当ブログは広告を掲載しています

ギリシャ神話

「パンドラの箱」って一体なに?最初の女性・パンドラの贈り物とは?

ギリシャ神話の有名な話として、

「パンドラの箱」

というのを、誰しもが一度は聞いたことあるんじゃないかと思います。

でも、一体どんな箱だかご存じですか?

実は人類最初の女性・パンドラにまつわる不思議な神話ですので、

そんなギリシャ神話の「パンドラの箱」について、簡単にご紹介しますね!

一度は聞いたことがあるけどよく意味が分からない、という方、読んでいっていただけると嬉しいです!

パンドラは火を盗んだ罰なの?!

さて、この「パンドラの箱」の神話は、

同じくギリシャ神話で有名な、

「プロメテウスの火」

の神話と関わっています。

「プロメテウスの火」について詳しくは、こちらの記事をご覧ください!

>>ギリシャ神話の「プロメテウスの火」って一体何?人間に火を与えてくれた神様の話

プロメテウスがゼウスの禁じた「火」を盗み出して、人類に与えてくれた、

これが「プロメテウスの火」というわけなんですが、

「パンドラの箱」

が登場するのは、この後になります!

プロメテウスが火を盗んで人類に与えてしまった、

ということに気がついたゼウスは、当然ながら、プロメテウスに激怒!

プロメテウスと人間たちに、罰を与えることにしました。

鍛冶の神である名工ヘパイストス神に命じて、

土から乙女の姿を作り出させた

ということです。

そして女神アテナが、この乙女を美しく装わせました。

白銀色の衣装をまとい、帯をつけ、頭からヴェールを垂らして、

ヘパイストス神が作った見事な冠をかぶせました・・・

こうして出来上がった、姿は女神にも似た美しい乙女。

この乙女が、「プロメテウスの火」の代償となる

「美しい災い」(カロン・カコン)

して人間たちに下された、

人類最初の女性・パンドラ

ということなのです。

最初の女性・パンドラ

こうして、人類にとって、

「美しい災い」(カロン・カコン)

としてゼウスによってもたらされたのが

人類最初の女性・パンドラ

というわけなのですが、

でも、なんで、美しい乙女が「災い」なのよ〜?!

って女性たちの怒りを買いそうですけど、

ここら辺はこの物語を古代に記したヘシオドスの女性観が影響しているみたいです。

ヘシオドスの

『神統記』

この記述によれば、

最初の女性・パンドラがなぜ人間たちにとっての「罰」だったかというと・・・

パンドラから、女性の種族が生まれた

からなんだそうです。

この女性の種族というものは・・・

貧乏な男じゃなくて、お金持ちとだけ一緒になる、

男たちが日中汗水たらして働いてきた稼ぎを、家の中で食べつくしちゃう、

っていうような、厄介な「災い」だって言うんですね〜。

ちょっと〜!!

現代の、外で働いて稼ぎを持って帰る女性たちからしてみれば、

「失礼な!」と怒りたくなるような言いぐさですが、

古代のギリシャ社会だと、まだまだ女性の社会進出なんて遠い夢のまた夢な話だったわけなので、

女性に対してそういうふうにヘシオドスは考えていた、ってことなんですけど。

でも、現代だって、美しい女性に貢いで身を滅ぼしちゃう男性はまだまだいるらしいので(?)

「美しい災い」(カロン・カコン)

というのは、当たらずとも遠からずかもしれません?

「パンドラ」ってどういう意味?

さて、それではこの

人類最初の女性・パンドラ

ですが、

この名前は実は『神統記』では出てこなくて、

同じくヘシオドスの書いた

『仕事と日』

の中で、初めて出てきます。

それでは、この

「パンドラ」

ってどういう意味?

と思うかもしれませんが、

これはギリシャ語で正しくは

「パンドーラー」(Πανδώρα)

と言いまして、

「パン」(Παν)は「全て」という意味、

「ドーラー」(δώρα)は「贈り物」(δῶρον)という意味で、

二つ合わせて直訳すると、

「すべての贈り物」

という意味になります。

そう、「パンドラ」はゼウスから人間にもたらされた、

災いを運ぶ「すべての贈り物」だったんです。

でも結局「災い」なんですけどね。

ヘシオドスは、女性というのは、

嘘つきで、甘い言葉で誘って、しかも不実だって、書いてますよ!

おいこら! どこまで女性不信なんだ!!

と突っ込みたくなりますが、今でもゴシップニュースでは毎日のように「不倫」ばっかり取り上げられていますので、

これも当たらずとも遠からずなのかな〜???

パンドラをめぐる「賢いお兄さん」の忠告と、「ダメな弟」の顛末

さて、そんな、

人間に災いをもたらす贈り物

「パンドラ」

が誕生し、人間たちの元へやってくることになるのですが、

じゃあこの時、そもそもの原因を作ったプロメテウスは、いったいどうしていたの?

ゼウスの裏をかくくらい、賢くて有名だったプロメテウスなのに、

ゼウスの企みに気がつかなかったの?

と思いますよね?

実はここで登場するのが、

「エピメテウス」というプロメテウスの弟

しかし、このエピメテウスが、賢い兄に比べて、うっかり者のダメなヤツなんです。

名前も、ギリシャ語で

「プロメテウス」が「先知恵」

という意味で、要するに賢い者は物事の先を読む、ということを表しているのに対して、

「エピメテウス」は「後知恵」

という意味なんです。

要するに、全てをしでかしてしまってから、「あっ、しまった」と後で気づくタイプ。

いますよね〜〜〜こういうタイプ。

というか、人類のほとんどはこういうタイプなんじゃないかと思いますが、

そういうわけで、この弟「エピメテウス」はダメなヤツなので、

お兄さんの「プロメテウス」は、先回りして弟に

もしゼウスから何か贈り物があっても、人間に対して災いをもたらすかもしれないから、受け取ってはいけない、

と言い聞かせていたらしいんです。

ところが〜!!

ゼウスから最初の女性「パンドラ」を贈られたエピメテウスは

その美しさを見て喜んで受け取ってしまいました!

エピメテウス、さすが後知恵くん!

というわけで、人間にとっての災いとなる女の種族は、

人間たちの元へとやってきたのです!

あちゃー。

「パンドラの箱」って一体何??

と、こういうわけで、

最初の女性「パンドラ」

が、人間たちのところへやってくることになったのですが、

それでは有名な

「パンドラの箱」って一体なんなの? 

っていうところなんですけれども、

実はこの時、パンドラが人間界に持ち込んだものなのです。

それまでは、人間たちは、災いや労働、病気などもなく暮らしていたそうです。

しかしパンドラが、

人間たちにとっての災いを入れた「甕(カメ)」

を持ってきて、人間界でそのフタを開けて、

「甕(カメ)」の中身の災いを撒き散らしてしまったそうです!

そうして、人間たちには、さまざまな苦難が、やってくるようになったのでした。

しかし、実はパンドラが「甕(カメ)」フタを閉めた時に、

「甕(カメ)」の中には、「希望」(エルピス / ἐλπίς)だけが残っていた

ということです!

・・・・・・

ん??

気がつきましたか?

そう、「パンドラの箱」は、本当は、

「箱」じゃなくて「甕(カメ)」

でした!

古代ギリシャだと、陶器製の「甕(カメ)」を日用品としてよく使っていたんですね〜

今でも博物館などに行くと、たくさん見ることができますよ。

大小様々、ワイン入れやオリーブオイル入れなど、いろいろ使われていたみたいです。

美しい絵が装飾されているのもあって、見ていて飽きません!

そんな陶器製の「甕(カメ)」が「箱」と訳されたのは、これをラテン語に訳した時の誤訳だ、とも言われておりますよ。

そんなわけで、今では一般的に

「パンドラの箱」と言われているんですが、

まあ古代ギリシャ人が聞いたら「なんじゃそれ?」ってところかも?!

残った「希望」ってなんだろう??

さて、そんなわけで、

「パンドラの箱」

ならぬ

「パンドラの甕(カメ)」

から人間界に飛び出していったあらゆる災いのおかけで、

人間は生きていると苦労して、病気したり、汗水垂らして働かなくちゃいけなくなった、

ってことなんですけどね。

でも、この時パンドラがまき散らしてしまった「災い」が入っていた「箱」(正しくは「甕(カメ)」)には、

希望(エルピス / ἐλπίς)が残った!!

ということです。

じゃあ、この「希望」ってなんなの?

ってことについては、いろいろな解釈ができまして・・・

そもそも、パンドラは人間に災いをもたらすために人間のところにやってきたので、

彼女が持っていた「箱」あるいは「甕(カメ)」には、災いがいっぱい詰まっていたはずなんですね。

ということは・・・

本来は、「希望」って悪いものなの??

という疑問が浮かびます。

だって、「パンドラの箱(甕)」には、災いが入っていたんだから、「希望」だって悪いものなはずですよね?

じゃ、人間にとって、「希望」は悪いものなんでしょうか?

確かに、

「これで儲かるかも?」とか、

「今日のご飯はちょっと高級店に行くからおいしいかも!」とか、

「好きな人が自分のことも好きなんじゃないかな?」とか、

人間の生活は「希望」だらけ!!

だけど・・・

その「希望」が裏切られた時には、結構切ない苦しみが待っていたりもしますよね??

そう考えると、「希望」って悪いものなのかもしれない・・・

って気分にもなってしまいます。

でも!

人類はそういう「希望」を糧に、毎日を生きている、と言っても過言じゃないですよね〜?

毎日を楽しく生きるエッセンスが、「希望」でもあるわけです。

だから、ゼウスも「パンドラの箱(甕)」の中に、一つくらいいいものを入れておいてくれた、ってことじゃないでしょうか?

ん・・・・・・??

そう、鋭い人はここで気がつきましたよね?!

だって・・・

そんな「希望」は、「パンドラの箱(甕)」の中に残っちゃったんです!!

人間の世界に飛び出す前に、パンドラがフタを閉じちゃったんですからね〜

ということは・・・

今の人間の世界には、「希望」がないの〜??

これこそ、まさに

「夢も希望もない」

世界だわ〜

ツライわ〜・・・

って、考え始めると、この「パンドラの箱」の神話って、だんだん分からなくなってきちゃうんですよね・・・

これこそ、ゼウスが私たちを悩まそうとして送ってきた罰のナゾナゾかもしれないですよ??

そういうわけで、この「パンドラの箱」の神話の解釈はいろんな試みがなされていて、

今も私たちの心を捉え続けているのでした!

名画に見る「パンドラの箱」!

そういうわけで、

謎とともに今も私たちを魅了し続けるこの神話なのですが、

多くの絵画の巨匠たちも、この

「パンドラの箱」

を、絵のテーマとして取り上げていて、たくさん、美しいパンドラが描かれていますよ〜

それくらい、私たちの心を捉えて離さない神話なんだ、っていうことも言えますね!!

気になった方はちょっと調べて、いろんなパンドラの姿を比べて見てみるのも楽しいですよ!

あなたは、どの巨匠が描いたパンドラがお好き?

名匠ロセッティの描くパンドラ、なにやら怪しげな迫力満点!

ロセッティ「ピュクシスを持つパンドーラー」1878年

パンドラはパワフルな女性たちの先祖!

というわけで、

「パンドラの箱」

にまつわる神話を簡単にご紹介してみました!!

実は「箱」じゃなくて「甕(カメ)」だった、とか、「希望」って一体なんなんだ? とか、

今読んでも面白い神話ですよね!

それでも、初めての人間の女性が、土からできたとか、

「災い」だとか、ちょっと世の女性たちを敵に回しそうな神話なんですが、

現代は古代ギリシャと違って、女性が強くなって、本当によかった!

いい時代になりましたよね!

でも考えてみると、ギリシャの女性たちって、とってもパワフルで強いんです!

・・・ということは、強すぎて男性たちは敵わなくて「災い」って言ってただけかもしれませんね?!

-ギリシャ神話
-, , ,