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ギリシャの歴史

ギリシャの古代都市ヘリケを襲った地震と津波

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昨日で東日本大震災から5年が過ぎました。

昨日の記事で「地震の神・ポセイドン」をご紹介したのですが

[ギリシャ神話]地震の神・ポセイドン

その時に、改めてヘリケという町を襲った災害の恐ろしさを感じたので、

本日はヘリケの地震で町がどうなったか、ご紹介したいと思います。

同じ地震国に暮らす日本としては、

これまで地震がもたらす災害を経験してきたギリシャの歴史は、

考えさせられるところがあるかもしれません。

海沿いの都市、ヘリケ

ヘリケは、ペロポネソス半島北部にあった、

古代ギリシャのポリスの一つです。

Helice

 

この地図の赤丸部分あたりにあったと考えられています。

古くはホメロスにも名前が出てくるように、歴史あるポリスとして栄えていました。

海岸から町までは、およそ2キロ。

それほど海の目の前の町というわけではないのですが・・・

地震の後に起きた津波は、その2キロをあっという間に駆け抜けて、ヘリケの町を飲み込んでしまったのです。

ヘリケが消えた大災害

その災害が起こったのは、紀元前373年の冬のことだったと伝わっています。

パウサニアスが伝えるところによると・・・

ポセイドンの怒りは容赦なく、たちまち地震がこの地を襲い、建物も崩し、建物どころか市の土台そのものまで、後世の人々の目から消し去ってしまった。

(パウサニアス『ギリシア記』7.24.6より)

ということですので、

ヘリケの町は文字どおり、消えてしまったのです。

ヘリケの町をこのように壊滅させて、目に映るところから消してしまったのは、

地震に続いて起きた津波と、地盤沈下でした。

・・・ヘリケを襲ったのは、土台を押し上げるこの型の地震だったが(*直下型地震)、振動につれて冬場の市にもう一つの悲運も襲い掛かった。海がこの地方の大半を襲い、市をすっぽり包み込んだ。加えて津波は、ポセイドンの社のところで、樹々の梢がやっと見渡せるほどの高さに達した。この神(ポセイドン)が突如として震い、地震と共に海が駆け上って、波はヘリケ市を人間ぐるみ引きさらった。

(パウサニアス『ギリシア記』7.24.12より)

ということですので、

木の梢まで達したということは、数メートルの高さにまで水が押し寄せたと思われます。

この津波が、ヘリケ市の人々もろとも、町全部を消し去ってしまったのです。

ストラボンの書き残しているところによれば、

この地震でヘリケ市の地域全体が海に沈んでしまい、

アカイア人が2000人を送って捜索にあたりましたが、遺体を回収することはできなかったそうです。

(ストラボン『地誌』8.7.2より)

改めて、自然の猛威にぞっとする記述が残されていることがわかりますね。

ギリシャも日本と同じように海洋国家で、海沿いの町はその海の恵みに頼って暮らしていたはずですが、

一度災害が起こると、その海が牙をむいて、人間ごと、町ごとさらっていってしまう・・・

今回の東日本大震災での光景が、頭に浮かんできたのは私だけでしょうか?

ヘリケの再発見

ヘリケはそうして海に沈み、やがて人々の記憶からも薄れて、

長い間、その海底都市がどこにあるのか?と議論されてきました。

水中考古学の発展にもよって、近くの海域の探索もされましたが、

なかなか確定はされませんでした。

しかし、消えた町・ヘリケは意外なところから発見されました。

それまでは、水中を主に捜索されていたのですが、

ヘリケが沈んだ地帯は、湾のような形で海につながり、

それが、長年の堆積物で埋もれて、完全に地中に埋もれていたのです。

2001年、古代ヘリケ市の場所が確認され、

発掘の結果2012年には、地震の痕跡も確認され、ヘリケ市であることが裏付けされました。

発掘の模様の動画です(英語のみ。)↓

現在も、このヘリケ市一帯の発掘は進んでいます。

さらに発掘が進めば、ヘリケ市がどのように災害によって消えたのか、

詳しい状況も分かってくることでしょう。

Helikeausgrabungen

災害から学び、忘れないこと・・・

というわけで、本日は、

古代ギリシャのヘリケ市が、

地震と津波で歴史から消えてしまったお話をしました。

え? こんなのは特別な例だから、日本では起こるはずがない?

そうでしょうか?

日本も同じように、地震を繰り返すプレートの真上にある島ですし、

ヘリケ市のように、大地震でプレートがずれて、

大規模な地盤沈下が起きる可能性は大いにあると思います。

起きない、と考えるのは楽観的でしょう。

実際に東日本大震災では、「想定していない」大規模な地震と津波が日本を襲いました。

いたずらに恐怖心を煽る訳ではありませんが、

日本も地中海一帯と同じように、いつ大地震や津波が襲ってくるか分からない、

ということを知っておくのは大切なのではないでしょうか。

過去に起きた災害を正しく知り、どうやったら被害や犠牲を抑えられるか、

それを検証し続けることが、未来の子孫を助けることにつながります。

古代ヘリケ市の災害が今なお私たちに伝えられているように、

東日本大震災の被害の記録も、できる限り後世に語り継ぎ、

未来を少しでも良いものに変えることができるようになれば、

と願わずにはいられません。

改めて、東日本大震災の犠牲者の皆さんのご冥福をお祈り申し上げます。

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