さて、本日はポンペイのフレスコ画の傑作
「テセウスのミノタウロス退治」
この壁画のテーマとなる神話についてご紹介します。
この壁画は
世界遺産 ポンペイの壁画展
で日本初公開となり、話題になったもの。
一体どんなギリシャ神話に基づいて描かれているのでしょうか?
神話の背景を知ると、壁画鑑賞もさらに楽しくなりますよ!
ミノタウロスは体は人間で頭は牛の怪物!!
本日ご紹介するポンペイのフレスコ画の傑作
「テセウスのミノタウロス退治」
この壁画は、ポンペイといっても実はポンペイ近郊のヘルクラネウム(現在のエルコラーノ)の遺跡から出土したもの。
ポンペイと同時にヴェスヴィオ火山の火山灰に埋もれたため、火山灰に密封されたことにより、奇跡的に保存されて現在でもその姿を見ることができるようになりました。
フレスコ画ってとてももろいので、この偶然がなければ現代まではとても伝わらなかったのですね。
この壁画は、ヘルクラネウムの皇帝崇拝の場アウグステウムで発見された壁画で、
同じく奇跡の保存状態となった
それと
と同じ場所に描かれていたものです。
そうして、現代の私たちに姿を見せてくれるのが、この
「テセウスのミノタウロス退治」
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この壁画のテーマは、
テセウスがミノタウロスという怪物を退治した
というギリシャ神話の最も有名なエピソードの一つ。
この神話について、かいつまんでご紹介しますと・・・
テセウスはアテナイ王アイゲウスの息子
アテナイは以前、クレタ島のミノス王に敗れ、
以降、9年ごとに少年少女を7人ずつ、生贄として差し出すよう決められていました。
この少年少女たちは、クレタ島の迷宮・ラビュリントスに閉じ込められている、
ミノタウロス
という怪物の餌食となるのです。
ミノタウロスは、
体は人間で頭は牛
という怪物。
母パシパエが、雄牛と交わって誕生した、と言われています。
アテナイの王子テセウスは、これを見かねて、怪物ミノタウロスを倒すため、この生贄に自ら志願します。
クレタ島に到着したテセウスは、
ミノス王の娘アリアドネ
の力を借りて、
脱出するための糸玉を垂らしながら迷宮ラビュリントスに入っていき、
見事、ミノタウロスを討ち取った、というお話になっています。
ちなみに、この時、
王女アリアドネが、テセウスが無事にラビュリントスを脱出できるよう糸玉を与えたお話は
「アリアドネの糸」
としてこれもまたよく知られた神話ですね。
*アリアドネの糸について詳しくはこちらの記事も合わせてどうぞ!
*英雄テセウスについて詳しくは、こちらの記事を合わせてどうぞ!
ミノタウロスを倒した英雄テセウス!
というわけで、
この傑作壁画
「テセウスのミノタウロス退治」
は、この有名な英雄テセウスの神話をモチーフにしているのです。
その神話を頭に入れてもう一度壁画をよく見てみると、
中央のたくましい若者はテセウスで、
彼の手足にまつわりついている子供達は、
同じくミノタウロスへの生贄として連れてこられた少年少女を描いているのでしょう。
そして、よーくみると、
テセウスの足元には、ミノタウロス?!
でも残念ながら、足元のミノタウロスの彩色は薄くって、よーく見ないと分からないレベル。
この壁画の主人公は、あくまでも中央に堂々とたつテセウス!
ギリシャ神話屈指の英雄の姿を、ローマの人たちも壁画の中で見たかったのでしょうね〜。
それよりも、この壁画だと、よ〜く見ると、
テセウスの上半身の体の向きが、不自然じゃありませんか???
下半身の腰の向きと、上半身の方向が、体をねじってるにしても、なんかね〜
と腑に落ちないので、ついついじっと見てしまいます。
なんか、ローマ美術専門の方(?)には怒られそうですけど、ここら辺がローマだな〜なんて思っちゃうのですが(笑)
ギリシャ彫刻だとまずこういう不自然さってない気がするんですよね。
まあ、そんな解剖学的な視点で見るのも、面白い展示会だと思いますよ〜
神話とセットで楽しんで!
というわけで、本日は、
ポンペイ周辺出土のフレスコ画の傑作の一つ
「テセウスのミノタウロス退治」
この壁画の題材となったギリシャ神話についてご紹介しました。
ギリシャ神話の中でも屈指の人気を誇るエピソードが、この奇跡の壁画にも描かれていたんですよね。
壁画の美しさとともに、壮大なギリシャ神話の世界も頭の中で想像を巡らすと、壁画鑑賞も倍楽しめるかも!
次にこの壁画を目にすることがあったら、ぜひテセウスの冒険についても、思い出してあげてくださいね!
*この記事に興味を持った方は、こちらの記事も合わせてどうぞ!