実はギリシャでは、
今でも多くのギリシャ神話に由来する名前が受け継がれています。
今回は、そんな名前の中から、
オレスティス
という名前について、ご紹介したいと思います。
実はこの名前は、ギリシャ神話に登場する、
父を殺されて、母親を殺してしまった、という悲劇の王子の名前なのです!
「オレスティス」は神話の英雄「オレステース」!!
さて、そういうわけで、
ギリシャに伝わる
オレスティス
という名前についてご紹介しますよ。
この名前は現代のギリシャでも割と多くある名前なのですが、
実はギリシャ神話に登場する英雄
オレステース(Ὀρέστης)
に由来します。
この名前が現代ギリシャ語読みだと
「オレスティス」
になるのですね。
それにしても、ギリシャ神話の登場人物の名前を現在も受け継いでいるなんて、
何千年にもわたる伝統の名前だと聞くと、驚いてしまいますよね!
ギリシャ神話の英雄「オレステース」とは?
では、こうして現代の
「オレスティスさん」たちに名前を授けている
ギリシャ神話に登場する英雄
オレステース(Ὀρέστης)
とは、どんな人物だったのでしょう?
ギリシャ神話の中では、
オレステース(Ὀρέστης)
とは、
トロイアー戦争のギリシャ勢の総大将・アガメムノーン王の息子
の名前です。
トロイアー戦争は、ギリシャ神話に語り継がれる10年に及んだ大戦争。
この戦いに勝利した後、アガメムノーン王は故国のアルゴスへ帰りますが、
10年もの長い不在の間に、妻クリュタイメーストラーには、愛人ができていました。
アガメムノーン王にはすでに愛情の無くなったクリュタイメーストラーは、
この愛人アイギストスと共謀し、アガメムノーンを暗殺してしまいます。
この時オレステースはどうしていたかというと、
まだ小さかったため、他の場所に預けられていて難を逃れました。
しかし、時は流れ、オレステースはたくましい青年へと成長します。
そうして、父アガメムノーンの仇を討つため、長く離れていた我が家へと戻ってきます。
実の母親であるクリュタイメーストラーは、いまや実の父を殺した仇!
父の復讐を成し遂げるため、
その愛人アイギストスと、二人まとめて殺してしまいました!
しかし、父の仇を討つためとはいえ、実の母親を殺してしまうとは・・・
オレステースの悲しい運命ですね・・・
そして、オレステースはこの、実の母親を手にかけたという
「母殺し」
の罪のために、復讐の女神エリーニュースたちに追われてしまう・・・
という、身内同士の悲しい殺人にまつわる神話となっています。
というわけで、
ギリシャ神話の中では、
オレステース(Ὀρέστης)
というのは、父の仇として、実の母親を殺さなくてはいけなかった、という
悲しい運命に翻弄された英雄なのです!
*オレステースの母親クリュタイメーストラーについて詳しくは、こちらの記事も合わせてご覧ください!
現代でも受け継がれる神話の英雄「オレステース」の名前!
というわけで、
現代でも受け継がれている
「オレスティス」
という名前は、ギリシャ神話に登場する英雄
オレステース(Ὀρέστης)
に由来しますよ、というお話でした!
しかし、由来となった神話を聞くと、日本の多くの方は、
げげ、そんな不吉な名前を子供につけちゃっていいの?!
と思うかもしれません。
そりゃそうです。
神話みたいに、母親を殺すような運命になっては大変だと思うのですが・・・
ところが、ギリシャ人はそんなことはまったく気にしない模様?!
アガメムノーン王と一緒に殺されてしまったトロイアの王女
の名前も、今でもフツーに受け継がれていますからね!
というわけで、
ギリシャに行って、いろんな方の名前を聞いてみると、
こんなふうにギリシャ神話に由来する名前の方達に出くわしますので、
ギリシャ神話も色々読んでからギリシャ旅行に行くと、きっと楽しいですよ!
ぜひ、予備知識としていろいろ読んでみてくださいね!
*オレステースについてのお話は、こちらの全集に収録されていますので、ご参照ください!
*エウリピデスの悲劇『オレステス』を蜷川さんが演出した舞台もどうぞ!