ギリシャって、どんな宗教を信じていると思いますか?
日本では意外と多くの人が、
「ゼウスとか、アテナ、アフロディテとかのギリシャ神話の神様を信じてる」
と思っていたりします。
ところが!!
実は現代のギリシャでは、こういったギリシャ神話の神様はもう信仰されていません!!
えっ、じゃあどんな宗教を信仰してるの?
と思う方も多いと思いますので、
現代のギリシャの宗教のお話について、簡単にご紹介しますので、
気になる方はぜひ読んでいってくださいね!
現代のギリシャはギリシャ正教の国!
ギリシャってよく「神話の国」とか言われることがありますよね?
ですから日本人の多くの人たちは、ギリシャでは今もギリシャ神話が生きている国なんだ、
って信じてるかもしれません。
ところが!!
実は現代のギリシャでは、ゼウスとかアルテミスとかで日本でもおなじみの、
ギリシャ神話の神様たちはすでに信じられていません!
その代わりに現在は、ギリシャでは、キリスト教の一派である
ギリシャ正教
が主な宗教になっています。
多くのギリシャ人が、敬虔なギリシャ正教徒です。
今もギリシャの町々を歩くと、イコン画を掲げるギリシャ正教会に数多く行き当たります。
ギリシャといえば、白い壁に青い屋根の、可愛らしい小さな教会が観光名所でもありますよ。
ギリシャに出かけたら、ぜひ一度、こういった教会を訪れてみてくださいね。
現代のギリシャ人の信じる宗教の世界に触れることができますよ!
「異教」禁止令のために・・・
さて、ここまでお話しすると、
「ギリシャってギリシャ神話の国だったはずなのに、どうして今はキリスト教なの?」
と思う方がいるかもしれません。
そこのところを、ざっくりと解説していきますね!
どうしてギリシャがギリシャ神話の国ではなくなってしまったかというと、
長い歴史がありますのでお話も長くなってしまうのですが、すご〜くかいつまんでいうと・・・
紀元前の古代ギリシャ最盛期の時代、
いわゆるアルカイック期、古典期、そしてその後のヘレニズム期あたりには、
確かにギリシャ神話の神々は、国家の神々として人々の信仰を集めていたのですよ。
しか〜し!これが激変する出来事が起こりました。
それは・・・
ローマ帝国の勢力拡大!!
紀元前146年には、ローマ帝国はギリシャの有力都市コリントスを陥落させ、ギリシャはローマの勢力下に入ります。
ローマ帝国の中の「属州アカエア」となったのですね。
こうしてギリシャ諸都市はローマ帝国の一部となりました
しかしローマ帝国は、属州ギリシャの宗教も認め、しばらくはギリシャでもゼウスなどの神話の神々の信仰を認められていました。
ローマ人たちも、自分たちの伝統的な宗教であるユピテル、ユグノなどの神々も引き続き信仰していましたが・・・
そこへ勢力を広げてきたのが、
キリスト教!
ローマ帝国の中で急激に信者を獲得し、成長をしてきます。
ローマ皇帝はこの新興宗教であるキリスト教に対して迫害を繰り返しました。
しかし、これにくじけずキリスト教は勢力拡大を続け、
ついに・・・
紀元313年には、ローマ帝国はキリスト教を公認!
怪しい新興宗教の地位を脱却して、迫害の歴史には終止符が打たれました。
そして、392年には、徹底的な出来事が起こりました。
テオドシウス帝がキリスト教を国教と定める
ここで正式に、ローマ帝国の宗教はキリスト教となりました。
一つの新興宗教だったキリスト教は、国家宗教として絶対的な地位を獲得するに至ったのです。
こうしてキリスト教が国家の州境となったローマ帝国では、
以降それまでの伝統的な宗教は、
「異教」
として禁止されてしまうことになったのです。
つまり、ギリシャで長いこと信仰されてきたゼウスやアフロディテと行った神々の宗教は、
この時点で「異教」となったわけです。
ここで、長い歴史を誇ってきたギリシャの神々も、「異教」とされて、その命運も尽きたわけですね。
ローマ帝国では、もはやキリスト教以外の宗教は認められなくなってしまったのですから・・・
ギリシャ神話は「異教」の神々?!
というわけで、こうしてキリスト教が国教と制定されて以降、
ギリシャ人はキリスト教徒
となりました。
そして、今現在も、ギリシャ人のほとんどはキリスト教の一派であるギリシャ正教の信徒であるわけです。
だから現在のギリシャ人が、自分たちの古代の神々であるゼウスやアプロディテの彫像を見ても
「異教の神々」
なのですよね、彼らにとっては。
だって、彼らはキリスト教徒なんですから。
日本人の私たちからすると、ギリシャではギリシャ神話の神々が「異教の神々」だよ、と言われても困惑してしまいますけどね!
だって、私たちはギリシャと言えば「ギリシャ神話の国」だと思ってたんですから!
でも彼らにしてみれば、私たちが学校でキリスト教やイスラム教の歴史を習うのと同じ感覚で、ギリシャ神話の神々を習うわけですが、決して「信仰」はしていないのです。
ましてや、ゼウス像に祈りを捧げる、なんて絶対にしない。
・・・という、なんとも言えない状態となっています。
*ここら辺の詳しい話は、こちらの記事にも書いてますので、合わせてどうぞ!
意外としぶとい古代ギリシャの神々
さて、そんなふうに自分の国で「異教」とされてしまって、
さぞや、古代のゼウスやポセイドンのような神々も悲しんでいるに違いない・・・
と、つい思ってしまうのですが・・・
ところがどっこい、
ギリシャに行くと、古代の神々の名前を持った人たちがたくさんいます
「アシーナ」(女神アテナ)さん、とかね。
「ディミトラ」さんは、女神デメテルですよ。
その他、神話の登場人物だと、もっといっぱい。
「オレステス」「アキレス」「カサンドラ」「エレクトラ」などなど・・・
古代のギリシャ神話関連の名前を持つ人が、実はいっぱいいるのです!
そういう人たちも、もちろんほとんどがキリスト教の「ギリシャ正教徒」なんですが、
名前だけは古代の伝統を受け継いでいるんですね。
そう考えると、まだまだギリシャ神話の世界は、現代ギリシャでも息絶えてはいないわけですね!
やっぱり古代の神々はしぶといな!
この伝統を、これからも守って行ってほしいですね!