描く登場人物たちの魅力は、もう「テルマエ・ロマエ」で日本じゅうに知られているとおりです!
リアルだけどおかしみもあって、「くすっ」と笑えるところもツボを押さえて入ってきて、
お堅い博物学者プリニウスが、まるでそこらによくいるおじさんのように親しみを感じさせます。
大真面目なんですけど、どっかずれているんですよね。
そんなリアルなおじさんプリニウスの生態を、このマンガで楽しんでもらうことができます!
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『プリニウス』のすごいとこ2)登場人物がすごい!
そして、メインのストーリーの方もすごいんです。
日本ではあまり馴染みのない人物と言ってもいい
博物学者プリニウス
という人物を主人公にしているのが、画期的!!
このプリニウスは、いわゆる「大プリニウス」として、歴史の授業で習った方も多いと思います。
そう、大著『博物誌』を表したローマの学者さんですね!
こういうあまり知られていない学者さんを主人公にしたって時点で、このマンガはすごい!
誰も目をつけていなかったところに切り込んでマンガにしてしまったという、その意気込みに拍手を送りたい!
そして、この大プリニウスの活躍した時代には、
日本でも名高い
皇帝ネロ
そして、
哲学者セネカ
といった歴史上の人物がたくさん登場します!
このマンガの中でも当然彼らが登場してきて、
当時高明な学者であったプリニウスと会話するシーンなどを見ると、
その当時の混沌とした雰囲気を想像してワクワク!
歴史の授業で名前と本の名前を暗記しただけくらいだった彼らが、急に人間らしく感じるようになりますよ。
マンガの中では、普通にローマの街を歩いておしゃべりしたりしてるんですから、親近感を持っちゃいますよね!
これを読むと、きっと古代ローマに興味のない人たちも、この登場人物たちを好きになってしまうと思います!
マンガで好きになったついでに、セネカ先生の難しそうな本も読んでみる?!
もちろん、そういう歴史上の偉人だけじゃなくて、ローマ時代の普通の人たちの生活が見えるのもこのマンガのいいところ!
プリニウスの護衛としていつもそばに付いている
元ローマ軍人のフェリクスさん
この人は、ごくごくフツーのローマのおじさん。
奥さんに頭が上がらなくて、子どもがやたらいっぱいいる。
ちょっと薄くなった頭が気になってて、でも腕っぷしは凄い!
プリニウス先生が浮世離れしてる分、生活感のあるフェリクスさんが庶民の生活を教えてくれます。
そしてもう一人プリニウスに付きそうのは、
書記官のエウクレス
この人も、ごくごくフツーの青年。
プリニウスが書記官として雇うことになるくらい頭がよくって、とても真面目な性格で、プリニウス先生の仕事を尊敬していますが、その変人ぶりは想像を超えていたかも?!
そんな一般人の人たちが、変人学者のプリニウス先生に振り回されながらの珍道中も、読んでいてとっても楽しいのですよ!
たしかに天才の行動はおかしなところが多いでしょうから、周りにいる人たちは大変だったでしょうね!
『プリニウス』のすごいとこ3)ローマの生活描写がすごい!
そして、これはマンガならではの表現で、
小説などでは絶対表現しきれないのが、
ローマの街並みなどのリアルな風景!
これは、ヤマザキさんはすでに「テルマエ」の方でやっていたんですが、
今回とり・みきさんという相棒を得て、
ローマの街の生活風景がさらにリアルに再現!
庶民のアパートとか、路地裏とか、居酒屋とか・・・
そうそう、売春宿だって出て来ますよ!
そんな、歴史の教科書では絶対出てこないようなところが、
イキイキとマンガで再現されているんですよね!
絵で描くときには相当下調べもしているはずですから、大変な時間のかかっている労作になるわけです。
これはすごい!!
作者のお二人も相当絵のリアルさにこだわって描いてくれているので、画面の隅々まで見ていて飽きません!
繰り返しになりますが、これは本当にすごい!
ぜひ一度実物を読んでみてほしいなと思います!
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『プリニウス』に登場するギリシャ
さて、それではこのマンガ
の中に登場するギリシャについてもご紹介したいと思います。
主人公のプリニウスの活躍していた時代は、
現在のギリシャに相当する地域一帯は、ローマ帝国の属州
そういうわけでこのマンガでは、しっかりとローマ帝政下のギリシャも登場してきて、
その生き生きとした姿を見ることができるのですよ!
ギリシャ人の書記官・エウクレス
このマンガでは、
プリニウスの書記官となったエウクレス
という青年がメイン・キャラクターで出てきますが、
彼は実は
「マグナ・グラエキア人」
つまり
南イタリアからシチリア島一帯に植民したギリシャ人
なのです。
古代ローマ帝国が栄えるずっと前から、ギリシャ人は地中海沿岸各地に植民して、ポリスを繁栄させていたのですね。
シチリアは今でもギリシャ植民市の遺跡が数多く残されていますが、
エウクレスはそのシチリアのエトナ山のふもとの出身
という設定になっています。
プリニウスは、エトナ山の噴火で家が燃えて途方にくれている若きエウクレスと出会い、
彼が文法学を学んでいたことから書記官として雇うことになります。
第1巻で初めて二人が出会った時には、
二人でギリシャ語で話していた
という設定になっていますので、ラテン語が母語のプリニウスの博学ぶりが分かりますね。
ということで、このマンガは古代ローマが舞台で、主人公プリニウスはローマ人なのですが、
実はギリシャの要素もたくさん出てくるわけなのです!
ギリシャ出身の家庭教師・アンナ
そしてさらに、このマンガの第3巻には
プリニウスの甥っ子の家庭教師となる女性・アンナ
が登場します。
このアンナは、
ギリシャのアテナイ(現在のアテネ)出身
という設定です。
ローマの街角で代筆業をしていたアンナは、ラテン語、グラエキア語(ギリシャ語)、ヘブライ語もできる教養ある女性。
実はお父さんとお兄さんも、
アテナイのリュケイオン(アリストテレスの学園)
で先生をしていたというインテリ一家の出身。
家族が亡くなってしまったので、義理のお兄さんの代筆屋を手伝っています。
このマンガに描かれている通り、
ギリシャがローマの支配下に降って属州となった後も、アテナイは学問の都としての地位を保ち続け、
それはビザンチン時代になっても変わることはありませんでした。
ヤマザキマリさんによると、そんなアテナイ出身の奴隷というのは教養があってプライドが高く、
ローマ市民もおいそれと使うことはできなかったそうですよ。
このアンナは、そういったアテナイの
「学問の都」
としての側面を表しているキャラクターなのですね。
この彼女の教養を見込んだプリニウスが、甥っ子の家庭教師として雇うことになるのです。
第3巻で登場してすぐに、さっそくその才媛ぶりを披露する場面があります。
プリニウスについていこうかどうしようか迷うエウクレスに、彼女はこんなことを言うのです。
人間は知識 教養という栄養なしでは健全に育たぬ生き物
無知や無学ほど人間の社会を脅かすものはありません
おお〜、耳が痛い!!
けど、正論!
そして、この聡明な家庭教師・アンナが教育するプリニウスの甥っ子というのは、実は
小プリニウス
として歴史に名前を残した人物です!
なぜ「小プリニウス」と呼ばれているかというと、この甥っ子は、叔父のプリニウスと名前が同じだったから。
区別するために、この甥っ子を「小プリニウス」
そしてこのマンガの主人公の博物学者プリニウスは、「大プリニウス」と呼ばれています。
この「小プリニウス」が、叔父である大プリニウスの仕事をまとめたものが、こちらの本
『プリニウス書簡集―ローマ帝国一貴紳の生活と信条』
そういえば、歴史の授業で、やったなあ・・・
って思い出す方も多いと思います!
こんなふうに、このマンガを読むときっとローマ史に強くなれると思うんで、
受験生たちもきっと、読んだ方がいいよ!
プリニウス御一行のギリシャ旅行!
そしてこのマンガでは、第8巻〜第9巻で、
プリニウス御一行がギリシャ旅行に出かけます!
博物学者としてのプリニウスの知識を広げるため、
- クレタ島
- ロードス島
- コリントス
など、ギリシャの名所を旅していきます!
ローマ帝政下の属州だったギリシャの様子を見ることができるので、
ギリシャが好きな方達にも十分見応えのある内容になっていますよ!
『プリニウス』ぜひ読んでみて!
というわけで、大注目のマンガ
この例を見ない、
古代ローマの博物学者・プリニウス
を主人公にしたマンガ
これを読めば、歴史の教科書で教わっただけの古代ローマの人々が、急にリアルに人間味を持って感じられること間違いなし!
歴史が好きな方も、そうじゃない方も、ぜひ一度読んでみていただきたいオススメです!
一度読めば、きっと夢中になってしまうと思いますよ!
騙されたと思って、ぜひ一度手に取ってみてくださいね!
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『プリニウス』各巻紹介
『プリニウス』第1巻
さてそれではこのマンガ、
第1巻 (2014年刊行)
その冒頭は、なんと
プリニウスの終焉の土地・ポンペイ
からスタートします!
これはもう歴史上の事実だからみんな分かってることだからいいですが、
プリニウスはここで、ヴェスビオス火山の噴火で命を落とすことになるのです。
このマンガはいきなりその噴火のシーンから始まるわけなので、
第1巻でいきなり主人公が?!
ってちょっとびっくりするのですが、その後時間はさかのぼって、
プリニウスの若い頃、まだ少年だったギリシャ人の書記官エウクレスと出会った頃に話は戻ります。
この時プリニウスはシキリア属州総督代行として赴任してきたばかり。
エウクレス少年はこの出会いにより、プリニウスの書記官となって行動を共にすることになるのですが、
のっけから、プリニウス先生の博識ぶりと、変人ぶりが披露されていて、
どんどん物語に引き込まれちゃいます!
時代はかの有名なネロ帝の統治時代。
わがままな青年皇帝ネロとプリニウスの微妙な関係にも注目です!
そしてシチリアから初めて首都ローマにやってきた時のエウクレスと一緒に、当時の大都市ローマの圧巻の描写を楽しむことができます!
まずは第1巻から、ぜひ読んでみてください!
この第1巻を読んだら、まず間違いなく続きを読みたくなる!
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『プリニウス』第2巻
そして第2巻では、
博物学者の主人公プリニウスは、
ギリシャ人の新しい書記官エウクレスを連れて、ローマの邸宅に戻ります。
このローマのシーンでは、商店の様子など、ローマの市民生活の詳しい様子が見れますよ!
この時代のローマって、多分ヨーロッパの産業革命前くらいの生活レベルは余裕でありますね!
これが二千年も前の話だなんて、信じられない!
ぜひ読んでみてくださいね!
『プリニウス』第3巻
『プリニウス』第4巻
第4巻の詳しいレビューはこちらの記事をぜひご覧ください!
『プリニウス』第5巻
第5巻の詳しいレビューはこちらから!
『プリニウス』第6巻
アフリカまで旅する6巻の詳しいレビューはこちらから!
>>アフリカ上陸!『プリニウス』第6巻!見逃せないポイント7つ!
『プリニウス』第7巻
歴史に残る「ローマ大火」の描かれる7巻の詳しいレビューはこちらから!
『プリニウス』第8巻
プリニウスたちがギリシャのクレタ島に向かう8巻の詳しいレビューはこちらからどうぞ!
『プリニウス』第9巻
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『プリニウス』第10巻
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『プリニウス』第11巻
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