現在のオリンピックで、陸上競技の華といえば、やっぱり
マラソン!
毎回オリンピックのたびに楽しみに観戦している方も多いかと思うのですが、
このマラソン競技、古代には無かった競技で、
近代になってからオリンピックの目玉競技として作られた、ってご存知でしたか?
そんなマラソン競技の意外な歴史、簡単にご紹介します!
近代オリンピックの目玉競技・マラソン
マラソン競技といえば、誰でも知っているのが、
この競技の由来とされている伝説。
マラトンの戦いで、攻め込んできたペルシアの大軍を、アテナイ軍が打ち破った!
と知らせるため、伝令がマラトンからアテナイまで走り続け、
味方の勝利を告げて、そのまま息絶えてしまった・・・
という、アレですよ。
だから、このマラソン競技は、古代からあったんだよね、と思ってる人も多いと思うのですが、
実は違うのです!!!
1896年に近代オリンピックの第1回をアテネで開催するにあたり、
何か目玉になる、話題性のある競技はないものか・・・
と、オリンピック復活の立役者であるクーベルタン男爵たちは、頭を悩ませました。
そこでひねり出したのが、この
「超長距離走」
これを種目に入れるために、マラソン伝説も合わせて宣伝したのだそうです。
なんだ〜、そうなの?!
ってがっかりした人もいるかもしれませんが、第1回近代オリンピック成功のため、
クーベルタン男爵たちも、必死に頭をひねって話題性のある競技を導入したんですね!
そして実際、オリンピックも開催して、マラソン競技も実施してしまったんだから、
これはお手柄という他ないですよ!
*近代オリンピック開始について詳しくは、こちらの記事もご参照ください!
実は怪しい「マラソン伝説」
まあ、そんなわけで、近代オリンピックから登場したマラソン競技なのですが、
この競技の導入にあたって宣伝された
「マラソン伝説」
上にもご紹介した通り、マラトンの戦いの時に、勝利を告げる伝令がマラトンからアテネまで走った、という有名なお話ですが、
これも実は怪しいらしいですよ・・・
なぜかというと・・・
マラトンの戦いの起こったのが、紀元前490年のこと。
ところが、
「歴史の父」ヘロドトス(紀元前485〜420年頃)
は、「マラソン伝説」について一言も書いていないんです。
ヘロドトスの書いているところによると、
ピリッピデスという伝令が確かに出てくるんですが、
彼が走ったのは、アテナイからスパルタまで。
しかも、勝利を知らせるためではなくて、援軍を頼むために、スパルタに行ったのです。
ペルシアが攻めてきたので、一緒に戦おう、と頼んだんですね。
だから、勝利を告げてその場で倒れて死んじゃったりしていませんよ!
*ヘロドトスがどう書いているか、詳しくはこちらを読んでね!
ところが、この話に尾ひれがついて・・・
ローマ期になって、
プルタルコス(紀元1−2世紀)
が書いた著作では、
伝令のエウクレスが勝利を告げて亡くなった、という話が登場するんですね。
そして、
ルキアノス(紀元2世紀)
の著作になると、
伝令のフィリッピデスが、勝利を告げて亡くなった、という話になっています。
というわけで、マラトンの戦いから600年くらい経ってから、
「マラトンの戦いの勝利を告げて亡くなった伝令」の話が出てくるんですね。
う〜ん、この話をどれくらい信じるか?
ですけれども、まあ、時代の一番近いヘロドトスがなんとも言っていないのでね・・・
なんだか、「マラソン伝説」怪しい??
まあでも、今後どっかの砂漠から、新しいパピルス文書などが出てきて、
そこにマラトンの戦いについての古い記録が入ってる可能性はまだ捨てきれませんから、
本当にそういうことがあったのかもしれないし、真実のところはわかりませんね。
でも、マラソン競技はすごい!
そんなわけで、
マラソン競技は実は近代オリンピックから新しく導入された種目
しかもその
「マラソン伝説」もなんだか怪しいんだよね
というお話でした!
まあでも、「マラソン伝説」が本当であろうとなかろうと、
マラソン競技はすごいですよね!
あれだけの長時間、力走を続ける選手たちは、本当にすごい!
マラソン競技でメダルを取るような選手は間違いなく大会の花形!!
次のオリンピックでも、一体どんなスター選手が生まれるか、楽しみですね!