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ギリシャ神話

[ギリシャ神話]「パンドラの箱」って一体な〜に?

2018/03/13

こんにちは、イレーネです!

本日は、プロメテウス神話の続きです。

「プロメテウスの火」も有名ですが、

「パンドラの箱」っていうのも、誰しもが一度は聞いたことあるんじゃないかと思います。

でも、一体どんな箱だかご存じ??

実はプロメテウスの神話とも深く関わっていますので、

今日はギリシャ神話の「パンドラの箱」について、ご紹介です!!

火を盗んだ罰として・・・

さて、前回のプロメテウスのお話では、

プロメテウスがゼウスの禁じた「火」を盗み出して、人類に与えてくれた、

これが「プロメテウスの火」なんですよ、

というところまでのお話しでした!

*「プロメテウスの火」について詳しくは、こちらの過去記事をご覧ください!

[ギリシャ神話]「プロメテウスの火」って一体何なの?

本日のテーマ「パンドラの箱」が登場するのは、この後になります!

プロメテウスが火を盗んで、人類に与えてしまった、

ということに気がついたゼウスは、当然ながら、プロメテウスに激怒!

プロメテウスと人間たちに、罰を与えることにしました。

鍛冶の神である名工ヘパイストス神に命じて、

土から乙女の姿を作り出させた、ということです。

そして女神アテナが、この乙女を美しく装わせました。

白銀色の衣装をまとい、帯をつけ、頭からヴェールを垂らして、

ヘパイストス神が作った見事な冠をかぶせました。

この乙女が、「プロメテウスの火」の代償として人間たちに下された、

「美しい災い」(カロン・カコン) となるのです・・・

sfetfedyhghj / Pixabay

最初の女・パンドラ

こうして、人類にとって、

「美しい災い」

としてゼウスよりもたらされたのが、

最初の女「パンドラ」なのです!

でも、なんで、美しい乙女が「災い」なのよ〜?!

って女性たちの怒りを買いそうですけど、

ここら辺はこの物語を古代に記したヘシオドスの女性観が影響しているみたいです。

ヘシオドスの『神統記

によれば、

最初の女性・パンドラがなぜ人間たちにとっての「罰」だったかというと・・・

パンドラから、女性の種族が生まれたからなんだそうです。

この女性の種族というものは・・・

貧乏な男じゃなくて、お金持ちとだけ一緒になる、

男たちが日中汗水たらして働いてきた稼ぎを、家の中で食べつくしちゃう、

っていうような、厄介な「災い」だって言うんですね〜。

ちょっと〜!!

現代の、外で働いて稼ぎを持って帰る女性たちからしてみれば、

「失礼な!」と怒りたくなるような言いぐさですが、

古代のギリシャ社会だと、まだまだ女性の社会進出なんて遠い夢のまた夢な話だったわけなので、

女性に対してそういうふうにヘシオドスは考えていた、ってことなんですけど。

でも、現代だって、美しい女性に貢いで身を滅ぼしちゃう男性はまだまだいるらしいので(?)

「美しい災い」というのは、当たらずとも遠からず???

AdinaVoicu / Pixabay

「パンドラ」ってどういう意味?

さて、この

「最初の女」となった女性「パンドラ」

ですが、

この名前は実は『神統記』では出てこなくて、

同じくヘシオドスの書いた『仕事と日』の中で、初めて出てきます。

じゃあ、この

「パンドラ」

ってどういう意味?

と思うかもしれませんが、

これはギリシャ語で正しくは

「パンドーラー」(Πανδώρα)

と言いまして、

「パン」(Παν)は「全て」という意味、

「ドーラー」(δώρα)は「贈り物」(δῶρον)という意味で、

二つ合わせて「すべての贈り物」となります。

そう、「パンドラ」はゼウスから人間にもたらされた、

災いを運ぶ「すべての贈り物」だったんです。

でも結局「災い」なんですけどね。

ヘシオドスは、女性というのは、

嘘つきで、甘い言葉で誘って、しかも不実だって、書いてますよ!

おいこら! どこまで女性不信なんだ!!

と突っ込みたくなりますが、今でも不倫ドラマ『昼顔』が大ヒットしちゃったりして、

これも当たらずとも遠からずなのかな〜???

「賢いお兄さん」と、「ダメな弟」

さて、そんな、

人間に災いをもたらす贈り物「パンドラ」が誕生し、

人間たちの元へやってくることになるのですが、

じゃあこの時、そもそもの原因を作ったプロメテウスは、いったいどうしていたの?

ゼウスの裏をかくくらい、賢くて有名だったプロメテウスなのに、

ゼウスの企みに気がつかなかったの?

と思いますよね?

実はここで登場するのが、

「エピメテウス」というプロメテウスの弟です。

しかし、このエピメテウスが、賢い兄に比べて、うっかり者のダメなヤツなんです。

名前も、ギリシャ語で

「プロメテウス」が「先知恵」

という意味で、要するに賢い者は物事の先を読む、ということを表しているのに対して、

「エピメテウス」は「後知恵」

という意味なんです。

要するに、全てをしでかしてしまってから、「あっ、しまった」と後で気づくタイプ。

いますよね〜〜〜こういうタイプ。トホホ。

そういうわけで、この弟「エピメテウス」はダメなヤツなので、

お兄さんの「プロメテウス」は、先回りして弟に

もしゼウスから何か贈り物があっても、人間に対して災いをもたらすかもしれないから、受け取ってはいけない、

と言い聞かせていたらしいんです。

ところが〜!!

ゼウスから最初の女性「パンドラ」を贈られたエピメテウスは、

その美しさを見て喜んで受け取ってしまいましたとさ!

エピメテウス、さすが後知恵くん!

というわけで、人間にとっての災いとなる女の種族は、

人間たちの元へとやってきたのです!

あちゃー。

Gellinger / Pixabay

「パンドラの箱」って一体何??

と、こういうわけで、

最初の女「パンドラ」が、

人間たちのところへやってくることになったのですが、

じゃあ有名な「パンドラの箱」って一体なんなのか?? 

って?

実はこの時、パンドラが人間界に持ち込んだものなのです。

それまでは、人間たちは、災いや労働、病気などもなく暮らしていたそうです。

しかし、パンドラが、人間たちにとっての災いを入れた「甕(カメ)」を持ってきて、

人間界でそのフタを開けて、「甕(カメ)」の中身を撒き散らしてしまったそうです!

そうして、人間たちには、さまざまな苦難が、やってくるようになったのでした。

しかし、パンドラが「甕(カメ)」フタを閉めた時に、

「甕(カメ)」の中には、「希望」(ἐλπίς)だけが残っていた

ということです!

・・・・・・

ん??

気がつきましたか?

そう、「パンドラの箱」は、本当は、

「箱」じゃなくて「甕(カメ)」でした!

古代ギリシャだと、陶器製の「甕(カメ)」を日用品としてよく使っていたんですね〜

今でも博物館などに行くと、たくさん見ることができますよ。

大小様々、ワイン入れやオリーブオイル入れなど、いろいろ使われていたみたいです。

美しい絵が装飾されているのもあって、とっても美しいんです。

これが「箱」と訳されたのは、これをラテン語に訳した時の誤訳だ、とも言われておりますよ。

そんなわけで、今では一般的に、「パンドラの箱」と言われているんですが、

まあ古代ギリシャ人が聞いたら「なんじゃそれ?」ってところかも?!

monicore / Pixabay

残った「希望」ってなんだろう??

さて、そんなわけで、

「パンドラの箱」 ならぬ 「パンドラの甕(カメ)」

から人間界に飛び出していったあらゆる災いのおかけで、

人間は生きていると苦労して、病気したり、汗水垂らして働かなくちゃいけなくなった、

ってことなんですけどね。

でも、この時パンドラがまき散らしてしまった「災い」が入っていた「箱」(正しくは「甕(カメ)」)には、

希望(エルピス:ἐλπίς)が残った!!

ということです。

じゃあ、この「希望」ってなんなの?

ってことについては、いろいろな解釈ができまして・・・

そもそも、パンドラは人間に災いをもたらすために人間のところにやってきたので、

彼女が持っていた「箱」あるいは「甕(カメ)」には、災いがいっぱい詰まっていたはずなんですね。

ということは、本来は、「希望」って悪いものなの??

という疑問が浮かびます。

だって、「パンドラの箱(甕)」には、災いが入っていたんだから、「希望」だって悪いものなはずですよね〜。

じゃ、人間にとって、「希望」は悪いものなんでしょうか?

確かに、

「これで儲かるかも〜」とか、

「今日のご飯はちょっと高級店に行くからおいしいかも〜」とか、

「好きな人が自分のことも好きなんじゃないかな〜」とか、

人間の生活は「希望」だらけ!!

だけど・・・

その「希望」が裏切られた時には、結構切ない苦しみが待っていたりもしますよね??

そう考えると、「希望」って悪いものなのかもしれない・・・

って気分にもなってしまいます。

でも!

人類はそういう「希望」を糧に、毎日を生きている、と言っても過言じゃないですよね〜?

毎日を楽しく生きるエッセンスが、「希望」でもあるわけです。

だから、ゼウスも「パンドラの箱(甕)」の中に、一つくらいいいものを入れておいてくれた、ってことじゃないでしょうか?

ん・・・・・・??

そう、鋭い人はここで気がつきましたよね?!

だって、そんな「希望」は、「パンドラの箱(甕)」の中に残っちゃったんです!!

人間の世界に飛び出す前に、パンドラがフタを閉じちゃったんですからね〜

ということは・・・

今の人間の世界には、「希望」がないの〜??

これこそ、まさに

「夢も希望もない」

世界だわ〜

ツライわ〜・・・

って、考え始めると、この「パンドラの箱」の神話って、だんだん分からなくなってきちゃうんですよね〜

これこそ、ゼウスが私たちを悩まそうとして送ってきた罰のナゾナゾかもしれないですよ??

そういうわけで、この「パンドラの箱」の神話の解釈はいろんな試みがなされていて、

今も私たちの心を捉え続けているのでした!

絵画の巨匠たちも、この「パンドラの箱」を、たくさん、美しく描いていますよ〜

それくらい、私たちの心を捉えて離さない神話なんだ、っていうことも言えますね!!

ロセッティの描くパンドラはたくましいなあ〜


ロセッティ「ピュクシスを持つパンドーラー」1878年

ルフェーブルのパンドラは初々しい・・・


ルフェーブル「パンドーラー」 1882年

ウォーターハウスのパンドラは、はかない・・・


ウォーターハウス「パンドラ」1896年

というふうに、いろんなパンドラの姿が見られますので、気になった方はちょっと調べて、

いろいろ比べて見てみるのも楽しいですよ!

プロメテウスの神話は続く・・・

というわけで、本日は、

「パンドラの箱」

にまつわる神話をご紹介してみました!!

実は「甕(カメ)」だった、とか、「希望」ってなんなんだ? とか、

今読んでも面白い神話ですよね!

それでも、初めての人間の女性が、土からできたとか、

「災い」だとか、ちょっと世の女性たちを敵に回しそうな神話なんですが、

 

現代は古代ギリシャと違って、女性が強くなって、本当によかった!

ということで、許してくださいね!

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