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マンガ『プリニウス』第6巻アフリカ上陸!!見逃せないポイント7つ!

2017/10/19

ヤーサス! イレーネです。

楽しみにして新刊を待っていたマンガ

『プリニウス』

第6巻がついに発売!!

さっそく読んでみました!!

今回は、プリニウス一行はついにアフリカに上陸!

天才にして変人のプリニウス総督とその仲間たちは、無事にアフリカを旅できるのかな?

内容盛りだくさんの第6巻!

その見逃せないポイントを7つにしぼって解説するよ!

『プリニウス』第6巻ついに発売!!

いや〜、待ってました、待ってました!

「テルマエ・ロマエ」で一世を風靡したヤマザキマリさんと、とり・みきさん共作のマンガ

『プリニウス』

第6巻がついに発売です!!

このマンガは、

シチリア島出身のグラエキア人(ギリシャ人)

主人公のエウクレスが、

博物学者にして元シチリア属州総督代行だったプリニウスの書記となり、

プリニウスのお供をして各地を回りながら、その知識を書き留めていく、というストーリーです。

プリニウスは、そのフルネームはガイウス・プリニウス・セクンドゥス。

古代ローマに実在した博物学者です。

甥っ子のプリニウスと区別して「大プリニウス」とも呼ばれています。

ローマの属州の総督を歴任しながら、博物学者として研究を重ね

『博物誌』 という大著をまとめた古代ローマの知の巨人!

でも、このマンガでは、そんなプリニウスをエラ〜イ学者の先生、として描くんじゃなくて、

頭はいいけどちょっとズレてる変人学者として、ユーモラスで愛すべきキャラクターに描いています!

すご〜く知識は豊富だけど、ちょっと世間から浮いちゃってて、おかしいんですよね。

そして、そんな変人プリニウスが、総督として各地で出会う人や、変なモノ、

さらには首都ローマではネロ帝を中心に渦巻く陰謀を描く、波乱万丈の歴史マンガが

この『プリニウス』なのです!!

あ〜、このマンガを書いてくれて、ヤマザキマリさん、とり・みきさん、どうもありがとう!!

と感謝せずにはいられない、ギリシャ・ローマ古代世界好きにはたまらないマンガなのです!

*マンガ「プリニウス」について詳しくは、こちらの過去記事もどうぞ!

マンガ「プリニウス」が面白すぎる!

見逃せないポイント1:いよいよ舞台はアフリカ大陸へ!

さて、その変人プリニウス御一行様、

グラエキア人の書記官エウクレスに加えて、

ローマ軍人上がりのプリニウスの側近・フェリクスさん、

そして、5巻から登場した謎の男の子と、お供の動物たち。

彼らは、イタリア半島南部のネアポリス(現在のナポリ)から船に乗り、

この第6巻ではついに、アフリカ大陸へ到着します!

*「プリニウス」第5巻について詳しくは、こちらの過去記事をご覧ください!

マンガ「プリニウス」第5巻も面白い!古代ローマの世界に飛び立とう!

今回プリニウス御一行が到着したのは、

フェニキア人の建設した街カルタゴです!

カルタゴは現在はチュニジアの首都チュニスの近郊にその遺跡が残っています。

こうして地図で見ると、アフリカとはいえ、シチリア島の目と鼻の先!

古代の人たちにとっても、地中海を横断するのはそれほど難しいことではなくて、

人、モノの交流はずっと古代から盛んな地域で、

もちろん、激しい戦争も戦ったことがあったのです!

見逃せないポイント2:フェニキア人の町・カルタゴ!

さて、今回プリニウス御一行がやってきたカルタゴ、

私たち日本人にはあまり馴染みがないですが、

古代ローマ帝国にとっては浅からぬ因縁のあった場所!

ローマとの激しい抗争によって、歴史から葬り去られてしまったフェニキア人の主要都市がカルタゴだったのです!

フェニキア人は、古代の地中海地域で、圧倒的な海軍力で勢力を伸ばしていた海の民族。

文化的にはギリシャ文明の繁栄よりも早く発展し、

その「フェニキア文字」に習って古代ギリシャ人が「ギリシャ文字」を開発したのは、世界史の授業で習ったとおりです。

もともとはシリアの一角で都市を建設して発展し、

各地に植民都市を建設して海上交易で栄えました。

この植民都市の一つがカルタゴ。

各地に植民都市を作って海上交易で栄える、というのは、古代ギリシャ世界も同じやり方で繁栄を手にしたので、

広い意味では同じ地中海の海洋民族。ざっくりいえば同業他社みたいなもんでした。

*フェニキア人の交易路(by Yom)

そういうわけで、ギリシャ人とフェニキア人はとっても関係が深く、

ギリシャ神話にもフェニキア人が何人も登場するんですよ!

有名なところでは、のちにテーバイ市を建設したカドモスは、フェニキア人でギリシャに移民したことになっています。

その妹のエウローペーも、ゼウスにさらわれてシリアからギリシャのクレタ島へ渡ってきて、「ヨーロッパ」の語源になった、というお話です。

(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『エウロパの誘拐』1560-1562年)

見逃せないポイント3:カルタゴの滅亡

さて、そんなフェニキア人の建設した、北アフリカに実在した都市カルタゴ!

しかし、その繁栄は長くは続きませんでした。

圧倒的な海軍力を背景に、交易で栄えたカルタゴでしたが、

ローマ帝国が勢力を伸ばしてくるにつれて、衝突するようになります。

それがかの有名な「ポエニ戦争」!

第1次ポエニ戦争(紀元前264年 - 紀元前241年)で、初めてこの地中海の両雄が激突!

カルタゴ側は、名将ハミルカル・バルカ将軍の奮闘も及ばず、まずローマがその軍事力で圧倒し、カルタゴを征服しました。

しかし、ここで終わるカルタゴではなかった!

ハミルカル・バルカ将軍の息子が、かの有名なハンニバル・バルカ!!

このアレクサンドロス大王と並び称される古代の大戦術家ハンニバルを擁したカルタゴは、ローマへの反撃ののろしをあげます!

ハンニバルは、紀元前218年、古代の人々をあっと言わせた作戦

かの有名な「アルプス越え」を決行し、南からではなくて北側からローマ帝国本土へ侵攻!!


(ハンニバルのアルプス越え)

この、それまで誰も思いつかなかった大胆な作戦によって、ローマ帝国は完全に隙をつかれた格好に。

ハンニバルはあっという間にローマ帝国を混乱におとしいれ、強大な陸軍も次々撃破!

首都ローマまであと一歩というところまで追い詰めるという、歴史に名を残す快進撃を見せました!!

しかし、ローマまで遠征してきているカルタゴ軍の戦況は徐々に悪化していき、

ローマの名将プブリウス・コルネリウス・スキピオ(後のスキピオ・アフリカヌス)の台頭にも苦しめられ、

さすがのハンニバルも「ザマの戦い」で大敗北を喫することとなってしまい、ついにはローマに降伏することとなりました。

これが第二次ポエニ戦争(紀元前218年 - 紀元前202年)。

カルタゴの大天才・ハンニバルも、ローマ帝国を陥落させるまではできなかったのですね〜。

そして、その後、第三次ポエニ戦争 (紀元前149年 - 紀元前146年)が勃発。

ハンニバルのような卓越した指導者も既にいなかったカルタゴは、ローマ帝国によって完全に破壊され、

地中海で一大勢力を誇ったフェニキア人のカルタゴは、歴史から消え去ることとなったのです。

もし、カルタゴに、ハンニバルほどの軍事の天才が出なければ、ローマ帝国も完全破壊まではしなかったでしょうが、

アルプス越えでローマを震撼させたハンニバルがまた出てこないように、

カルタゴは徹底的に虐殺・破壊されて、消えていってしまったのです。

なんだか、悲しい歴史ですよね!

そして、カルタゴが消え去ったあと、この地はローマ属州となり、ローマ帝国の完全支配下に置かれます。

マンガ『プリニウス』で、プリニウス御一行がやってきたのは、

こうしてフェニキアのカルタゴが消え去り、ローマ属州となったカルタゴだったのです!

マンガの中で、アフリカ属州総督となったウェスパシアヌスが、消え去ったカルタゴの文明を惜しむシーンがありますが、

この背景は、こうしたことだったんですね〜。

ちなみに、ハンニバルのポエニ戦争の頃を舞台にしたマンガは

岩明均さんの『ヘウレーカ』

*マンガ『ヘウレーカ』について詳しくは、こちらの過去記事をご覧ください

マンガ「ヘウレーカ」天才数学者アルキメデスが登場!

そして、カガノミハチさんの

『アド・アストラ ―スキピオとハンニバル― 』

がありますよ!

さすが、古代の天才軍人ハンニバルは、マンガのネタとしても最高ですよね〜

マンガだと難しく感じる歴史モノも読みやすいので、オススメですよ!!

見逃せないポイント4:アフリカ属州総督ウェスパシアヌス殿!!

そして、アフリカのカルタゴへとやってきたプリニウス御一行は、

畑でキャベツ栽培にいそしむおじさん・ウェスパシアヌス殿と出会います!

これこそが誰であろう、当時のアフリカ属州総督となったティトゥス・フラウィウス・ウェスパシアヌス!!

このウェスパシアヌス殿とプリニウスは、

変人同士気があうのか、ツーカーの仲のよう。

カルタゴにやってきたプリニウスを歓迎してくれます。

が、ですが、この変なおじさんウェスパシアヌス殿、実はとんでもない大物なのです!

マンガでは現在、皇帝ネロの治世ですが、

ネロはその後皇帝から退位し自殺。その後は皇帝の乱立する内乱期に入りますが、

その後に皇帝の地位に就く人こそ、このウェスパシアヌス殿!!

なかなかの切れ者でもあり、ローマの内乱を終わらせ「ウェスパシアヌスによる平和」を実現させた人物なのです!!


(ウェスパシアヌス像: by Shakko)

こうしてみると、ヤマザキマリさん、ちゃんと彫像に似せてマンガのキャラも書いてるな〜・・・

そして、このウェスパシアヌス殿は本当に史実でもプリニウスを信頼しており、

皇帝に即位してからは、プリニウスを側近として要職につけています。

この仕事の最中に、プリニウスは後世に残る『博物誌』を書き上げたと言われていますよ。

学者としてのプリニウスの能力を、ウェスパシアヌス帝は高く評価していたんでしょうね!

そんなわけで、この第6巻で登場してきたウェスパシアヌス殿は、今後のプリニウスの運命の鍵を握る、超重要人物なわけですので、要注目ですよ!!

見逃せないポイント5:プリニウス御一行はシリアへ?

さて、この6巻の後、プリニウス御一行の旅はどこへ向かうのか?

それは第6巻の中でプリニウスが予告してくれました。

シリアへ!!

シリアの地中海沿岸には、フェニキア人の建設した

テュロス(現在のスール)、シドン、ビュブロス、ベリュトス(現在のベイルート)

などの反映した都市があり、

プリニウスたちの時代には、ローマ帝国のシリア属州となっていました。

地図で見ても、ギリシャ文化圏のキプロス島は目と鼻の先で、

フェニキア人とギリシャ人の勢力範囲がとっても近かったことがわかりますね!

五巻で登場してきた男の子の出身地がこのシリアのフェニキア人の街・テュロスだということがわかり、

プリニウスは男の子を家族の元へ返すため、そして自分の見聞を広めるため、

次にはシリア属州方面を目指すそうです!

プリニウス一行の旅も、フェニキア人の街まで行くと、また面白そう!

もう歴史から消えてしまったフェニキア人の街!

今はもう、フェニキア語を話す人たちもいなくなってしまった、失われた民族の街です。

ヤマザキマリさんととり・みきさんの想像力なら、きっとマンガでフェニキア人をよみがえらせてくれるんでしょう!

今から楽しみ!!

それにしても、ヤマザキマリさんの絵はいっつもリアリズムというか写実的だけど、

小さい男の子を書くと突然マンガチックになるのね!

これは新たな発見だ!

*こんな感じ

見逃せないポイント6:セネカの運命!

そして、今回で久しぶりに登場した

ローマの哲学者・文筆家・政治家、ルキウス・アンナエウス・セネカ!!

いよいよセネカも危うくなってくるんじゃないかな〜

有名な話ですが、セネカは皇帝ネロの家庭教師だった人物で、

その統治の初期には右腕として皇帝を支えたのですよね〜

でも、だんだん言うことを聞かなくなってきてしまって、

ポッパエアの言いなりになってきたネロはセネカをうとんじるように。

そしてセネカは政界から引退してしまいます。

今の私たちからみれば、ネロがもう少しセネカを大事にしていれば、

あんな最後は迎えることがなかったんじゃない?

と思ってしまうけど、そんなことは当時のネロには分かりませんからね!!

マンガ『プリニウス』の第6巻では、セネカはすでに政界引退。

でも、セネカの周りには、不穏な空気が立ち込めてきます・・・

歴史を知っている私たちは、この後セネカがさらに立場が悪くなり、

最終的にはネロに自殺を迫られて自害してしまうことがわかっているのですが、

これからどんなふうにローマの陰謀が進んでいくのか、ドキドキです!


(ルカ・ジョルダーノ『セネカの最期』(1773年)

ちなみに、セネカはギリシャ悲劇をたくさんラテン語訳して紹介した人で、

ギリシャ悲劇をローマで広めてくれた功労者でもあるんですよね!

天寿を全うするまで生きてくれてたら、もっと多くの作品を残すことができたのかもしれないのにね!

見逃せないポイント7:ローマ大火!

さて、最後になりますが、

第6巻の最後には、ローマで大火事が起きている、という知らせが皇帝ネロのところにもたらされます!

そうです、これこそきっと、歴史上かの有名な

ローマの大火!(64年)

ローマのほとんどを燃やし尽くした大火事で、

これを機にネロの治世も一気に怪しくなってくる事件です!

この時、ローマの建物は木造が多くて、それで火災の被害が激しかったそうですよ。

これって、日本も他人事じゃないんだけど!

そして、この大火の犯人について、ネロ自身ではないかという噂も立ったため、

皇帝ネロはこの事件の犯人を、当時のローマで勢力を伸ばし始めていた新興宗教・キリスト教の信者たちのせいにして、

キリスト教徒たちを処刑してしまったんですね!

このせいで、今でも皇帝ネロは特にキリスト教社会に憎まれているような気がしますけど!

しかし、このマンガ『プリニウス』にも書いてあるように、

当時のキリスト教はまだできたばかりの新興宗教で、

ローマ市民たちにはずいぶんと怪しい目で見られていたようですよ。

今現在の世界的宗教の立場とは全く違っていたんですよね〜

ローマの新興勢力キリスト教が、どんなふうにその勢力を伸ばしていったのか、

そこらへんは映画「アレクサンドリア」を見るとまた複雑な思いがしますけどね!

まあそんなわけで、当時のネロ皇帝としては、

怪しい新興宗教の信者たちくらい、処刑したって問題ないだろう、くらいの気持ちでいたんでしょうが、

歴史ってどう転ぶかわからないな〜

ともあれ、このローマ大火によって、いろんな人の運命が狂わされてしまって、

そう、ネロの師であるセネカもそろそろ・・・なんですが、

このマンガではそこらへんのローマの陰謀の狂った感じをどういうふうに描いていくの?!

と楽しみなところですね!

でも、この第6巻でも、すでに皇帝ネロは相当狂っちゃってて、見ててとっても、不愉快です!!

まあこれだけ精神に異常をきたしちゃってても、誰も助けてくれなかった・・・

っていうのも、ネロの悲劇でもあるんですけど。

権力って、怖いですね!!

見どころ満載の予感の「プリニウス」第7巻!

というわけで、

古代ローマ世界を描いて絶好調のマンガ

『プリニウス』

第6巻の見どころを簡単に解説してみました!!

このまま行くと、第7巻には事件満載で、いよいよ盛り上がってくる予感がすごい!!

ネロは? セネカは? そしてプリニウスたちはどうなる?!

と期待でいっぱいです!

第7巻の刊行予定は、来年の春だそうです。

あ〜、待ちきれないな〜!!

追記:「ローマ大火」は必見!

今も「新潮45」で連載中の「プリニウス」

twitterで情報が流れてきましたが、

ローマ大火の描写が息をのむレベルですごい!!

これは単行本の発売を待たずに欲しくなる〜

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