ポンペイのフレスコ画がやってきた!
世界遺産 ポンペイの壁画展
現在、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中です。
日本初公開の壁画も含まれているとのこと。
2016年7月3日までの開催ですので、まだ見ていない方は是非!
貴重なポンペイの壁画が日本に!
ポンペイのフレスコ画を公開する
世界遺産 ポンペイの壁画展
開催期間は2016年4月29日(金)〜7月3日(日)まで。
六本木ヒルズにある、森アーツセンターギャラリーで開催中です。
ポンペイの壁画を東京のど真ん中で見ることができる!
チケット料金は、結構高いな・・・
15名以上の団体を組めれば、そちらは200円お得です!!
オンラインで購入すると、当日買う手間が省けそうです。(*値段は変わらず)
(*このページの情報は2016年5月時点の情報です。展覧会は現在終了しています))
ギリシャ神話を題材にした3作品が見どころ!
公式サイトによると、
今回の展示の見どころは、
イタリア国外で初めて公開される、
「赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス」
同じアウグステウム(皇帝崇拝の場)の壁画も合わせて公開!
どれも、保存状態の良い、国宝級の作品ばかり。
ぜひ一度、この目で見てみたいなあ〜
なぜ、ギリシャ神話の壁画なの?
というふうに、このポンペイ展の目玉は、
ギリシャ神話に基づいた壁画
なのですが、
なぜローマのポンペイから出土した壁画が、ギリシャ神話がモチーフなのか?
と疑問に思う方もいるかもしれません。
答えは簡単!
ローマ美術では、彫刻作品ばかりではなく、壁画もギリシャの有名なオリジナルのものを、たくさんコピーして量産していたのです。
ローマが大量にコピーしてくれたおかげで、すでにオリジナルの失われた作品を、コピーで目にすることができるのですね。
彫刻でも、有名なミュローンの「円盤投げ」も、ローマ期のコピーしか伝わっていませんし。
残念ながら、ギリシャの絵画作品は現存していないので、
現在では絵画作品もあったということ自体、あまり知られていませんが・・・
ギリシャは絵画技術も一級品だったのです。
ギリシャのオリジナルが現在に伝わっていないのが残念!!
というわけで、このようなギリシャ神話を題材にした作品が、ローマのポンペイで見られるのですね。
もちろん、ギリシャの影響ではなくて、ローマでの出来事などを描いた作品もあるのですが、
今回のポンペイ展では、そういうわけで、ギリシャ美術の影響の強い作品が見どころなわけです。
その他には、ポンペイの農園別荘の立体展示などもあって、なかなか楽しい展示会みたい!
7月3日まで!見逃せない!
という、とっても面白そうな
六本木で開催中のポンペイ展は、7月3日まで!
まだ一ヶ月以上あるしーと思って私もまだ見ていないんですが、
うっかりしてるとすぐに一ヶ月経ってしまいそうなので、私も早く行かなきゃ!!
来月からは、いよいよ
「古代ギリシャ展」
も始まるし、合わせてこちらもぜひ見たいですね!
今年の夏は、ギリシャ美術尽くし!!
みなさん、お楽しみください〜
(*このページの情報は、2016年5月24日時点のものです。展覧会は現在終了しています)
追記:行ってきました!
さて、この日本で行われているポンペイのフレスコ画展覧会
世界遺産 ポンペイの壁画展
いよいよ7月3日までということで、
会場に足を運んできました!
実際に目にしてみると、想像以上に色彩豊かで美しい壁画ばかりでした!
六本木ヒルズの中に、ポンペイの世界!
さてさて、実際に足を運んできましたので、会場レポートです。
「ポンペイの壁画展」が行われているのは、
六本木ヒルズ52階の森アーツセンターギャラリー
超近代建築の中で、古代の壁画展、というこのミスマッチにシビれます。
チケットを買って、いざ会場へ!
今回は当日券だったので、一般客は1600円です。
うぐっ、高い! やはり前売りを買っておけばよかった!
会場へは、高速エレベーターで、一気に52階まで上ります。
耳がキーンとなるので、唾を飲んで治します。高速エレベーターって、これが嫌ですよね〜。
そして、いよいよ会場へ!
せっかく来たのだから、フルで展覧会を楽しむために、音声ガイドも購入しました。
ヘッドホンをかけて、絵の解説を聞きながら鑑賞するヤツです。
こちらも550円! うぐっ、出費がかさむわ〜
そして会場内に入ったのですが、
やっぱりネットの写真で見るのと、実物を見るのは違いますね!
当たり前のことですが、「壁画」ですので、実際のサイズで見ると、大きい!!
こんな大きかったのか!迫力が違います!
そして、色彩の鮮やかさに驚かされます・・・!
ポンペイが火山灰に埋もれて、タイムカプセルのように密閉されていたので、これだけのクオリティで現在見る事が出来るのですね。
しかし、当時の人々が暮らしていた頃には、こういうフレスコ画はもっと鮮やかで、もっと美しかったんでしょうね!
その頃のポンペイの街に行ってみたかったな〜
と空想が膨らみます。
私のお目当ては、ギリシャ神話系統の壁画たちでしたが、
遠近法を駆使した壁面や風景画など、当時の絵画技術の高さをじっくりと見ることができたのは大満足!
正直、ローマ期にこれだけのクオリティの壁画を描いていたとは、驚きですよね。
アウグステウスムの3壁画も想像以上の迫力!
そして、今回の展覧会の目玉である、皇帝崇拝の場アウグステウムで発見された三つの壁画も目の前にどーん!と現れて圧倒されます。
どれも当然ですが、実物の迫力に息を飲みました。色使いも想像していたよりずっと鮮やかで、生々しいほどです。
これは絶対、一生に一度は生で見ておくべき傑作壁画です!
実物大の農園別荘展示!
そしてこの展覧会のもう一つの目玉は、
カルミアーノで発掘された、農園別荘の壁画の立体展示!
このカルミアーノ地区というのはどこかと言うと、
古代のスタビアエのあったあたり。
そう、プリニウスが、噴煙に巻かれて亡くなったとされている場所です。
*マンガ『プリニウス』にも登場します!
そのスタビアエで火山灰に埋もれた農園別荘が発掘され、見事に保存されていた食堂の壁画が見つかりました。
今回の展覧会では、発掘時の配置そのままで、立体的に展示されているのです。
この展示室に一歩入ると、タイムスリップした気分になって、しばし空想を膨らませてしまいました!
一体どんな人たちが、この食堂で食事をとり、会話を弾ませていたのでしょうね。
それにしても、室内の壁いっぱいに見事な壁画が描かれていて、古代スタビアエの人たちが、どれほど贅沢で先進的な生活を送っていたのか、驚かされます!
この農園別荘の食堂の壁画のテーマはというと、
今回展示の3面のうち、二つはギリシャ神話のディオニュソス神に関するもの
それはなぜかというと、この農園別荘では、ワインの製造を行っていたからなんですね!
このこじんまりとした農園別荘からは、出来上がったワインを貯蔵しておく貯蔵室も見つかっています。
そう、
ギリシャ神話のディオニュソス神は、ワインの神様としても崇拝されていました!
ワインの初物を捧げるアンテステリア祭というお祭りも、ディオニュソスのために大々的に行われていたんですよ。
ですから、ワインを製造していたこの農園別荘でも、ワインの神様ディオニュソスを壁画の題材に選んでいるのですね!
こちらの「ディオニュソスの凱旋」の壁画では、ディオニュソスは妻となるアリアドネを伴っています。
牛車に乗せられたアリアドネの姿は、残念ながら衣の下のところしか残っていませんが・・・
アリアドネは、英雄テセウスに恋してミノタウロス退治を手伝いましたが、テセウスがアテナイに帰る途中に、ナクソス島で置き去りにされたということです。
そして、ナクソス島でディオニュソスに発見され、妻とされた、とも伝わっています。
*アリアドネについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
もう一つの壁画「ディオニュソスとケレス」では、ディオニュソス神は、農耕の女神デメテル(ローマ神話ではケレス)と寄り添って描かれています。
こちらの農園別荘では、農耕の女神もワインの神も、とても重要な存在だったことがわかりますね!
By: Mentnafunangann
しかし、このように壁画の中では優雅に牧歌的に描かれている
ディオニュソス神ですが、
実はギリシャ神話では恐ろしい話も伝わっています
そもそも、その誕生神話からして、普通ではない!
ディオニュソスは、ゼウスとセメレの間の子とされていますが、
ヘラが二人の仲に嫉妬して、セメレが「本当の姿で自分に会いに来て欲しい」とゼウスに頼むように仕向けます。
しかし、ゼウスは本来の雷の姿でセメレの元に現れたので、セメレは雷に打たれて死んでしまい、
ゼウスはその時セメレのお腹の中にいたディオニュソスを自分の太ももに縫いこんで育てた、ということです。
「ゼウスの太ももから生まれたディオニュソス」なんて、
「桃から生まれた桃太郎」くらいびっくりですよね!(比較になってない?)
そんなディオニュソスは、人間に狂気をもたらす神としても恐れられ、
熱烈なディオニュソス信者の女性たちは狂気におちいり、家を出て野山をさまよい、獣を八つ裂きにして生肉を貪り食った、とも語られていました。
エウリピデスによる悲劇「バッカイ」によると
(*ディオニュソスは「バッコス」という名前でも知られていました)
テーバイ王ペンテウスは、自らの国でディオニュソスを信仰することを禁じたために、
狂気に取り付かれた母親・アガウエたちによって、八つ裂きにされて殺されてしまいます。
狂乱状態のアガウエは、ライオンを殺したと思っていたのですが、だんだんと正気に戻って、
自分が持っているのが自分の息子ペンテウスの首であるのに気がついて嘆き悲しむ、
というシーンは、その場面を想像すると、ぞっとしますね!
ディオニュソスはそういうふうに、人を狂わせる神でもあったのですが、これもワインの性質の一面、という見方もできますね。
ワインは飲んでも、飲まれるな!
一番気に入った絵は・・・
そして、今回の展覧会で、私が一番心惹かれたのは、今回の目玉壁画群ではなくて・・・
ポンペイの「船団の家」から出土した、小さな壁画
「踊るマイナス」
「マイナス」とは、ディオニュソス神に付き従う、熱狂的な女性信者。
ディオニュソスとともに、野山で歌い踊り、駆け回ると考えられていました。
ですので、このマイナス像も、踊を踊っている最中のような、軽やかな動きを表しています。
この服の透け感と、風を受けてふくらむ柔らかさに、惹きつけられました。
暗い背景の色の中に浮かぶ柔らかな女性像は、
まるでフェルメールの絵画のよう・・・
ため息が出るような美しさでした!
ポンペイに行きたくなる展覧会でした!
というふうに、大満足だった「ポンペイ展」
こうやって展覧会を見ると・・・
実際のポンペイに行きたくなる!!
ぜひ行きたい!!
会場では、「ポンペイに行った気になれるよ〜」っていう撮影コーナーもあったけど、
でも、これじゃなくて、実際のポンペイに行きたいんだあ〜
と、心で叫んでしまいましたよ。
まあでも、ここまで行くには実際先立つものも必要なので、とりあえずはカタログを見て我慢・・・
と公式カタログも購入しました。2300円(税込み)なり!!
と、すっかり財布は寂しくなりましたが、
何と言っても滅多にない展覧会ですので、やっぱり行ってよかったです!
ぜひ多くの方に、この奇跡のフレスコ画たちを実際に目にしていただきたいです!
(*このページの情報は、2016年5月24日時点のものです。展覧会は現在終了しています)