テレビ「世界遺産」エフェソス遺跡の回面白かったよ!
どうも〜、イレーネです。
2018年1月14日(日曜)夕方6:00〜6:30に放送された
『世界遺産』
「エーゲ海!ナゾの千年都市 ~ エフェソス(トルコ)」
見ていただけましたか〜?
高画質の撮影で、遺跡の映像が美しかったですね〜
自分もまた、エフェソスに行きたくなりましたよ!

By: David Morgan
Contents
エフェソスの猫だけじゃなくてよかったよ!
放送を楽しみにしていた
TBS系列の長寿テレビ番組
『世界遺産』
「エーゲ海!ナゾの千年都市 ~ エフェソス(トルコ)」
意外にも、エフェソスの紹介は初めてなんですねえ〜
長くやっている番組だけど、まだまだ紹介していないところも多いのかな?
そんなわけで、がっちり録画もした上で、テレビ放送を楽しんだのですが・・・
最初はなんと、
「エフェソスの猫」!!
お〜い、エフェソスまで行って、猫を撮って帰ってきたのか〜い??
まさか、それだけじゃないよね?30分番組・・・
と不安に襲われたのも一瞬のこと。
後は、たっぷりと遺跡の紹介をしてくれたので、よかった〜
まあ、猫好きな視聴者も多いでしょうから、ツカミはバッチリ?!
でも、猫につられて番組を見始めた人にとっては、
そのあと全然出てこなくなっちゃったから、期待はずれだったかもよ?!
*番組で紹介されていた本『エフェソスの猫(Cats of Ephesos)』はこちらですよ!

Seo_dae-il / Pixabay
アルテミス神殿にも行ってくれました!
そして、番組は、
「古代世界七不思議」の一つだった
アルテミス神殿にも行ってくれました!
この遺跡にはほとんど何も残ってないから、絵面的に面白くないのでカットされるかと思って心配してましたわ!
ちゃんと遺跡が残っていれば、壮大な神殿だったはずなんですけどね〜・・・
でもこの番組で、その壮大さも紹介しててくれたので嬉しかったな!
でもくれぐれも、この番組を見てアルテミス神殿の遺跡に行って、
「期待はずれだった」ってがっかりしないでね!!
しつこいようですけど、今は何にもない!!
番組で紹介された、かの有名なアルテミス像も、今は博物館に入ってますからね〜

By: Milena
この遺跡は、他の場所よりちょっと低い、湿地にあるので、
自分が行った時なんて、雨のあとで水浸しだったんですよ〜
往年の姿を想像するのも難しかったよ! とほほ・・・
*「世界7不思議」など詳しくは、こちらの過去記事をどうぞ!
出ました!アルテミス像!
そして、エフェソスで有名なのは、
一風変わった
胸(?)のいっぱいあるアルテミス像!!
番組でも、ちゃーんと紹介してくれました!
ちょっと気持ち悪いと思った方も多いんじゃないかな〜??
(自分は申し訳ないけど、初めて見たときに、「なんだこれ、キモ!!」と思いましたよ。正直に言うと!)

By: Ken Mayer
この、胸に見えるものが実は、装飾品なのかも?!
って話もちゃんと紹介してくれていましたよ。
でも、これらのアルテミス像は、実はローマ期のものばっかりなので、
ギリシャ時代にも同じだったのかどうかも、よく分からないんですけどね!
番組で紹介されていた、古代ギリシャ時代の古いアルテミス像では、たくさんの胸らしきものはなかったしね。
では、あのたくさんの胸みたいなのは、いつから?どこから?
とにかく、謎の多い、不思議なアルテミス像です。
一度見たら、忘れられないよね!!
都市遺跡エフェソス
そして、都市の遺跡がすっかり残っている、と言う意味でも貴重な
古代都市エフェソスの街中の紹介も!
図書館の紹介は、もちろん!!ですよね、
エフェソス遺跡のハイライトですもん!

By: David Morgan
その他には、もちろん、古代劇場も!

By: Son of Groucho
この劇場も保存状態が良いので、夏には野外劇やコンサートに利用されているのだそうです。
この劇場は本当に大きくて立派で、外から見ただけでも
「エフェソスまできたなあ〜!」と感動ひとしきりでした!
とっても素敵な劇場なので、ぜひ一度訪れてほしいなあ〜
で、今残っている遺跡はローマ期のものなので、
当然ながら、ローマ人の大発明、
水洗トイレもね!

By: Martin Hendrikx
実はエフェソス遺跡でもトイレは人気スポットで、みんな座って写真を撮りたがる(笑)
遺跡に行ったら、きっと、あなたもやりたくなるよ!?
でも、番組に注文をつけるとしたら、もっと街中の遺跡も紹介してくれれば良かったのにな!
あの〜、猫とかどうでもいいんで(笑)
小さな商店の跡とか、住宅跡とか、古代の人たちの生活を生々しく伝えるものが、ここにはいっぱいなんですよ!
なんて言っても、街がすっぽりですからね!
だから当然、売春宿の遺跡なんかも・・・あったりする(笑)
ま、そこらへんのローマ人の生々しい暮らしは、
ヤマザキマリさんととり・みきさんのマンガ
『プリニウス』
を読んでいただけると、もっと生き生きと想像することができると思いますけどね!
これを読んでからエフェソスの遺跡をみると、また楽しいと思いますよ〜
第6巻も面白かった! 次の7巻が早く読みたいです!
クレオパトラの話も面白かったね!
さて、番組はその後、
クレオパトラの妹の話題へ!
エフェソスは古代世界でも有数の都市でしたから、
実はいろんな有名人が滞在していたりするんですよね!
かの有名な、絶世の美女クレオパトラも滞在したことがあるというのです。

絶世の美女だったと言われる「クレオパトラ7世」
そして、番組で紹介されていたように、クレオパトラの妹の墓と言われるものもあります!
でもね〜・・・
これが本当に妹の墓かどうかは、分からないですよ?!
あくまでも推定ですからね〜。
でっかい看板でも立ててお墓を作ってくれてるならまだしも、
数千年も経過しちゃうと、墓なんてどこにあったんだか、誰の墓なんだか、分かんなくなっちゃって、当然です!
しかも、この遺骨の実物は紛失しちゃってるから、ちゃんとした調査がそれ以上できない・・・
今なら調査技術も進んでるから、遺骨の年代測定とか、いろんなことができたはずなんだけどね・・・
これは致し方ない。
だから、あくまでも「推定」で「一説には」そうだってことなので、
「本当に事実としてそうだった」とは思わないでくださいね〜
クレオパトラがヨーロッパ系のギリシャと、アフリカ系の血を引いている、って言うのは面白いし、
もしそうだとしても不思議でもないですが・・・
まだこれは確定ではないので、番組を見て「そうなんだ!」と思っちゃうと、あとでがっかりすることになるかも?!
一応、定説では、クレオパトラはアレクサンドロス大王の帝国が別れたプトレマイオス王朝の女王ですので、ギリシャ系だ、ってことにはなってるんですけどね。
それでも、アフリカの地に王朝が根を下ろして、何百年も経ってからクレオパトラ7世は誕生してるんですから、
現地のアフリカ系の血を引いていてもおかしくはないですから!
ヨーロッパ系とアフリカ系の血を引く、エキゾチックな風貌の美しい女性だった、って、想像すると楽しいですよね〜!!
(でも、やっぱりクレオパトラというと、この人になっちゃったのは、映画の力ですね!

By: Stephen Luff
・・・エリザベス・テーラー!)
エフェソスの衰退の原因は・・・
さて、番組では、港湾都市として栄えたエフェソスが、
やがて忘れ去られて衰退するところまでやったのですが・・・
エフェソスはローマ期に入っても栄えていたのですよ。
これは番組の通りです。
でもね・・・
「イスタンブールが建設されて、中心がそちらに移った」
ってナレーションにはびっくり!
こ、これは間違いですよ〜
「イスタンブール」って言うのは、オスマン=トルコがこの地に来てからの名前です!
この現在「イスタンブール」と呼ばれている街は、
もともとは、古代ギリシャ人が築いた植民都市「ビュザンティオン」です。
ここに、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世が交易の要衝としてのこの街に目をつけて、
自分の都として新たに整備したのですね。330年のことです。
ですので、この都市は「コンスタンティノポリス」(「コンスタンティヌスの都市」という意味)と呼ばれるようになりました。
いわゆる「コンスタンティノープル」ですね!
で、こちらが東ローマ帝国の首都として発展していったわけです。
その後、この「コンスタンティノープル」を、東から攻めてきた「オスマン=トルコ帝国」が陥落させて、
東ローマ帝国は終焉を迎えました。1453年のことでした。
これ以降、この「コンスタンティノープル」は、「オスマン=トルコ帝国」の都市となり、
「イスタンブール」と呼ばれることになったのです。
東ローマ帝国時代の、キリスト教の正教の総本山「ハギア=ソフィア教会」(ギリシャ語で「聖なる英知教会」)は、
イスラム教のモスクに改修されてしまいました。
周りにはイスラム建築のミナレット(尖塔)が建てられ、内部のイコン画は塗りつぶされていましたが、
現在は博物館となり、イコン画も修復されて見ることができるようになっています。

niekverlaan / Pixabay

Engin_Akyurt / Pixabay
と、いうことで、わかっていただけたかと思うのですが、
「コンスタンティノープル」が「イスタンブール」と呼ばれるようになったのは、
オスマン=トルコ帝国以降ですので、この時からエフェソスが衰退したわけじゃないですよ〜
エフェソスが衰退した理由としては、
「ビュザンティオン」が「コンスタンティノープル」となって、繁栄の中心がそちらに移ってしまったことと、
南からのアラブ勢力の侵攻などもあって、7〜8世紀には衰退してしまったそうですよ。
それと、海岸線が移動して、港湾都市としての機能も果たせなくなってしまったのも大きいです。
古代都市によくあるんですが、古代には海沿いで地の利がいいから都市を建設したのに、
だんだん上流からの堆積物が溜まって海岸が埋め立てられてしまって、海岸線が遠くに移動してしまうんですよ!
これは、都市生活のために、上流の木を切り倒してしまうことなんかも関係あるらしいですよ!
そんなわけで、港湾都市として栄えたエフェソスは、その機能を失って衰退してしまった、ということですね。
古代の交易は海運がメインですから、それが無くなると、人も集まってこなくなるわけです。
それに比べると、「コンスタンティノープル」は海峡沿いの街ですから、ずっと海運に適して便利だったのですね!
エフェソス遺跡は「トルコの遺跡」なのか??
というわけで、
「コンスタンティノープル」と「イスタンブール」の違いについて、分かっていただけたかと思います!
実はここら辺、とっても複雑で、ギリシャ人の心に今も、深い傷を残しているところなんですよね〜
なぜかというと・・・
今でもギリシャ人は「イスタンブール」という呼称は認めていない!
今でも「コンスタンティノポリス」(「コンスタンティノープル」のギリシャ語での呼び方)と呼んでいるんです!
なんでかって?!
それは、今説明した
1453年のオスマン=トルコ帝国による「コンスタンティノープル陥落」を認めていない!!
ってことなのです。
いやいや、教科書にも出ている歴史的事実でしょ?
ってツッコミをされるのは百も承知なのですが、
それでも、ギリシャ人としては今でも許しがたい、納得していない敗北なんですよね〜
オスマン=トルコ帝国のトルコ人は、もともとは中央アジアにいた人たちで、
強力な軍事力で西に侵攻を続け、ついには東ローマ帝国の首都も陥落させてしまったのですが、
ギリシャ人たちにすれば、ず〜〜〜っと古代からこの地に住んで、
「コンスタンティノポリス」だって「エフェソス」だって、全部自分たちがもともと作った都市なんだから、
自分たちギリシャ人のものだ!!
っていう思いが強いんですよね。
確かに、現在「イスタンブール」に旅行しても、古代ギリシャ〜ローマ期にかけての街が残っていて、
この街の歴史を感じさせます・・・

HaydarTamerOzturk / Pixabay
でも・・・
1453年に軍事力に屈してしまって、しかもそれ以降19世紀に独立を果たすまで、
ずっとオスマン=トルコ帝国の支配下に置かれてしまったので、面白いはずはありません!
強力な軍事力を誇るオスマン=トルコ帝国に対抗する独立戦争も、とんでもなく激しい戦いでありました・・・
まさに、血で血を洗う抗争の果てに、ついに独立を手に入れたんですね・・・
しかもこの独立戦争の際、ギリシャとしては本当は、古代から自分たちが住んできた、
エフェソス、コンスタンティノポリスをはじめとする、エーゲ海沿いの諸都市
スミルナ、ミレトス、ハリカルナッソスなどなども、全部奪還して、一緒に独立したかったんですよ。
でも、トルコ軍も、エーゲ海沿いの主要都市は絶対手放さず、ついに撃退されてしまって、
現在の国境線で涙を飲んだという歴史があります。
だから、古代からのギリシャ人の都市は全て、
「エフェス」「イスタンブール」「イズミール」などと名前を変えてしまっているのです。
今の私たちはこちらの地名の方がおなじみになっていますが、数千年の歴史からみたら、新しい名前、って見方もできますよ!
だから・・・ですよ!
この番組『世界遺産』でも、
「エフェソス遺跡(トルコ)」
って国名を入れて紹介していますが、ギリシャ人から見たら、
「これはトルコの遺跡じゃなくて、俺たちギリシャの遺跡だ〜!」
と叫びたくなっちゃうと思います。
ここら辺、とってもデリケートですから、ギリシャの方たちと話すときには、気をつけてあげてくださいね!
*ここら辺の歴史はとっても複雑なので、詳しくは以下の過去記事をご参照くださいね!
また新しい解説も書きたいと思っていま〜す。
楽しかった番組!また遺跡に行きたいな!
というわけで、いろいろツッコミも入れながらも、
楽しく番組を楽しんじゃいました!
2018年1月14日(日曜)夕方6:00〜6:30に放送された
『世界遺産』
「エーゲ海!ナゾの千年都市 ~ エフェソス(トルコ)」
再放送はないのかな?
そして、この番組をみると、絶対にエフェソスの遺跡に行きたくなりますよ!
とにかく、エフェソス遺跡のでっかさは、実際に現地に行ってみないと、分かりませんよ〜
だって、「都市遺跡」つまり、街が丸ごとですから!
遺跡のメインストリートを歩いていくと、古代の人たちの生活が蘇ってくるようですよ!
古代にタイムトリップしたみたい!
絶対オススメです!
機会があったら、ぜひ行ってみてくださいね〜!!
*この記事に興味を持った方は、こちらもどうぞ!