さて、本日はポンペイ周辺出土のフレスコ画の傑作の一つ
「ケイロンによるアキレウスの教育」
この壁画の題材となったギリシャ神話についてご紹介します。
現在も奇跡的に美しい姿を私たちに見せてくれる壁画、
そのもととなったギリシャ神話は、一体どういうものだったのでしょう?
ケイロンはアキレウスの師匠
さて、本日ご紹介の壁画は、ポンペイ出土といっても、ポンペイ近郊のヘルクラネウム(現在のエルコラーノ)の遺跡から出土したもので、
ポンペイと同時にヴェスヴィオ火山の噴火により火山灰に埋もれてしまったものです。
そのため、驚異的な保存状態で現代の私たちも見ることができる奇跡の壁画!
この壁画は、
と同じ、皇帝崇拝の場アウグステウムで発見され、その美しさにラファエロの絵画に例えられたという
「ケイロンによるアキレウスの教育」
右側に描かれているのは少年時代の
英雄アキレウス
そしてその隣に立つ、彼の教育者であった
ケンタウロスのケイロン
を描いています。
少年のアキレウスは、楽器のキタラを抱えているので、二人は今は音楽の授業の最中のようですね。
ケイロンは後ろ足は座ってリラックスしているようです。
ケイロンは、上半身は人間だけれども下半身は馬という、
ケンタウロス族
の一員です。
ケイロンはとても賢く、この絵に描かれているような音楽の他にも、
医術、狩猟、運動、予言など、様々な分野に優れていて、
このアキレウス以外にも、アスクレピオス、イアソンなどの英雄を教育した、
と神話では語られています。
トロイア戦争で活躍した英雄アキレウスも、幼少時代はこうやって、ケイロンから様々な知識を教わっていたのですね。
でも、このように知的で賢いケイロンは、ケンタウロスとしては例外的で、
本来はケンタウロス族はとても気性が荒くて乱暴者と考えられていました。
有名なのが、
「ケンタウロスとラピテス族の戦い」
という神話で、
ケンタウロスたちがラピテス族のペイリトオスの結婚式に招待された時、
酒に酔ったケンタウロスたちは、ラピテス族の乙女たちを奪おうとし、
ラピテス族と戦いになったと語られています。
この神話はギリシャ美術のモチーフにもなっていて、パルテノン神殿や、オリュンピアのゼウス神殿の彫刻にも、
ケンタウロスとラピテス族の戦いを見ることができますよ!
マンガでもおなじみのコンビ!
さて、そんなギリシャ神話でも有名な、
ケイロンとアキレウスの師弟関係ですが、
マンガ「ギリシャ神話劇場神々と人々の日々」
でも登場してきて、おバカな授業を繰り広げています。
マンガの中では、ケイロンはすごくケチで授業料のことばっかり言ってます。
表紙も、ちょうどその二人が描かれていますよ!
とにかく、このマンガに登場するケイロンとアキレウスは、この壁画で描かれている二人とはえらい違い!!
くれぐれも、この傑作壁画を見ているときに、このマンガのことを思い出さないように気をつけてくださいね。
笑っちゃいますから。
ぜひ、実物の壁画を見てくださいね!
というわけで、
本日はポンペイ周辺出土のフレスコ画の傑作の一つ
「ケイロンによるアキレウスの教育」
の題材となったギリシャ神話についてご紹介しました!
今や日本ではマンガにも取り上げられている、
ケイロンとアキレウスの師弟関係がこの壁画のテーマ。
この壁画はポンペイ周辺出土の壁画の中でも屈指の美しさを誇りますが、
「世界遺産ポンペイの壁画展」では、イタリア政府が国宝級のこの壁画を初めて日本で公開してくれました。
この壁画を見たら、そんなギリシャ神話の背景を、思い出してみてくださいね!!
(*この壁画展は2016年に開催されたものです。現在は終了しています。)
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