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ギリシャ美術

古代ギリシャ展見てきました!豪華展示品に大興奮!

現在上野で開催されている

古代ギリシャ展

見てきました!

古代ギリシャ美術の逸品が一堂に会した大展覧会!!

すごい見応えがありました!

上野での展覧会の会期は9月19日まで!!

まだ見ていない人は、上野に急ごう!!

(*この展覧会の情報は、2016年当時のものです。現在はこの展覧会は終了しています。)

想像以上の大展覧会

現在、上野の東京国立博物館で開催されている

古代ギリシャ展

日本でも珍しい古代ギリシャをテーマにした大展覧会で、

古代ギリシャの国宝級の美術品が来る!

ということで、期待に胸を膨らませて会場入りしましたが・・・

いや、展示数も圧倒的で、想像以上の大展覧会でしたよ〜

とにかく、ギリシャの長い歴史を一通りたどっていける構成にもなっているので、歴史の勉強にもぴったり。

各時代からこれだけの代表的な美術品を取り揃える、というのは並大抵のことではないと思います。

主催者側の気合が伝わってきますね!

学校でこれから歴史を習う青少年にも、そしてそんな知識を忘れかけた大人にも、一度足を運んでもらいたいですね!

それでは、以下、展示品のハイライトなどを、簡単にご紹介していきますね!

キクラデス文明から

この展覧会は、まず最初に、

キクラデス文明

からスタートしているのも心憎い。

ギリシャの古代文明というと、日本ではほとんどの人がミノア(クレタ)文明からのスタートと思っていると思いますが、実はそれに先駆けて、エーゲ海の真ん中に位置するキクラデス諸島では、独特の美術を生み出した文明が存在していたんですよね!

ご覧の通り、そのキクラデス文明の美術は、なんとも不可思議!

キクラデス

え、なにこれ?

モアイか?

ハニワか?

人間を見てこういう造形に結びつく、という発想が、なんともシュール!

そしてポップ!

このキクラデス文明を担った人たちが、どういうつもりでこんな人物像を作り出していたのか・・・?

実はこのキクラデス文明は現在でも謎に包まれていて、その担い手だった人たちについても、詳しいことはわかっていないんですよね。

後のミノア文明につながる人たちだったのか? それとも全く別の人々か?

謎に包まれた古代文明なんて、歴史のロマンを感じますよね!

私はこのキクラデス文明の美術が結構好きなので、この展示が充実していたのは嬉しかったです。

でも日本ではまだまだ、実物を目にした人が少ないと思います。私もギリシャの博物館で初めてじっくり見て、この謎の先行文明について知ったのでした。

こんなふうにキクラデス文明のコレクションが日本に集結してくれてるのは滅多にないので、ぜひこのチャンスに、一度足を運んで実物を見てもらいたいです!

ミノス(ミノア)文明の逸品が続々!!

そして、個人的にはこの展覧会で一番の充実ぶりを見せていたと思っているのが、

ミノア文明期の美術品の一級品たち!

(あ、この展覧会では「ミノス文明」って表記なんですよね。なぜだろう?通常は「ミノア文明」、あるいは「クレタ文明」とも言いますですよ)

この時代はだいたい前3200年頃~前1100年頃とされているんですが、この時代にこれだけの美術品を作っていたのか?!

と本気で驚愕するレベルです。

まずは、展覧会の目玉の一つ

牛頭形リュトン

牛型リュトン

以前はイラクリオンの博物館にわざわざ見に行ったんですが、いや〜また見れてよかった!

牛の毛の流れをリアルに再現した繊細な彫刻技術は何度見ても素晴らしい!

残念ながら、破損が激しくて角の部分や顔の半分は復元なんだけど、奇跡的に残った顔の半分を見るだけでも、当時の美術品のレベルの高さがよくわかるんですよ!

さすがのこのリュトンの前には、ちょっとした人だかりができていました。これ目当ての人たちも多いんだろうなあ。

そして、個人的に一番見てよかったのは、

漁夫のフレスコ画

漁夫

保存状態も良くて、鮮やかな色彩に目を奪われます!

そして筆使いも繊細で、魚のヒレ、魚を束ねたローブの縄目まで入念に書き込まれています。

そして、彼のヘアスタイルも・・・なんでそんな頭?

と夢中になって、この絵の前で10分くらいはウロウロしちゃいましたよ!

このフレスコは普段はサントリーニ島のアクロティリに行かないと見ることができないんですよね。

日本で会えてよかった〜!

この壁画は本当に一見の価値あり!ぜひ実物に会ってほしいな。

そして、タコなどの

海洋生物の壺絵

もよかったですね〜

タコ好きの日本人としては、「おおっ!君たちも好きなのねっ!」と興奮。

見てるとタコが食べたくなりましたわ。

タコ

これ、実物はかなり大きいので、タコの吸盤とかをじっくり見ることができますよ〜

ああ、やっぱりタコって、いいよね。

ミノアの人たちも好きだったんだろうな。

美味しいよね!

ちなみに、現在もギリシャの人たちはタコが大好きですよ!

ミュケナイ文明へ

そしてミュケナイ文明期へと展示が進むと、シュリーマンの発掘した

ミュケナイの黄金

がやはり目を引きます!

こんなに黄金がキラキラな王侯たちの暮らしって、どんなだったんでしょう? 秀吉もびっくり!

ミュケナイの黄金

この黄金の展示ブースのまわりでは、やっぱり女性たちの目がキラキラしていたような・・・

今も昔も、黄金が人を惹きつける力は絶大ですね!

これだけの黄金を見つけた時の、シュリーマンの興奮ぶりが想像できます。

でも、これだけ展示品を揃えていても、

かの有名な「アガメムノンのマスク」は無かった・・・!!

ちょっと残念だな〜・・・

参考までに、その画像も貼っておきます(*展示品には含まれていません)

800px-MaskeAgamemnonBy:DieBuche

さすがに、これはギリシャでも国宝中の国宝。貸し出してくれなかったのかな・・・

などと展覧会の裏事情を考えてしまいました。

アテネの考古学博物館にこれがないんじゃ、世界各国からの観光客たちもがっかりするかもね?!

ということで、この黄金マスクは来なかったんですが、

それでも、この展示会の黄金のコレクションも、なかなかのものでしたよ!

幾何学文様期からアルカイック時代へ

そして、次の展示は暗黒時代を経て、新しい時代へ・・・

幾何学文様期

この時代の壺って、ギリシャではどの美術館に行っても山のようにあるので、いささか食傷気味でしたが・・・

こうやって、きれいに展示ケースに入って、きれいにライトを当てられていると、またなかなかの逸品に見えてくる!

というか、実際にどうやってこんな文様を描いていったんでしょうね?? 手書きですよ?

私が書いたら途中で模様が揃わなくなって、ぐちゃぐちゃになっちゃうな〜

古代の職人さんはすごいですね〜

幾何学文様期

そして、アルカイック期になって登場してくる人物像は、

なんか、突然美しく、そして生々しい。

生々しいというか、なまめかしいというか、要するに、人間の肌のぬくもりが感じられるような、と言うべきか。

スタイルの特徴から言っても、エジプト美術の影響で始まったはずなのに、様式美を追求したエジプトの美術とは一線を画しているんですよね。

青年の姿を刻んだ

クーロス像

そして、少女たちを描いた

コレー像

といった彫刻たちも、思わずその肌に触れてみたくなるような、柔らかさがあるんです。

あ、もちろん実際に触っちゃダメだけどね!思わずそう思っちゃうくらい、ってことです!

クーロス

ねっ? 押したらフニャッと弾力がありそうな肌でしょ?

ギリシャ人独特の、人体の美を完全に写し取りたい、っていう欲求なのかな?

なんて思いながら、優しい顔をした古代の美少年・美少女たちの姿を想像しながら彫刻を眺めていると、時間があっという間に過ぎちゃいましたよ!

古代ギリシャの最盛期へ

さて、展示はまだまだ続きます。

お次の展示は

古典期に入って古代ギリシャが最盛期を迎えた頃

(*この展覧会では古典期ではなく「クラシック期」という表記になっています。またまたなぜかしら?)

古典期には、ギリシャ独特のポリス社会が最盛期を迎え、アテナイ市の民主制など歴史の教科書でおなじみの出来事が多く起こった頃。

かの有名な

陶片追放

で実際に使われた陶片が展示されていて、

「おお〜、これがあの陶片なのか〜」

と感激。展示品には実際の名前も書かれています。

これは「テミストクレス」の陶片。

陶片追放

テミストクレスは「サラミスの海戦」でペルシャ軍を見事打ち破った将軍ですが、その軍功から政治力を持ちすぎることを問題視されて、陶片追放されてしまうんですよね〜

参考までに・・・

映画「300 帝国の進撃」

この映画は、サラミスの海戦でのテミストクレスの活躍を描いていますよ!

そんな歴史上の人物の陶片・・・歴史のロマンを感じますよね!

そして、この時代になると、彫刻や絵画作品も円熟期を迎えて、どれもハッとするほど美しいです。

今回の展示会でも各種の壺絵を見ることができて、実物を見るとその線描の繊細さに驚きますよ!

壺

いつも思うんですけど、こういう古代ギリシャの壺絵って、線描画だけにどこかマンガチック!

日本人もこういう線描画、好きですよね?

赤地に黒い人物像の黒像式、黒地に赤い人物像の赤像式、そして白地にカラーで人物が書き込まれている白地レキュトスなど、見ていると時間を忘れますよ!

古代のオリンピックも

そして、展示は

古代オリンピック

の部屋に続きます。

さすがに今年はリオ・オリンピックの年ということで、展示もオリンピックに合わせてきたかな?

日本では古代オリンピックについての認知度もまだまだなので、これをきっかけに興味を持ってくれる方が増えると嬉しいですね!

展示内容は、各種の古代オリンピック競技が一通り見て回ることができるようになっています。

古代のボクシング

 

ancient-boxing

古代の円盤投げ

discus

などなど。会場では、古代の競技の再現ビデオも流されていて、楽しめます。

(あ、再現ビデオでは、さすがにみんなパンツ着用でした)

*古代の競技について詳しくは、過去記事もご覧下さい!

マケドニアの支配下へ

そして展示は、

マケドニア王国

の時代へ。

古代ギリシャの諸ポリスは、ペロポネソス戦争などで衰退をしていき、

ついにはカイロネイアの戦いで北方のマケドニア王国に破れます。

この時ギリシャ軍を破ったフィリッポス2世の息子が、かの有名なアレクサンドロス大王。

展示会場では、このマケドニア王国がどれほど力を持っていたか、を示すような

黄金のコレクションが必見です!!

この展示会の見どころの一つが、

ギンバイカの金冠!!

myrtle

この繊細な金細工!! 見事でしょ?

古代の金工たちは一体どうやってこんな冠を作り上げたんでしょう?

あ、一応「ギンバイカ」というのはギリシャの植物の名前です。「蚊」じゃないですよ。「ギンバエ」でもないです。

Myrtales_-_Myrtus_communis_1

By: Emőke Dénes

この他にも、それはそれは見事な金細工のコレクションが、今回の展覧会では楽しめます!

このコーナーでは、心なしか周りの見学者の方たちも色めき立っていたような(笑)

黄金の力はすごいです。

もし、マケドニアの黄金のコレクションがもっと見たくなったら、テッサロニキの考古学博物館を訪れてみることをおすすめします。

この博物館には、マケドニアの至宝・デルヴェニの壺が展示されているんですよ!

この黄金の迫力に、きっと圧倒されます!

(*本展示会には含まれていませんので、参考までに画像を貼っておきます)

The_Derveni_krater,_late_4th_century_B.C.,_side_A,_Dionysus_and_Ariadne,_Archaeological_Museum,_Thessaloniki,_Greece_(7457851940)

By:Raddato carole

そして、ヘレニズムからローマへ

そして展示の最終室は、

ヘレニズムからローマへ

アレクサンドロス大王によって押し広げられたヘレニズム世界。

そして、やがてはローマの支配下へと入ることになります。

ヘレニズム時代になると、ギリシャの美術も安定期に入った感じで、どの彫刻も完成度が高い。

そして、装飾も豊かになってくる感じ。

このアルテミス像の衣装の彫刻は、大変だったろうなあ。石から掘り出しているんですものね。

アルテミス

ちなみに、かの有名な「ミロのヴィーナス」もこの時代の作品。

いかにギリシャ彫刻のレベルが高かったか、言うに及ばずですね。

(*今回の展覧会には出品されていません。ご参考までに)

320px-Venus_de_Milo_Louvre_Ma399_n4

のちにローマは、ここまでのレベルのギリシャの美術品の数々を見て、大量のコピー作品を作り出すことになります。

武力では敗れたものの、文化で勝ったギリシャ。

政治・軍事では衰退しても、その美術品の力は、廃れることがなかったのですね!!

古代ギリシャの美の力を目撃せよ!

というわけで、簡単ではありますが、

現在上野で開催中の古代ギリシャ展を実際に見てきて、

展示のハイライトや感想をざっくりとまとめてみました!

実際の展示会場では、ここではご紹介しきれなかった豪華な作品でいっぱい!

ぜひ一度足を運んでみて欲しいと思います。

この展示会を一通り見てくると、古代ギリシャがなぜローマ期以降も影響力を保ち続けることができたのか、よくわかりますよ〜。

どの展示品を見ても、「えっ、この時代にどうやってこれを?」と驚くような作品ばかり。

現代人の目で見ても、「すごい」と素直に感激しますから、やっぱり古代ギリシャの美術品はすべての時代を通じて圧倒的な力を持っているんだな、と納得させられます。

まあごちゃごちゃ言っても、百聞は一見に如かず!!

上野での展示は9月19日までです!

見逃さないでね!

(*この展覧会の情報は2016年当時のものです。現在はこの展覧会は終了しています)

(*展示品紹介の画像は展覧会公式ホームページからのスクリーンショットです)

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