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終戦の日に平和を思う:古代ギリシャから学べること

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こんばんは、イレーネです。

本日は8月15日

終戦の日です。

先の大戦で犠牲となった多くの方たちのご冥福を祈るとともに、

古代ギリシャの時代から切々と訴えられてきた、

平和を望む市民の声が、現代の世界でも無視されることが多いことに切なくなり、

この終戦の日に振り返ってみたいと思います。

平和を望む市民の声を描いたアリストパネス

みなさん学校の授業で習ったことがあると思いますが、

アリストパネスは、古代ギリシャを代表する喜劇作家。

生まれた年ははっきりとは分かっていませんが、紀元前445年頃と考えられています。

アテナイ市(現在のアテネ市)に生まれ、喜劇作家として活躍しました。

題名が伝わっているものだけで44作品が分かっていますが、

現在の私たちが作品として読むことができるのは、そのうち11編。

それでも、強烈な風刺を効かせたアリストパネスの作風は、十分伝わってくるものです。

亡くなったのはこれも推定ですが、紀元前385年頃。およそ60年の生涯を悲劇の創作に捧げた人生でした。

実はアリストパネスが生きた時代は、彼の故郷アテナイ市は壮絶な戦争に巻き込まれていました。

これも歴史の授業でみなさん習った、「ペロポネソス戦争」

アテナイ市が、ライバルのスパルタ市と、およそ30年にも及ぶ長い間、血で血を洗う死闘を繰り広げた戦争です。

この激しい戦争でギリシャは疲弊し、新興のマケドニア王国に破れるきっかけともなったと言われています。

そのため、アリストパネスの作品では、長引く戦争に怒りを抱く市民たちの、

平和を求める声を反映したような作品が残されています。

8月15日の終戦の日をきっかけに、ぜひ手にとって読んでいただければと思います。

平和を求める市民の声『平和』

まずは、紀元前421年に書かれた

『平和』

この作品にも、作者であるアリストパネス自身の、

長引く戦争への怒りが痛烈に描かれています。

ストーリーのあらすじとしては、

この作品の舞台も同じペロポネソス戦争当時。

いつまでも長引く戦乱に、農民・トリュガイオスは嫌気がさして、

最高神ゼウスに直接、戦争をもう止めてくれるように頼もうと、決意します。

そして、でっかいコガネムシに乗って、神々の住む天へと登っていきます。

でも、最高神ゼウスに直接頼もうにも、ゼウス自身も「戦争」の神が手に負えなくなっていて、

嫌になって引っ越してしまって会えません。

こんなにも戦争が長引いている原因は、「戦争」の神が、

「平和」の女神を大地の下深いところに押し込めてしまったせいだ、

と分かったトリュガイオスは、

平和を求める農民たちと一緒になって、「平和」の女神を囚われの地の下から救い出そうとする

というお話です。

この作品を描いた時、きっとアリストパネス自身も「平和」の女神を求めていたのでしょうね。

最後には平和の女神が戻ってきてくれて、作品はハッピーエンドになるのですが、

アリストパネスの故郷アテナイ市は、戦争が終わった後にもなお、混乱の中から抜け出すことはできず、

最終的には新興国マケドニアの力の前に屈することになりますが、それはまた後の話・・・

*この『平和』は、全集に収録されています。

*アリストパネスの『平和』について、もっと詳しくは以下の過去記事をご参照ください。

ギリシャ喜劇「平和」今こそ読みたい傑作3分で早わかり!

戦争に懲りた女たちの戦い『女の平和』

そして、アリストパネスの平和への思いが描かれている作品としては、

紀元前411年に書かれた『女の平和』があります。

これは、上にご紹介した『平和』が書かれてから10年後の作品。

そうです、10年経っても、アリストパネスの暮らすアテナイ市は、まだ戦争に巻き込まれていたのです。

こんなに長く戦争ばかりだと、誰でも当然、嫌になってくるはずです。

アリストパネスは、その怒りを痛烈な風刺作品で表現しました。

『女の平和』の主人公は、今度は女性となっています。

アテナイ市に住む女性・リュシストラテが本作の主人公。

彼女はペロポネソス戦争の長引く戦乱にほとほと嫌気がさし、

これを早く終わらせるために、

「男たちがまだ戦争を続けたいって言うなら、もうこれ以上男にエッチさせるな」

という、セックス・ストライキを決行するようギリシャ中の女性に対して呼びかけるのです。

リュシストラテと同じく、もう戦争に飽き飽きの女性たちは、

この呼びかけに賛同してアクロポリスに集結!

みんなで男性を拒否!

セックスしたけりゃ、戦争をやめなさい!

と男性たちに迫ります。

この行動に、男たちは、

エッチはしたいけど、戦争もやめられない!

と、おおいに困って、女性たちのストライキをやめさせようとしますが、

もう戦争が嫌になった女性たちは、簡単にはあきらめません!

女性たちの中でも、旦那さんが恋しくなってストから抜け出そうとする者も出たりするのですが、

最終的にはついに、男たちに戦争をやめさせることに成功!!

アテナイとスパルタの間に平和がもたらされる!

というお話。

これもまた奇想天外なストーリー!!

女性たちのセックス・ストライキで戦争をやめさせるとはね!

でも、現代では多くの女性兵士が誕生し、女性の政治家は戦争を主導したりする、

そして戦争はなくなってない・・・

って知ったら、アリストパネス先生はがっかりするだろうな〜

*『女の平和』について詳しくは、以下の過去記事もご参照ください。

ギリシャ喜劇「女の平和」今こそ平和を!3分早わかり解説!

二千年以上経ってもなお、戦争は無くなってない

というわけで本日は、終戦の日にちなみ、

古代ギリシャの喜劇作家アリストパネスの書いた平和に関する作品

『平和』

『女の平和』

をご紹介しました!

アリストパネスにはその他『アカルナイの人々』という作品も合わせて、「平和3部作」とも言いますので、この機会に合わせて読んでみてはいかがでしょう?

しかし切ないのは、アリストパネスが戦争の虚しさを訴えて、

市民の求めるのは「平和」だ、と作品を書いてから、二千年以上の時が流れ・・・

いまだに人類は、戦争ばかり・・・

戦争は辛い、とすぐに忘れてしまうからでしょうか?

この日本でも、つい72年前には恐ろしい戦争に巻き込まれていたなんて、とても信じられません。

本日終戦の日でも、テレビ放送ではなんだかそんなこと忘れたような番組ばかり。

う〜ん、これでいいのだろうか?

少なくとも、二千年以上も前に、古代ギリシャの喜劇作家アリストパネスが訴えていたことを、忘れてはいけないんじゃないかな〜。

と、終戦の日に思いました。

古代ギリシャから私たちが学べることって、まだきっと、たくさんある!

*この記事に興味を持った方は、こちらもどうぞ!

映画『ハクソー・リッジ』戦場ヴァーチャル・リアリティ3つの見るべきポイント

映画「この世界の片隅に」戦争と人々の暮らし:日本と古代ギリシャの場合



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