今でも世界各地の紛争のニュースが続いていて、気持ちも暗くなりますよね。
いつの世でも、庶民が求めるのは平和!
ということを今も訴える
ギリシャ喜劇の傑作!
アリストパネスの『女の平和』
についてご紹介します!
3分で早わかり解説しますので、気になった方はぜひ読んでいってくださいね!
今こそ平和を!
アリストパネス『女の平和』のあらすじ
さて、このギリシャ喜劇の傑作
アリストパネスの『女の平和』
超簡単にあらすじをご紹介しますよ!
主人公は、アテナイに住む女性
リュシストラテ
彼女は長く続く戦乱に嫌気がさし、
ペロポネソス戦争を終結させるために、ギリシャ中の女性に対して
「戦争を続ける限り、男にエッチさせるな」
という、セックス・ストライキを決行するよう呼びかけます。
これに応じた女たちは、アクロポリスに集結し、
みんなで男性を拒否!
セックスしたけりゃ、戦争をやめな!
と男性たちに迫ります。
エッチはしたいけど、戦争もやめられない、
と追いつめられた男たちは、なんとかして女性たちのセックス・ストをやめさせようとしますが、
両者の利害は平行線のまま。
一方の女性たちも、セックスレスに耐えかねて、ストを破ろうとする人も出てきたりするのですが、
最終的には見事女性たちが勝利を収め、
ペロポネソス戦争を続けていたアテナイとスパルタの間についに平和がもたらされる!
というお話。
というわけで、
アリストパネスの『女の平和』
とは、
戦争をやめさせるために、セックスを武器に立ち上がった、女性たちのお話なのです!
よくぞこのストーリーを考え付きましたよね!
二千年以上前の、ラブ&ピース!
セックスと平和のお話なのです!
以上、3分でこの名作の内容が、分かってもらえたかと思います!
いや、3分経ってない?
それでは、もうちょっとこの作品について解説していきますね!
タイトルに込められた意味
ところで、この作品、日本では
アリストパネスの『女の平和』
として知られていますが、
ギリシャ語の原題は女主人公の名前をとった、
「リュシストラテ」(Λυσιστράτη)
です。
この名前の意味は、
「リューシス」(λύσις)(解く、解放)+「ストラトス」(στρατός)(軍隊)
の女性形で、
「軍隊を解散する女」
という意味です。
セックスを盾にして、男性たちに戦争をやめさせるリュシストラテは、
まさに「軍隊解散女」なんですね!
でも日本語では、この「リュシストラテ」の意味は伝わりにくいので、
通常は「女の平和」というタイトルで紹介されています!
アリストパネスの『女の平和』が書かれた時代背景
さて、この作品が書かれた当時、
作者のアリストパネスの生きた時代は、アテナイは、スパルタとの間で長く続いた
ペロポネソス戦争
の真っただ中で、戦争に次ぐ戦争。
この長く続く戦乱の世に苦しんだ、庶民の声を代弁するような作品が、この「女の平和」です。
書かれたのは、紀元前411年。
アリストパネスが、これもまた平和を訴える作品『平和』を書いてから、10年後のこと。
驚きですが、この間もずっと、ペロポネソス戦争は続いていたんですよね!
それはそれは長い戦争だったのです。
一般庶民たちは、もういい加減に戦争は終わりにしてほしい、という気持ちにもなりますよ。
しかし、今私たちが生きている世界を振り返ってみれば・・・
今の世界も、紛争に次ぐ紛争、テロ事件・・・
2500年余りの時を経て、人類は何を学んできたの?
と多くの人が思わずにはいられないと思います。
アリストパネスが作品の中で訴えた平和への願いは、現代の私たちへの警告でもあるのですね。
アリストパネスの『女の平和』は現代でもなお読み継がれる傑作
ということで、
アリストパネスの『女の平和』
は、戦争をやめさせるために女性たちが一致団結してセックス・ストライキをした!
という奇想天外なコメディーなのでした!
しかしふざけた中にも、戦争と平和に対するアリストパネスの強い思いが込められていて、
その内容は古今東西を問わず人類に普遍的なメッセージを届けていると思います。
そのため、この作品はアリストパネスの喜劇の中でも、現代でも最もよく読まれている作品の一つ。
現代の日本でも読みつがれていて、手軽に文庫でも読むことができます。
古代ギリシャで立ち上がった女性たちの、平和を手に入れる戦いについて、
気になった方は是非、手にとって読んでみてくださいね!