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短編映画「日曜日、すずは口笛を吹いた」ギリシャと奄美の人・動物・精霊・神

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本日も、映画について。

2014年公開の短編映画

「日曜日、すずは口笛を吹いた」

(古勝敦監督作品)

これは監督の故郷の奄美大島で撮影された、

「ファンタジック・ラブストーリー」

なのですが、

私には、ギリシャと奄美の世界観の共通点

頭の中をぐるぐると駆け巡ったので、

その幾つかをまとめてお話ししたいと思います。

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「日曜日、すずは口笛を吹いた」より

あらすじ

この映画のあらすじを簡単に説明すると、

主人公は奄美大島に住む中学生・すず(白石南帆)。

ある日、すずの通う中学校に、

金髪のイケメン教育実習生、渡利先生(葉山奨之)がやってきます。

先生と目が合った瞬間に、心臓がドキッとする、14歳のすず。

先生の方もすずを気にかけてくれて、

夜に奄美大島の生物を見に行くナイトツアー

みんなと一緒に誘ってくれたりして、

先生と胸が高鳴るような時間を過ごします。

でも、先生の実習期間はあっという間に過ぎ、

離任する先生を送るために、みんなで加計呂麻島に遠足に行くのですが・・・

というお話。

動物の姿を借りた精霊か、精霊の姿を借りた動物か

この映画は全編奄美大島で撮影された、地域発信型映画。

映画の冒頭には、ハブの王様とアマミノクロウサギの恋物語が語られます。

これは、奄美の民話に基づいているらしく、

ハブとウサギは仲が良い、というお話が残っているのだとか。

(あまみのやまちゃん「クロウサギとハブ」

そして、その後、映画の中では、

すずと渡利先生の、淡い恋

が進行していくのですが、

そう、

映画の途中で見ている人は気づくのですが、

渡利先生は、ハブの王様ユアンなのです。

そして、すずは、ユアンに恋したアマミノクロウサギ?

それが人間に生まれ変わった姿?なのです。

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絶滅危惧種・アマミノクロウサギ

つまり、

かつての恋人にまた会いたくなったハブの王様が、

人間の渡利先生に姿を変えて、また会いに来た、

ということなのですね。

あるいは、

ハブの精霊としての姿は人間に似ていて、

今は人間のすずになったかつての恋人に会いに来たのかもしれません。

どちらにもせよ、金髪の渡利先生は

奄美大島でいうところのケンムンの一種で(*wikipedia ケンムン

それを知ったすずは、

ガジュマルの木の下で、ケンムンを呼び出す口笛を吹く、

というわけ。

この、人間と、動物と、精霊の物語とが、

渾然一体となって進行していって、

時としてその境界が大きく揺らいでいく

というのが、この映画のストーリーの大きな特徴です。

これも、この映画のベースとなった奄美大島という土地で、

人と動物と精霊や神が、非常に近い存在として認識されて、

その間に厳密な境界線を引くということはされていなかった、

ということに基づいているのではないでしょうか。

ギリシャの人・動物・精霊・神

このように、

人と動物、神や精霊との距離が近く、

時としてその境界が揺らぐ、

というのは、ギリシャ神話の世界観でも見られることです。

例えば、

主神ゼウスの化身は鷲。

人間の美少年・ガニュメデスを、鷲の姿に変身してさらっていった、

と伝えられています。

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レンブラント『ガニュメデスの誘拐』(1635年)

実はゼウスは変幻自在。

人間の美しい娘エウローペーに恋した時は、

油断させるために白い牡牛の姿に変わり、彼女を背に乗せて連れ去った

ということです。

逆に、ゼウスが妻ヘーラーから隠すため、

愛人イーオーを、牝牛に変身させたところ、

虻に追われてエジプトまで逃げていった、

という話も伝わります。

このほかに、アポローンやアテーナーも鳥に姿を変えた伝承が残っており、

女神デーメーテールも、馬に変身してポセイドーンの追跡を逃れた、

という話も伝わっています。

ギリシャ神話の場合はそれだけではなく、

ダプネーはアポローン神から逃れるために、月桂樹に姿を変えた、

とも語られています。

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ティエポロ「アポローンとダプネー」(1745年)

その他、

森の木々や泉などの水源地にはニュンペーたち(ニンフ/精霊)が宿る

と考えられていて、

そのニュンペーたちは通常、若く美しい女性たちの姿をしている、

と想像されていました。

つまり、

ギリシャの世界観では、

身の回りの動物たちは、実は神の化身かもしれないし、

私たち人間も、ひょっとすると動物や植物に変わってしまうかもしれないし、

木々や泉にも精霊が宿っているし、

というふうに、

人・動物・精霊・神は、非常に近くに混在していて、

その間に厳密な境界線を引くことは不可能である、

ということが見えてくるのです。

人・動物・精霊・神と共に生きる

このように、奄美大島の世界観と、

ギリシャ神話の世界観とを重ねてみると、

私たちの先人たちが、

自分が身を置く世界と、深いつながりを感じていた、

という姿が見えてくるようです。

日本でも昔話では、タヌキやキツネが人に化けて出たり、

鶴が恩返しに来たりしていたわけですよね。

ところが、急激に進んだ近代化で、

人々はその世界と境界を設けることに突き進んでしまった、

というように思います。

それは映画の中で、奄美大島に育ったすずが、

中学生になって初めてアマミノクロウサギを見た、

というセリフに象徴されているように、

私たちは近代化で山を削り、木を切り倒し、

多くの動物たちは住む場所を奪われ、絶滅した種も多くいます。

実際、アマミノクロウサギも今や絶滅危惧種です。

しかし、その後科学が発達して私たちが学んだことは、

皮肉にも、

自分たち以外の生物がいなくなったら、自分たちも生きられない、

という当たり前の事実です。

人・動物・植物は分断された存在ではなく生態系を形成しており、

相互依存関係になっている。

人類が生態系を破壊すれば、人類は生きていけなくなるのです。

私たちの祖先が伝えてきたように、

動物も、植物も、人間でもあり、精霊でもあり、神でもある、

ということを、改めて見出しているというわけですね。

あなたも口笛を吹いてみよう

話を映画に戻すと、

すずと渡利先生の恋物語を見ていると、こんなふうに、

私たちの周りにいる動物も植物も、

実は神や精霊かもしれないし、

人間に姿を変えて私たちに語りかけてくる、

そんなこともあるかもしれない、

と、思わせられるのです。

映画の中の奄美大島の自然豊かな風景が、

神や精霊の息づく姿を想像させてくれるのかもしれません。

それこそが、私たちの先祖が、

文字を手に入れるず〜〜っと前から語り伝えてきたことで、

改めてそこに目を向けて、

人・動物・精霊・神と共に生きるということが、

これからの私たちの生きていく道なのかもしれない、と思うのです。

まずは、口笛を吹いてケンムンを呼び出してみよう!

そうすると、この世の中で、

人間たちはいろんなものたちと共に生きているんだ、

ということを、実感できるかもしれませんよ?!

詳しくは映画で!

と、また、思いついた感想をつらつらと書いてしまいましたが・・・

これも映画を観る人によってまた様々な思いが出てくるはずですので、

ぜひあとは、映画を実際に見て感じてみてくださいね!

このDVDに収録されています!

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映画はiTunesでも簡単に見られますよ〜

すず

https://itunes.apple.com/jp/movie/ri-yao-ri-suzuha-kou-diwo/id967128038

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