ここ日本でも、多くの方達が子供の頃にテレビや美術館などで、古代ギリシャの彫刻を目にする機会があったと思います。
ミロのヴィーナスとか、サモトラケのニケとか・・・
自分イレーネもそんな一人。
でも、ずっと、「この彫刻って、何か変だ・・・」と思ってました。
いったいなぜそう思っていたのか?
大人になってギリシャに実際に行ってみて、ようやくその謎が解けました!
本日は、その謎についてお話ししますね!
「ミロのヴィーナス」の何かがヘンだ?!
そう、例えばですね、
美の結晶、
ミロのヴィーナス!!
ふう〜、美しいですね。
どっからどう見ても、非の打ち所がありません!
今でもギリシャ彫刻の傑作として、多くの人々に愛されている一級品です!
・・・でも、な〜んか、変じゃありませんか?
子供の頃の私は、この美しいお顔をしげしげ眺めて、
何か変だ・・・
と思っておりました。
そして、違和感の正体を突き止めました。
それは、ココにあったのです!
そうです、変ですね、ココ。
変じゃありませんか?
もし、変と思わなかったら、↑の画像をもう一度よく見てください。
私たちの顔と徹底的に違うトコロ!!
そう、それは・・・
おデコと、鼻の筋が、同じ高さでつながっているんです。
もう一度言います。
おデコと、鼻の筋が、同じ高さでつながっているんです。
フツー私たちの場合だと、たいがい、おでこから一度目のところで低くなって、それから鼻が再び隆起していますよね。
それなのに、このミロのヴィーナス像では、一度低くなることがなくて、おでこからそのままの高さで鼻の筋につながっているんですよね〜
だから、こんな鼻の形をしている人を、子供の頃の私は見たことがなかったので、
「彫刻家の人が、目のところで低くなっているのを、削り忘れたんじゃないか・・・」
と疑っておりました。
まさかの彫刻家のうっかりミス?!
だと思っていたわけですよね〜
「削り忘れ」なんて、あるわけないじゃないか!
と大人になった今だから言えますが、子供の頃は結構本気で「削り忘れ」じゃないかと思ってました!
彫刻家のうっかりミスじゃなかったよ!
そして時を経て・・・
大人になった私はついにギリシャの地へ足を踏み入れます。
飛行機を乗り継いで、遠路はるばるやってきたアテネの街。
すると・・・
おお!!!
なんと!!
ギリシャの街中で生きているギリシャ人を大勢見ると、
あの「おデコと鼻の筋が同じ高さでつながっている」顔が、そこらじゅうにいたのです!!
そう、彫刻家は削り忘れちゃったんじゃなくて、写実的に描いていたの。
当たり前だ、そりゃ。
「削り忘れ」なんてするわけないわ。
こんなふうに、おデコと同じ高さの非常に高い鼻梁の鼻は、俗に
「ギリシャ鼻」 (Greek nose)
と呼ばれる、ギリシャ人の特徴的な鼻だそうです。
行ってみるまで知らなかった。
大人になった私はこうして、子供の頃の疑問を解消することができたのでした。
しかし、この高〜い鼻、やはりどうしても、思ってしまう
「視界の邪魔になりそうだ・・・」
だって、考えてもみてください。
横目で右や左を見るたびに、確実に鼻が視界に入ってきます。
日本人の低い鼻だと、ほとんど見えないけどね。
だから邪魔じゃないの?! それ?!
まあ、生まれた時から鼻が見える暮らしをしている人たちは、不便は感じないと思いますが。
というわけで、ギリシャに行ってみて一番最初に受けたカルチャーショックは、こんなことだったんでした!
言われてみると、有名なギリシャ人の方達みんな、こんな立派な鼻をお持ちですわよ!
「20世紀最高のソプラノ」マリア・カラス様とかね!
マリア・カラスについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
そしてギリシャの大女優
イレーネ・パパス様だって、素晴らしい鼻をお持ちです!
ですから、この高くて鼻梁がおでことつながっているお鼻はギリシャの美の象徴でもあるわけなんですね!
イレーネ・パパスについて詳しくは、こちらの記事も合わせてどうぞ!
ギリシャ彫刻で有名に
しかし、この高くて筋の通った特徴的な鼻、
諸ヨーロッパ系の人たちでも、ここまで鼻梁がまっすぐおでこに直結するタイプって、なかなかいないので、貴重です。
とはいえ、もちろんこんな立派なギリシャ鼻じゃないギリシャ人も多いです。
逆に、スペインやイタリアの人でも、こんなふうな特徴的な鼻の人たちも結構います。
それでも、これがギリシャ人の特徴として有名になったのは、
やっぱり世界に名をはせる古代ギリシャ美術の影響みたいですよ!
「ミロのヴィーナス」ももちろんですが、そのほかの古代ギリシャ彫刻で顔が残っているものは、たいがいこの特徴的な鼻を持っているんです。
こちらのルーブル美術館所蔵のアルテミス女神像も、やっぱりこの鼻ですよね!
ということで、これがギリシャの人たちの特徴として、広く認識されるようになったらしいです。
ギリシャ彫刻の美は永遠に
ということで、
子供の頃にテレビや美術館などで、ミロのヴィーナスとか、サモトラケのニケとかを見たときの違和感の正体が、
古代ギリシャの彫刻を象徴する美しい形の鼻だった、と分かったというお話しでした。
しかし!
現在のギリシャの人口(およそ1000万人)を考えると、このヴィーナスのような鼻を受け継いでいくのは、大変かもしれません。
東京都の人口とそんなに変わんないですからね!
そう考えると、ギリシャ鼻、消滅の危機かな〜・・・
と思うと寂しくもなるのですが、古代ギリシャ彫刻の世界が残っている限り、このギリシャの特徴的な美の証は永遠に残っていくわけですからね!
今でも自分は、彫刻などでこの高〜いギリシャ鼻を見ると、子供の頃の記憶もあいまって、
とっても「ギリシャらしい」と思ってしまうのでした!
これを読んで気になった方は、ぜひ、古代ギリシャ彫刻の名作などを見比べてみてくださいね!