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ギリシャ神話

ギリシャ神話の冥界の王ハデスは死神なのか?! その素顔を簡単解説!

ギリシャ神話に登場する神様の中で

死者のいる冥界を支配する神様

ハデス

をご存知でしょうか?

ゼウスやポセイドンなどといった神様に比べて、「死」に関わるせいかあまり耳にする機会が少ないようにも思います。

死者の国の神様というと、いわゆる死神みたいなものを想像する方も多いかと思うのですが、

そこらへんもちょっと違うので、このハデスという神様について、簡単に解説してみます!

興味ある方は、ぜひ読んでいってくださいね!

冥界の王ハデスはゼウスの兄弟!

それではまず、

死者のいる冥界を支配する神様

ハデス

この神様は、ギリシャ神話の中では一体どんな神様なのか?

というところから、簡単にご紹介しましょう!

この神様の両親は、

クロノスとレイア

と言われています。

そう、ギリシャ神話の最高神・ゼウスと同じ!

つまり、ゼウスと兄弟なんですね!

兄弟はそのほかに、ポセイドンデメテルヘスティアヘラという、6人兄妹でした。

ゼウスが、父親のクロノスを倒して、世界の支配権を握った時、この兄妹たちはゼウスを助けて、一緒に世界を手に入れています。

そうして世界の支配権を持った

ゼウスとポセイドンとハデス

という3兄弟は、自分たちの支配領域を、くじ引きで分けた、とのことです。

くじ引きの結果

  • ゼウス = 天空
  • ポセイドン = 海
  • ハデス = 死者の国(冥界)

というふうに、世界を三つに分けて支配することになりました。

こうして、ハデスは冥界を支配する王となったのです。

ですから、もともと死者の神ではなくて、たまたま支配する領域が死者の国(冥界)だった、ってことですね!

*ゼウスの支配と、領域の3分割については、こちらの記事も合わせてどうぞ!

>>ゼウスの支配の始まり

ハデスの名前は?

さて、こうして、

死者の国=冥界の王様

となった神様が

ハデス

というわけなのですが、

この神様、いろんな名前で呼ばれていました。

プルートーン

とも呼ばれていましたが、これは「富める者」という意味で、死者の国は豊かな国とも考えられていたみたいなんですよね。

この理由としては、死者の国っていうのは地下にあると思われていたから、

「大地の下からは食物が芽を出して人間たちを豊かにしてくれる」

って考え方もあったんじゃないかと思いますが、

人間も動物も、生きているものはやがて死んで死者の国に行きますけど、死者の国から戻ってくることはないから、

「死者の国は人口も動物も増える一方で豊かになってる」

って考え方もあったんじゃないかな〜と思うんですが、はっきりしたことは分かりません。

なんでかって言うと、ここ日本でもそうだったんですが、ギリシャでも

基本的に「死」を語るのはタブー

だったので、冥界の王様ハデスの名前を口に出すのも避けられていたようなんです。

だから兄弟のゼウスの名前から、

「地下のゼウス」

なんても呼ばれていました。

ハリー・ポッターの世界みたい?

You know who! みたいな感じ。

「ヴェルデモート」って言っちゃダメだよ!ってそんな感じですね。

だから、絵や彫刻でその姿を描くことも、基本的にはされませんでした。

そういうわけで、兄弟のゼウスやポセイドンは山ほどその姿を描いてもらったのに、ハデスの姿を描いたものは全く無いんですよね。

それはちょっとかわいそう・・・と思う方もいるかもしれませんが、

でもそれくらい、「死」っていうのは、恐れられて、できれば避けておきたいものだったんですよね。

ハデスの奥さんはペルセポネ!

さて、そんな、ある意味怖がられていた

冥界の神様ハデス

ですが、神話の中では結婚しており奥さんも出てきます。

それが、

両親の同じ兄妹の一人・デメテルの娘

ペルセポネ

ん?

ええ〜、姪っ子を奥さんにしてたの?

ヘンタイ!

と、一部の方達からは反発が出そうですが、

ギリシャ神話の中ではそういうことがよく起こります。

別に古代ギリシャで近親婚が常態化してた、ってわけじゃなくて、あくまでも神話上の話みたいですよ!

ギリシャ神話の中では、二人の馴れ初めは・・・

ハデスがペルセポネを見初めてしまって、

彼女のお父さんで、しかも自分の兄弟のゼウスに、

「娘をくれ」

って頼んだらしいんですね。

そうしたら、ゼウスは自分の兄弟の頼みだし、「いいよ」とすんなりオッケー。

そこでハデスは、じゃあってことで、ある日ペルセポネが友達と花摘みに出かけたところを、無理やり連れ去って冥界で自分の嫁にしてしまいました、とさ。

え? なにこれ、誘拐の話なの?

と、現代の日本の方達からはこれも反発が予想されますが、

まあ実際の古代ギリシャでもこんな強引な結婚は無かったので、あくまでも神話のお話。

一説には、ギリシャでもうんと古代では、花婿が強引に花嫁を連れ去っていく「略奪婚」っていう習慣があったんじゃないか?

とも言われていますが、確たる証拠はないみたいです。

ちなみに、古代では色んな地域でこの習慣があったってことなんですけどね。

よかった、現代ではこの習慣なくなって。

さて、話をハデスとペルセポネに戻すと、

こうしてハデスが結構強引にペルセポネを嫁にしてしまったわけですが、

実はこれは、お母さんのデメテルは聞いてなかったことだったんだそうです。

お父さんのゼウスはオッケー出してたんだけど、お母さんに言ってなかったという。

だから、デメテルは、突然娘がいなくなった!!

って悲しんで飲食も忘れて探し回ったそうなんですよ。

そりゃー、一人娘が突然いなくなったら、みんなそうなりますよ。

そうして探していたら、天から全部見ていた太陽神ヘリオスが、何が起こったのかを全部教えてくれたので・・・

デメテル、夫のゼウスにキレる!!

ええ、そりゃーもう、私聞いてないわよ! ってカンカンになったらしいんですね。

そりゃ当たり前!

そこで、娘を返してくれないと、もう農耕の女神の仕事はしませんよ!! と職務放棄!!

これは、なかなか効果のあった逆襲だったんですね。

なんでかっていうと、デメテルに職務放棄されると、農耕ができなくなって、人間も動物も食べるものがなくなって飢え死にしますから。

それでしょうがなくて、ゼウスは、兄弟のハデスに

「やっぱり娘を返してくれよ、奥さんキレてるから。」

ってことで、お願いしたんですね。

ハデスは、ゼウスにそう頼まれちゃ断れないから、しぶしぶ承知。

でも実は!!

ペルセポネをあきらめたくないハデスは、こっそりと、冥界の食べ物であるざくろをペルセポネに食べさせてしまったんです!!

これは、色んな所の神話でそうなってるみたいなんですけど、ギリシャ神話でも、

死者の国の食べ物を食べてしまうと、絶対に生きて戻ることはない

って考えられていたみたいなんです。

だから、ハデスはこっそり食べさせちゃって、自分の手元に置いておこうと考えたわけです!

ハデス、なかなかの策士! 

ま、それでも最終的には、ゼウスが取り持って、

ペルセポネの一年を三つに分けて、

3分の2はお母さんのデメテルのところ

3分の1は冥界のハデスのところ

で一緒に過ごすように、と決めたんだそうですよ!

ま、そんなわけで、冥界の王ハデスの、

とてもあきらめの悪い、姑息な愛のお話なんですが、

そういうわけで、

ハデスの奥さんはペルセポネ

ということになったわけです!

*このお話の詳しいところは、こちらの記事も合わせてどうぞ!

>>デメテルは母なる女神

冥界の王ハデスって何してるの?その役割は??

さて、そんな

ギリシャ神話の冥界の王ハデス

ですが、

じゃあ冥界で一体どんな役割をしてるの?

ってところが気になりますよね。

ハデスの役割は

「冥界の王」

これに尽きます。

奥さんのペルセポネと一緒に、冥界を支配する王さまと言われています。

ハデスが住んでる場所である

「ハデスの館」

というのは、冥界そのもの。

つまり、ハデスとは、死者の国=冥界そのものなんです。

だから、神様の名前じゃなくて、一般名詞で「冥界」も「ハデス」と呼ばれていました。

要するに、冥界を支配するのがハデスのお仕事。

ハデスというのが冥界そのものなんです。

ですから、「死者の神」と聞くと、多くの方たちは

「死神」

っていう、おっきな鎌を持って、人間を殺しにくる神様を想像すると思うんですけど・・・

*こんなカンジ?

ハデスはそんなことしませんよ〜

黙って座ってたって、人間も、生き物すべて、やがてみんな自分の国にやってきます。

ハデスは、その世界を、支配するだけ。

一応、ギリシャ神話でも

「死後の裁判」

みたいなものも想像されていたみたいです。

生きていた時にちゃんとやってたかどうか、死んだ後に裁かれるという、あれ。

でも、この裁判をするのは、ハデスではないと考えられていたんですよ。

ミノス王、ラダマンテュス、アイアコスという3人が、

「地獄の裁判官」

として、一緒に死者の裁判をしていると考えられていたそうです。

ですので、本当にハデスの役割は、「死者の国の王さま」に尽きるんですね!

ギリシャ神話の「死者の国」ってどんなだったの?

さて、そんな

冥界の王ハデス

が支配しているという、ギリシア神話の中の「死者の国」=冥界ってどんなところ?

って疑問に思う方も多いと思うんですが、

実はこれが込み入っていて、時代によっても伝承は様々で、ギリシャでは一体どんな「死者の国」をイメージしていたのか、はっきりしないんですよね。

以下に一応主な説をあげてご紹介してみますが、それぞれ全く違っているようにも見えるのでなかなか全体像は掴みにくいです。

「死者の国」は西にあるよ説

この場合ではですね、

海の彼方の太陽の沈む方向(西)にある

という考え方ですね。

古代のギリシャの世界観だと、まだ地球は球形で考えられていなくって、

平らな地面の周りに、オケアノス(大洋)=海がぐるっと周りを取り囲んでる、って考えていたんですね。

そのオケアノス(大洋)の彼方の、太陽の沈む方向が、死者の国のあるところだと。

やっぱり「死」のイメージは東じゃなくて、西なんですね〜!

「死者の国」は大地の下にあるよ説

そしてこっちの考え方だと、

「死者の国」は大地の下(地下)

ってことですね。

これは、日本の神話とも近い考え方だと思います!

地上のどこかにある深い洞窟が入口で、その洞窟を下って行くと死者の国に行く、と。

これは、渋谷みたいな「ダンジョン駅」を使い慣れてる私たちには「えっ」って思う考え方ですが、

まあ古代はそれほど地下を掘削しなかったので、地下には死者の国があると思ってたんですね。

そして、その「死者の国」の入口は

地獄の番犬ケルベロス

が守っている、と考えられていました!

この犬は、死者が「死の国」に入るときには通してあげますが、もう一度外に出ることは許さない。

ですので、死んだ人たちは、2度と「死の国」から戻ってこれないんです!

*「ケルベロス」について詳しくは、こちらの記事もあわせてご参考にどうぞ!

>>犬にまつわるギリシャ神話ベスト3!

そして、死んだ後に冥界に入るためには、

きちんと埋葬してもらい、

ステュクス河

あるいは

アケロン河

という川を渡らなければならない、と考えられていました!

この時に、この川の渡し船の漕ぎ手である

カロン

に運賃を渡して乗せてもらうそうです。

だから、死者にはカロンに渡す運賃を持たせて埋葬してあげたんですよ。

これってそのまんま、日本の「三途の川」と同じで、面白いですね!!

「エーリュシオンの野」もあるよ!

そしてそのほかに、

生きている間に特別な功績をあげたりして、神々に特別に許された者は、

エーリュシオンの野

っていう、特別な場所に住むことになる、と考えられていました。

これがどこにあったのか? っていうことについては、色んな伝承が混在しているので、はっきりとはわかりません。

ハデスと同じく地下だとか、オケアノスのはるか西だともいわれています。

一体どこだったんだろ?

「浄福者の島(幸福の島)」もあるよ!

そしてさらには、これもエーリュシオンの野と同じく、神様に特別に許されたものたちが

「浄福者の島」(幸福の島)

ってところに住んでいた、という伝承もあるんですよ!

これも場所はよくわかっていません。

こうしてずらっと並べてみると、ギリシャ神話の死者の国って一体どこ?

自分はどこに行くの?

って、古代ギリシャの人たちもよく分かってなかったんじゃない? 

ってくらい、色々伝承があるんですよね!

まあ、自分がどこに行くかは、死んでからのお楽しみかな?!!

死者の国に行ってみた!「冥界下り」の神話

さて、そんな冥界の王ハデスが支配する

「死者の国」

一度行ったら2度と戻ってこれないのが特徴です。

そりゃ、そうです。そうじゃないと、地上がゾンビであふれちゃう!!

だから、ギリシャ神話でも、基本的には「死者の国」(冥界)に行ったら戻ってこれないんですが、

不思議なことに、死者の国に行って帰ってきた、という

「冥界下りの神話」

っていうのも、残されているんです!!

有名なところでは、

先ほどご紹介したハデスの妻

ペルセポネ

彼女だって、ずーっと冥界にいるわけじゃなくて、一年のうち3分の2は出てこれるんですよね。

さらには、

英雄ヘラクレス

英雄オデュッセウス

そして、有名なのは、

竪琴の名手オルペウス

彼らはみんな、一度は冥界に行って、そして死なずに戻ってきた、って神話が残っています。

不思議ですね!

ギリシャでも古代では、死んだ後によみがえった人でもいたのかしら・・・???

ハデスからローマのプルートーへ

さて、このギリシャ神話の冥界の神・ハデスですが、

他のギリシャ神話の神々と同じく、

のちにローマ神話に受け入れられて、ローマの冥界の神として

「プルートー」

あるいは

「ディース・パテル」

と呼ばれて、引き継がれました。

ギリシャ神話もそのまま引き継いで、奥さんは

「プロセルピナ」(ペルセポネ)

そして、このまま、現在の英語にも名前は受け継がれて、

「プルートー」(Pluto)

という名前で呼ばれています。

ハデスは「冥王星」の名前に!

そして、この

「プルートー」(Pluto)

という名前は、

1930年に発見された、太陽系の9番目の星

「冥王星」

の名前としてつけられました!

探査機ニュー・ホライズンズが撮影したカラー合成(2015年)

ちなみに、この「冥王星」という名前を日本語でつけたのは、

天文学者の野尻抱影さん

だそうです。

わかりやすい星の伝説の本をたくさん残してくれましたので、よかったらぜひ一度読んでみてくださいね!

ディズニーのキャラ「プルート」の名前も!

さて、それでついでに豆知識

ディズニーの人気キャラである

プルート

今も世界の子供達に愛されるキャラクターですが

なぜこの名前がつけられたかというと、

プルートというキャラクターが生まれたのが 1930年 のことですが、

この年に「冥王星」が発見されたなんだそうですよ!!

まさか冥王星とプルートが同じ年とは!

今度からディズニーランドに行ってプルートを見たら、このことを思い出してあげてくださいね!!

意外と身近な冥界の王ハデス!

というわけで

ギリシャ神話に登場する神様の中で、

死者のいる冥界を支配する神様

ハデス

について、簡単にご紹介しました!

死の神様、と聞くとこわーいイメージばかりを想像しそうですが、

太陽系の星からディズニーのキャラクターまで、

意外なところで日本の私たちにも身近な神様でしたよね!

これからは、ギリシャ神話の冥界の王にも、あったかい目を向けてあげてくださいね、

死神みたいに、鎌持って向こうから迎えに来ることはありませんからご安心を!

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